こどものおもちゃとは

90年代のりぼんを支えた漫画
こどものおもちゃは通称『こどちゃ』と呼ばれ、小花美穂さんの代表作です。第22回講談社漫画賞少女部門を受賞し、チャイドルの倉田紗南を主人公に学級崩壊や家庭崩壊などの暗いテーマとギャグをふんだんに盛り込んだストーリーで大人気となった社会派漫画作品です。
主人公、倉田紗南の壮絶な生い立ち

チャイドル、倉田紗南
『こどものおもちゃ』の主人公倉田紗南は人気のあるチャイドルとして芸能活動をしています。生い立ちについては話を進める上でどんどん明らかにされていきますが、かなり複雑なのでまとめてみました。
主人公倉田紗南は実の母親に生後すぐ捨てられた

紗南の実の母親、坂井佳子
こどものおもちゃ4巻
倉田紗南は捨て子です。生みの親は坂井佳子で、14歳のときに叔父の子供として一人で紗南を生みおとしましたが、育てる自信がなく公園のベンチに紗南を置き去りにしました。

坂井佳子が14歳の時に産み落とされたのが紗南
こどものおもちゃ4巻
ベンチに置き去りにされていた紗南を倉田実紗子が拾う

3月7日、紗南を拾った倉田美紗子
こどものおもちゃ3巻
。草津温泉にある「倉田旅館」の一人娘だった倉田実紗子は高校卒業と同時に状況しすぐに結婚。当時の夫がヒモ化し、2年後に離婚します。妊娠する可能性は5パーセントと宣告され、変人として生きていこうと決意していた最中たまたま通りかかった公園で紗南を拾います。その日が3月7日だったので紗南と名付けました。
正式に倉田美紗子が引き取る事に

髪をおろすと、とても美人な事が分かる倉田美紗子
こどものおもちゃ3巻
1週間の入院を経て、養護施設に引き取られた紗南。美紗子は毎日様子を見に行き、本当の母親に向かってテレビや新聞で呼びかけをしたが音沙汰がなかった。
1か月後、周囲の反対を押し切って美紗子は紗南を引き取り正式に親子の関係となります。
5歳の誕生日の約束

実の母親が名乗り出る事を祈って、二人で交わした約束
こどものおもちゃ3巻
紗南が5歳になった日、美紗子は紗南の母親が自分ではない事を伝えます。そして、二人で今より少し有名になって、美紗子の文章を使って本当の母親を見つけようという約束を交わします。
紗南の知名度を上げる為、美紗子は自身が昔入っていたという劇団こまわり(元ネタは劇団ひまわり)に入る様、紗南に勧めます。

表面上、明るく振る舞う紗南
こどものおもちゃ3巻
紗南は劇団こまわりで抜群の演技力を発揮し、ママの七光りと言われても大喜びで舞台に打ち込むようになります。
ヒモを抱えた小学生

初恋の男性をヒモにした紗南
こどものおもちゃ3巻
この漫画で初めて『ヒモ』と呼ばれる男性の意味を知ったりぼん読者も多いのではないでしょうか。
その後、チャイドルとして『こどものおもちゃ』(元ネタはあっぱれさんま大先生)のレギュラーを務めるなど、徐々に知名度を伸ばしていった紗南は、美紗子が元夫の事を書いた『ヒモと私』を読みます。
かっこいいけどだらしない男の人におこずかいをあげてみたい!と思う様になった紗南は、ホームレスに交じっていた美青年『玲くん』を文字通り拾ってきてしまいます。
紗南のヒモであり初恋人の玲くんは美紗子の好意でマネージャーとなり、その後の紗南を支えていきます。
羽山との出会い

クラスの超問題児、羽山秋人
「こどものおもちゃ」舞台化で消えたはるかぜちゃんの夢 - NAVER まとめ
こどちゃ1巻は紗南の通う小学校の6年3組が羽山によって学級崩壊しているシーンから始まります。
羽山が生まれたと同時に母親が亡くなっている事が原因で姉から悪魔と言われていた羽山は荒れに荒れ、生徒ばかりではなく先生の弱みも握って陰湿ないじめを繰り返していました。
紗南は持前の明るさと負けん気で羽山に立ち向かいますが、首を絞められてしまいます。

羽山の力に圧倒される紗南
こどものおもちゃ1巻
羽山が握っていた教師同士のちちくり写真を回収すべく、羽山の家で張り込む紗南。何か弱みを握ってやろうと思っていたのですが、目に移った光景は羽山が姉に「悪魔」とののしられ寂しそうに家を出ていく姿でした。その後紗南は羽山の父親と姉を『親子丼バカ』と叱咤し、羽山家の仲を変えていきます。

二人は絆を深めあう仲に
こどものおもちゃ1巻
紗南の事を好きになった羽山でしたが、ヒモの恋人がいる紗南が口にした『キスくらいは当たり前(ほんとはほっぺた)』に嫉妬し、思わず紗南にキスしてしまいます。紗南と羽山はその後気持ちがすれ違いながらもお互いをかけがえのない存在として認識していきます。
『私と娘』出版
紗南と美紗子の自伝が出版される

紗南と美紗子の知名度が上がった為、約束通り紗南の生い立ちについて書いたエッセイ『娘と私』が出版されます。紗南は美紗子の本意が怖くずっと聞けずにおり、執筆中に行った林間学校では羽山の前で本音を吐いて泣いてしまいます。
本の目的は、本当の母親に名乗り出てきてもらうこと

出版されたエッセイの各章タイトルの頭文字を繋ぐ母親名乗り出なさいとなります。紗南は本当の母親が出てきたとき、美紗子がどうするのか。あくまでこの為に今まで自分を育ててきたのかと不安になります。
本が出版されて間もなく、紗南の生みの親である坂井佳子が名乗り出ました。
そのとき美紗子は

美紗子は紗南を捨てた母親に許せない怒りをずっと秘めていました。自分が見つけたからよかったものの、紗南は死んでいたかもしれないからです。平手打ちを一発した後、紗南の判断にまかせるとその場を去ります。
紗南は自分が14の頃同じ事があったら捨てちゃうわと笑って接します。今の生活がすごく好きだから、気にしないでと。暗い話が母親から告げられる中、紗南は誕生日が3月7日でいいのか聞きます。もし3月6日だったサムになってしまうと話し、その場をなごませる紗南。
紗南の気持ち

誤解が解けたふたり
こどものおもちゃ4巻
紗南は実の母親と父親違いの妹と遊園地に遊びに行きます。楽しい時間を過ごしますが、いつか紗南と暮らしたいという母親に『あなたを母親とは思えない』と宣告した紗南。生んでくれなきゃ皆に逢えなかったとお礼を言って美紗子の元へ帰ります。
美紗子は紗南の母親が出てきたら、紗南を連れていってしまうのではないかと不安だったことを話します。紗南と美紗子、お互いに母親の存在におびえているもの同志でした。
私はここにいてもいいのかと聞く紗南に当たり前と答える美紗子。二人の関係が本物になった瞬間です。
スターになっていく紗南
水の館で迫真の演技を評価される紗南

共演者の男の子と噂された腹いせから、男の子のファンにリンチされ負傷する紗南。館が燃えるシーンではヒビの入った足を引きずりながら脱出し、迫真の演技を見せる事でますます女優としての評価を高めていきます。
羽山との破局から、仕事に逃避

紗南はもともと劇団こまわりの生徒でしたが、羽山が親友と交際するようになったせいもあり学校から逃げるように仕事を入れてと玲くんにお願いするようになります。大手芸能プロ星都芸能に所属が決まった紗南はただのチャイドルから国民的スターへと躍進を遂げます。
人形病

羽山家が海外転勤になり転居する事をしった紗南。泣き場所だった羽山が遠くに行ってしまったストレスから美紗子命名の『人形病』になってしまいます。本人は笑っているつもりなのに、表情が全く変わらないおそらくうつ病の様な症状が紗南を襲います。紗南は鏡に向かって笑います。紗南の見る鏡越しの自分は笑っているのに、周りの目に映る自分は笑えていない。
暗いテーマの多いこどちゃを明るくしていた紗南の笑顔が失われ、辛くて読むのを辞めてしまった女子も多かったとか。それほど衝撃的な展開でした。
不完全燃焼と言われたラスト
海外から一時帰国した羽山と紗南は、紗南がやっている子供相談室に相談してきた子供に逢いに行きます。子供の相談を解決して、ラスト。一部では不完全燃焼と非難された最終回でした。
紗南と羽山のその後 番外編Deep Clear

結婚し、幸せになった紗南
【ネタバレ】羽山と紗南(´... - 照片共享页面「撮影蔵」
番外編では紗南が23歳の時羽山と結婚した事が描かれています。紗南が妊娠したことで、出産に伴い自分の母親の様に命を落としてしまうのではないかと恐れた羽山と別居している状態。
しかし、紗南は元気な女の子を生み、家族は3人に増え幸せに暮らしたという所で終わっています。
壮絶な紗南の人生でしたが、いくつもの壁を乗り越えハッピーエンドで終わっているので、ほっとしますね。