馳浩の巌流島の決闘はじめ名勝負8選とギブUPまで待てないマジギレ事件!?

馳浩の巌流島の決闘はじめ名勝負8選とギブUPまで待てないマジギレ事件!?

波乱万丈のプロレス人生を送った馳浩の名勝負を振り返る。タイガー・ジェット・シンとの巌流島の決闘。アントニオ猪木との東京ドーム決戦。蝶野正洋との激闘。グレート・ムタとの大流血戦ほか熱戦を再現し馳浩の華麗な大技とタフガイぶりを満喫。そして有名なあのギブUPまで待てない事件にも触れる。


引退セレモニーでは、親しい間柄の人たちから花束贈呈が続き、引退のテンカウントゴング。リングアナから馳浩の名前がコールされ、無数の黄色いテープが舞う。
リング上では胴上げ。
馳浩は記者たちの前で語った。
「俺プロレス大好きだし、一人でも多くの人にプロレスの素晴らしさを伝えたかったし、それが俺の生き甲斐だったし、そういうプロレスラーになろうと思った時の、初志貫徹はできたと思います」
20年間のプロレスラー人生に悔いなし。
引退後、初代、ロード・ブレアース、2代、スタン・ハンセンから引き継ぎ、2007年、馳浩が3代目のPWF会長に就任した。

ギブUPまで待てない

この問題には触れるべきではないかと最初は考えたが、馳浩の試合を観戦してプロレスラー魂を刺激され、逃げの一手はいけないと思った。
70年代80年代のプロレス黄金期は、アントニオ猪木の人気も凄かったが、初代タイガーマスクやスタン・ハンセンも高視聴率の立役者だった。
段々と時代の荒波に翻弄されるように、金8枠から月8枠に移行し、ついに古舘伊知郎アナが新日本プロレスの実況を下りる日が来る。
哲学する乱暴者・ブルーザー・ブロディ、褐色のバイオレンスダンサー・バット・ニュース・アレンなど、古館アナの言葉の功績は大きかった。
試合が荒れて「ちょっと待ってください」と山本小鉄が放送席を飛び出し、解説者から勝負審判部長に早変わりすると、古館アナは「偉大なる職場放棄・山本小鉄!」と叫ぶ。
プロレスファンはただ試合を観ているだけでなく、放送席のやりとりも全部含めて楽しんでいたのだ。
1987年4月7日、火曜よる8時に枠を変え、『ギブUPまで待てない!!ワールドプロレスリング』がスタート。
古館アナが卒業して、きっと熟慮を重ねた末、バラエティ色をプラスしてプロレス中継をより良くしようと思ったのだろうが、プロレスファンからは不評だった。
たとえば真剣に試合を観戦し、心もヒートアップしていたところで、いきなり場面がスタジオに変わり、トークが始まる。
プロレスはプロセスが命なのだ。入場シーンは大事だし、試合もノーカットが理想。なぜなら試合全体の流れは重要だからだ。
そして試合後も凄く大切なのに、試合が終わったらすぐにスタジオに切り替わりトーク。
一気に気持ちがトーンダウンしてしまう。
プロレスに興奮と感動とロマンを追い求めている熱烈ファンから、番組に対してブーイングが起きている時に、馳浩のマジギレ事件が起きてしまった。

メインパーソナリティの山田邦子は、優秀で賢明なタレントである。
テレビというのは怖いもので、本人の意志とは別に、番組プロデューサーの意向に沿って発言する場合もあるので、もしもこういう質問を現役レスラーにぶつけてほしいという要望が裏であったとしたら、馳浩に叱られた山田邦子も気の毒だと思う。
試合で大流血したマサ斉藤がセコンドに連れられて去っていく。
山田邦子が「あの血は控室に戻ったら止まるもんなんですか?」と質問すると、馳浩が声を荒げた。「つまんない話聞くなよ! 止まるわけないだろ」
これはおそらく、世間で言うプロレスの流血は血のりで本物の血ではないということを、山田邦子が言っていると受け取り、キレたのだと思う。
結論から言うと、当然のことだが血は本物だ。知ったかぶった人間が言うデタラメな話で純粋なプロレスファンが動揺することを恐れる。
カープ女子に負けずに急増中のプロレス女子は、プロレスを本気の真剣勝負と信じて疑っていない。
時には全身鳥肌が立つほど痺れ、涙を流して感動しているプロレス女子は少なくない。
だから純粋な新しいプロレスファンを守るためにも、ベテランファンの責務として、前田日明ばりに理論武装したいと思っている。
マジシャンではあるまいし、四方から観客が観ているのに、しかも最前列とリングの距離はすぐなのに、セコンドが額に血のりを塗るなんて芸当ができるわけがない。皆スマホで試合を撮影しているのだ。
元祖流血大王・キング・イヤウケアは、傷口から菌が入り、レスラーを引退するという悲劇に見舞われてしまった。
非常に残念だし、やはり流血は危険なのだ。
アブドーラ・ザ・ブッチャーやブルーザー・ブロディ、ラッシャー木村は額がギザギザ。
プロレスラーにとっては百戦錬磨の勲章かもしれないが、すぐに流血しやすい状態になっている。
年間200試合をこなすレスラーは、流血しても縫ったりしない。ブッチャーは卵を貼って止血する。
明日の試合(仕事)を休むわけにはいかないからだ。

血のりではないと断言できる試合が、1978年10月20日、大阪の寝屋川市民体育会館で行われたWWWFジュニアヘビー級選手権。
藤波辰巳VSチャボ・ゲレロ。
チャンピオンの藤波はドラゴンロケットをよけられて場外のイスに激突して大流血。
血が止まらない。このままではドクターストップになってしまう。
最後、藤波はチャボ・ゲレロをコブラツイスト。死んでも放さないという執念。ドクターストップでも王座は移動してしまう。
コブラツイストを掛けながら藤波の額から血がマットに落ちるという放送コードギリギリのシーン。
ついにチャボ・ゲレロはギブアップ。藤波辰巳は何とか防衛に成功した。

そもそも流血戦というのはプロレスの専売特許ではない。
藤田和之がミルコ・クロコップと対戦した時、高速タックルでミルコを倒し、一気に決めるかと思ったらレフェリーが止めた。
何が起きたのかと思ったら、藤田は大流血。タックルと同時にミルコが膝で頭部を迎撃していたのだ。
血が止まらないので藤田は無念のドクターストップ負けだ。
ミルコ・クロコップVSエメリヤーエンコ・ヒョードルの試合も、ヒョードルの流血が止まらないので、何度も試合を中断して止血して、再開を繰り返した。
試合を盛り上げるための流血だったら、こんな盛り下がる中断を繰り返すわけがない。
血は本物なのだ。

『ギブUPまで待てない!!』は不評のため打ち切り、再び月8枠に戻り、放送の仕方も試合中心になった。番組タイトルは現在と同じ『ワールドプロレスリング』。
馳浩のマジギレ事件が番組終了のきっかけになったのかもしれない。
あれから何十年も経っているのに、未だに語り告がれているこの出来事。
山田邦子が本気でマサ斉藤を心配して、「血は止まるんですか?」と聞いただけという意見もある。それを馳浩が誤解して受け取ってキレたと。
長州力と大仁田厚が「またぐな事件」を笑顔で語り合う動画があるが、果たして馳浩と山田邦子の対談動画は・・・無理か。

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