『タクティクスオウガ』(1995年・スーパーファミコン用シミュレーションRPG)

『タクティクスオウガ』(1995年・スーパーファミコン用シミュレーションRPG)

タクティクスオウガ 運命の輪 Art Works (画集) 大型本
『タクティクスオウガ』の「民族紛争」を扱った超重厚かつ緻密なゲームシナリオ

聖騎士ランスロット「きみたちのような若者が戦わなくてもよい・・・そんな世界を築きたいものだな・・・」
『タクティクスオウガ』では、架空の世界ゼテギネアにおけるヴァレリア諸島でのウォルスタ、ガルガスタン、バクラムの民族紛争による戦乱が、島の少数民族ウォルスタ人の少年デニムの視点から描かれる。
劇中ヴァレリア島では多数派「ガルガスタン人」、支配層「バクラム人」、少数派にして被差別層「ウォルスタ人」がそれぞれ一つの陣営を形成して内戦を戦っており、民族浄化や強制集住など、その対立は非常に根深いものとして描かれている。
この小国間の紛争に島外の大国が介入するというストーリーは、ユーゴスラビア紛争を始めとする現実に起こった各地の民族紛争をモデルとしている。
中世の西欧文化をもとにしながらも、剣と魔法・ドラゴンやグリフォンが息づくファンタジー世界でストーリーが展開するが、本作で特徴的なのは、世界情勢へ神や悪魔などの神秘的な力が直接介入することがなく、あくまで「人間のエゴイズム」によって世界が動いていることである。
民族の起源説話の類は3民族のどれに関しても劇中で一切確認することが出来ず、PSP版「運命の輪」でも結局、「ウォルスタ人」「ガルガスタン人」「バクラム人」とは何なのか、が明らかにされることはなかった。
ウォルスタ人(少数民族)

プランシー神父「己を棄てろ、大義のための礎となれ」
ウォルスタ人は主人公デニム達が育った島の南部に主な勢力圏を持つ少数民族。かつてはロデリック王がドルガルア王と島の覇権を争っていた程だったが、物語開始時点では指導者のロンウェー公爵がガルガスタン王国に囚われているなど、敗北寸前の状況であった。ロンウェー公爵救出後は有志が「ウォルスタ解放軍」を組織、ガルガスタンの支配体制から脱出を図るようになる。
ガルガスタン人(島民の七割を占める多数派)
ガルガスタン人は主に島の西部に勢力を持つ民族で、島民の七割を占める多数派である。物語開始時点ではバクラムに対抗して、バルバトス枢機卿が中心となった急進派による「ガルガスタン王国」が建国され、バクラムを牽制すると同時にウォルスタ人を支配していた。しかし多数派の中には穏健派も多く、内部分裂も起きているようである。
バクラム人(支配者階級)
バクラム人は島民の二割ほどを占める少数派民族だったが、ドルガルア王ら旧ヴァレリア王国の王族がバクラム人だったため、ドルガルア王の死後も支配者階級として存続することになる。やがてローディス教国の庇護の下、司祭ブランタが「バクラム・ヴァレリア国」を建国し独立を宣言。島の北部を主な領土とするが、暗黒騎士団の協力が思うように得られなかったことから、それ以上の侵攻はできず膠着状態に陥っている。
『タクティクスオウガ』では敵味方それぞれに魅力溢れるキャラクターが多数登場する

カチュア「(デニムは)私のことなんて・・・これっぽっちも考えてくれないのね。」 結論から言えば、わがままな王女様だなあ・・・若松真人と若松みゆきのような関係になれるかなあ・・・

デニムの選択次第では、とことん落ちぶれる「ヴァイス」。暗黒騎士ランスロットに「殺す価値もない」と言われるほど無残。

暗黒騎士ランスロット

聖騎士ランスロット「命を賭けるということと、死ぬことは全然違うことだ。」

剣聖ハボリム「いつからだろう・・・復讐のためだけに生きるようになってしまったのは・・・」

暗黒騎士バールゼフォンと暗黒騎士オズマ
緻密なゲームシステム:「秩序のロウ」「中道のニュートラル」「自由のカオス」の3ルートに物語は分岐して、重厚なシナリオを重層的に描き切る

重層的なシナリオ・設定。この二人はアライメントが両極の二人です。
タクティクスオウガとは (タクティクスオウガとは) [単語記事] - ニコニコ大百科
アラインメントは、そのユニットの本質や思想を表す物で、秩序と規律を尊ぶロウ(Law)、自由と理想を求めるカオス(Chaos)、柔軟性と客観性を併せ持つニュートラル(Neutral)の3つに分類されている。
全4章がL(Law)、N(Newtral)、C(Chaos)の3つのルートで構成。ルートによってキャラクターの未来が異なるので、色々なルートをやりこみたい。

ひとつの選択肢で主人公の立場が大きく変化し、ルートごとに角度を変えてひとつの事件・人物それぞれを重層的に描写されます。
主人公デニムと、彼を取り巻く登場人物は様々な事情・異なる利害を抱えており、シナリオが進行するにつれてそれぞれの苦悩に見舞われていきます。

第一章の最後で問われる選択:レオナール「これから・・・町の住人を一人残らず殺すんだ。」

忠誠心と倫理観の間で葛藤する悩ましい運命の選択です。この選択でストーリーが大きく変わります。

デニム「・・・助けないと!」とカチュア「ほっときなさいよ、あんな女。どうして助ける必要が!」の意見が食い違う。さあ、どうする?
ひとつの選択肢で主人公の立場が大きく変化し、ルートごとに角度を変えてひとつの事件・人物それぞれを重層的に描写する『タクティクスオウガ』の手法は画期的であった。
全4章が「L」(Law)、「N」(Newtral)、「C」(Chaos)と呼ばれる3つのルートで構成される。
秩序を重んじる「ロウ(Law)」のアライメント
中道を目指す「ニュートラル(Newtral)」のアライメント
自由を志す「カオス(Chaos)」のアライメント
の3ルートに物語は分岐し、また全てのユニットにもそれぞれの志向するアライメントが設定される。
「秩序のロウ」「中道のニュートラル」「自由のカオス」、それぞれのルートを遊ばなければこのゲームを真に堪能したとはいえない…と言い切れるほど、全てのルートの物語は練り込まれている。
凄くやりこんで楽しめる、サウンドノベルのような面白さとも言えましょうか。

大神官モルーバ「カチュアと戦うことができるのか、おまえに?」
『タクティクスオウガ』のグッドエンディング(クリア時にカチュアが生存している場合)
エンディングは「クリア時にカチュアが生存しているか」を分岐の条件として基本的に、カチュアがベルサリア・オヴェリス王女に即位しヴァレリアを治める、俗にいう「グッドエンド」で終わる。

クリア時に「カチュア」が生存していれば、カチュアがベルサリア・オヴェリス王女に即位しヴァレリアを治めるというエンディングになる。
『タクティクスオウガ』のトラウマなバッドエンディング
こんなラスト見るために・・・ここまで頑張ったのか・・・あまりにもトラウマなエンディング。
「クリア時にカチュアが生存していない」場合
デニムがヴァレリアの後継者となった後に暗殺される「バッドエンド」になる
(ルートによる登場人物の違いはあっても内容は、ほぼ同一である)。
「秩序のロウ」「中道のニュートラル」「自由のカオス」、それぞれのルートを遊ばなければこのゲームを真に堪能したとはいえない…と言い切れるほど、全てのルートの物語は重厚かつ緻密に練り込まれています。
全てのル-トをやりこみましょう。Lルートで暗黒道を極めるのも、Cルートの偽善者っぽい道を極めるのもまた楽しいです。
地下100階に及ぶエクストラステージ「死者の宮殿」は熟練者をも唸らせる「やりこみ要素」。何から何まで重厚的かつ緻密で徹底的!
『タクティクスオウガ』のゲームシステム:基本ルール

物語の舞台となるヴァレリア島のマクロマップ(フィールドマップ)

戦闘マップ(シナリオ戦闘):勝利条件もしくは敗北条件を満たした時点で戦闘は終了する。

敵リーダーの最後。「敵リーダーを倒せ」の条件を満たしたことで戦闘は終了する。
『タクティクスオウガ』は戦闘マップに立体地形を採用。「高低さ・ユニットの向き」の概念も導入している。奥深い戦場のドラマが満喫できる。

戦闘マップに立体地形(三次元的なマップ)を採用しているため、より奥深い戦術の運用が可能。
従来のウォーシミュレーションゲームでは、平面上のマップで戦闘が行われ、いわゆる「高さ」「障害物」などの表現は、例えば「地形効果」と呼ばれる数値的要素でなされていた。
『タクティクスオウガ』では戦闘マップに立体地形(三次元的なマップ)を採用。
これに従う形で「高低さ・ユニットの向き」の概念も導入している。低い場所から高い場所には攻撃が届きにくかったり、高台から低地へ矢を撃つと射程が伸びたり、ユニットの背後や側面から攻撃すると命中率がアップしたり、段差や壁など「障害物」を登るのに苦労する…などと戦術にダイレクトな影響を与えるため、戦闘に投入するユニットの選択・運用も奥深いものとなっている。
このシステムの導入によって、高所を確保し投射武器である弓で攻撃するという戦法が非常に強く、逆に近接戦を挑むメリットに欠けることになった。語りきれないほどのリアルな趣を実現させた。

この戦闘マップの場合、屋根の上に配置されているキャラには敵の近接攻撃は届かず、弓の射程距離は飛躍的に伸びます。
『タクティクスオウガ』はストーリー分岐があり、重層化されたストーリーだとは言っても、やはりメーカーが定めたレールの上を進んでいるだけだとは言える。
しかし、そのストーリー線上にいくつもある「戦場のドラマ」はプレイヤーの数だけ生み出されていきます。

(フィダック城)敵のほとんどが高台にいます。前線に着くまでに1、2人は犠牲になりそうだ・・・
『タクティクスオウガ』の精緻な背景と人物画、SFC時代の職人芸の到達点とも称されるドット絵のアニメーション

『タクティクスオウガ』の精緻な背景と人物画はSFC時代の職人芸の極み。凄い。

ドットグラフィックの芸術ですね。
ソフトのデータ内に「チュートリアル」という項目がゲーム本編とは別に設けられており、ゲーム内で必要となる知識をプレイヤーが此処で詳しく学ぶ事が可能
「チュートリアル」はゲーム本編で何時でも(戦闘時であっても)使用でき、出現するカーソルで忘れた項目や、不明な項目の解説や意味をリアルタイムで知る事が可能である。
このヘルプメッセージで得られる情報の種類は、ゲームを通して非常に重要な事柄から、ネタ的な意味のない事柄まで膨大な物である。