『パーフェクトブルー』(1997年・アニメ映画)

『パーフェクトブルー』(1997年・アニメ映画)
「英国メディアが選ぶ “すばらしいアニメ映画” ベスト30」の中でパーフェクトブルー(1997年 / マッドハウス / 日本)は25位にランクイン

パーフェクトブルー(1997年 / マッドハウス / 日本)は25位にランクインしています。海外評価が高いことで有名な作品です。
1.トイストーリー(1995年 / ピクサー / アメリカ)
2.千と千尋の神隠し(2001年 / スタジオジブリ / 日本)
3.美女と野獣(1991年 / ディズニー / アメリカ)
4.白雪姫(1937年 / ディズニー / アメリカ)
5.AKIRA(1988年 / トムスエンタテインメント / 日本)
6.となりのトトロ(1988年 / スタジオジブリ / 日本)
7.サウスパーク/無修正映画版(1999年 / コメディ・セントラル / アメリカ)
8.Mr.インクレディブル(2004年 / ピクサー / アメリカ)
9.戦場でワルツを(2008年 / ブリジット・フォルマン・フィルム・ギャング / イスラエル)
10.ジャングル・ブック(1967年 / ディズニー / アメリカ)
11.火垂るの墓(1988年 / スタジオジブリ / 日本)
12.ライオンキング(1994年 / ディズニー / アメリカ)
13.ロジャー・ラビット(1988年 / タッチストーン・ピクチャーズ / アメリカ)
14.ファンタスティック・プラネット(1973年 / アルゴスフィルム / フランス、チェコスロバキア)
15.アラジン(1992年 / ディズニー / アメリカ)
16.ウォーリー(2008年 / ピクサー / アメリカ)
17.ナイトメアー・ビフォア・クリスマス(1993年 / タッチストーン・ピクチャーズ / アメリカ)
18.ファンタジア(1940年 / ディズニー / アメリカ)
19.ウォーターシップダウンのうさぎたち(1978年 / CIC / イギリス)
20.アイアン・ジャイアント(1999年 / ワーナー・ブラザーズ / アメリカ)
21.ファインディング・ニモ(2003年 / ピクサー / アメリカ)
22.ダンボ(1941年 / ディズニー / アメリカ)
23.シュレック2(2004年 / ドリームワークス / アメリカ)
24.スキャナー・ダークリー(2006年 / ワーナー・インディペンデント / アメリカ)
25.パーフェクトブルー(1997年 / マッドハウス / 日本)
26.もののけ姫(1997年 / スタジオジブリ / 日本)
27.シュレック(2001年 / ドリームワークス / アメリカ)
28.ペルセポリス(2007年 / ザ・ケネディ/マーシャル・カンパニー / フランス)
29.トイストーリー2(2004年 / ピクサー / アメリカ)
30.ファンタスティック Mr.FOX(2009年 / 20世紀FOX / アメリカ)
出典 英国メディアが選ぶ「世界のアニメ映画トップ30」 日本からはジブリ作品『AKIRA』『パーフェクトブルー』が選出! | ロケットニュース24
http://rocketnews24.com/2014/05/21/443591/
アイドルグループの「チャム」に所属する霧越未麻(きりごえ みま)は突如グループ脱退を宣言し、女優への転身を計る。

霧越未麻(きりごえ みま)

アイドルグループの「チャム」雪子・未麻・レイ

内田守(うちだ まもる)

非常にやばい、アイドル「未麻」のストーカーなファン・・・

自分の手のひらにアイドル「未麻」が乗っているように見える・・・やばいですねえ・・・

女優に転身する「霧越未麻(きりごえ みま)」

未麻のマネージャー「ルミ」(見ていれば、黒幕はこの人しかいないと分かりますが・・・サイコキラー)
アイドル時代からは考えられなかったような体当たりな仕事をこなしてゆく未麻

「ダブルバインド」という「劇中劇」のシーン。レイプシーンを演じる。劇中劇も頻繁に入り混じるのが本作の特徴。

【R-15指定・18禁】な体当たりな仕事も引き受けるのは、かつてのアイドルからの脱却を目指すためと自分を納得させる。

村野(むらの)

ヘアヌード写真集の撮影までする
女優になるためのステップ、苦労だとしても、本意ではない仕事。精神的には追い詰められており、後悔の念も。
結果、アイドル時代の自分を思い返すことに。女優を目指すことが、自分にとって本当に正しかったのだろうか?
未麻はストーカーに監視されていたのだった。黒幕の正体は?

未麻になりすました何者かが開設したウェブサイト「未麻の部屋」

この「未麻の部屋」を更新しているのは誰なのか?

ミーマニア・内田守が真の黒幕でないのは分かりやすい。

ミーマニア・内田守の部屋・・・
未麻は現状への不満を募らせ、アイドル時代の自分の幻影さえ見るようになる。現実と夢の区別がまったくつかなくなっていきます。
アイドルから女優への転身に対する不満や不安が募る

この熱帯魚はオタクやファン、アイドルの追っかけのことである・・・というのは納得の考え方です。

熱帯魚が死んでしまったということは(アイドル未麻の)ファンが離れていってしまったことを意味している。

今の自分の生活は、自分が望んでいたことなのだろうか?
鏡の中にアイドル時代の「未麻」の幻覚を見るようになる

女優の「未麻」とアイドル時代の「未麻」の幻影
アイドル「未麻」の幻影が、どんどん出てきます。鏡の中のアイドル「未麻」。夢の中の「未麻」。
劇中劇「ダブルバインド」の「未麻」の出演カット。これらが、日常生活を送る「未麻」の中にどんどん割り込んできます。
結果、これらの多様な「未麻」が極度に錯綜しだします。そのため、今見ている「未麻」が現実なのか、夢なのか、妄想なのか、幻影なのか、劇中劇のシーンなのか分かりにくくなります。
また現実と思っていたら、あっという間に劇中劇に切り替わるため、半端ない錯綜状態になるのです。
この錯綜状態が続くことが本作の最大の特徴であり、トリックです。
この錯綜状況・錯乱状況が、ものすごく身近にいる真犯人を隠すのです。
またミーマニアの露骨な気味悪さも、真犯人を隠す効果を発揮していると思っています。
未麻の事務所に手紙爆弾が送りつけられたり、関係者が次々と殺される猟奇的な事件が発生する。

裏切者、裏切者・・・というFAX攻撃
未麻の周囲で殺人事件が起こります。被害者は、未麻と関係のある人たちです。
未麻は自分の部屋で血に汚れた服を見つけ、無意識のうちに自分が殺人を犯したのかと思い、激しく動揺します。
殺される者は、未麻にレイプシーンを書いたり、未麻のヘアヌードを撮ったりした、アイドルの未麻のイメージを壊すような人たちです。
真犯人は、明らかに未麻の「アイドルとしてのイメージ」を守ろうとしていました。
ここで、真犯人はほぼ特定できます。犯人が未麻もしくはミーマニアでなければ、殺害動機的には、ほぼマネジャー「ルミ」だけに絞り込めます。
未麻は誰もいないスタジオ内に拉致され、ナイフを持ったミーマニア・内田に殺されそうになります

未麻は誰もいないスタジオ内に拉致され、ナイフを持った内田に殺されそうになります。

未麻は内田にトンカチの一撃を食らわす
ここでも劇中劇のシーンが挿入されるため、きわめて状況判断が困難です。どこまでが現実で、どこからが劇中劇なのか。もしくは錯乱状態の未麻が見た幻影や妄想も反映している可能性があります・・・
大事なことは、未麻は生き残った!ということです。
黒幕はミーマニアを活用した未麻の殺害に失敗したのです。
そうすると、最後には、黒幕自体が姿を現すことになるでしょう。
真犯人は乖離性同一障害の多重人格者・サイコキラーの「ルミ」

全滅していた熱帯魚が生きている・・・この部屋は自分の部屋ではない・・・ルミが未麻の部屋を真似して作ったルミの部屋・・・と異変に気づいた

この部屋は、未麻の部屋に似せたルミの部屋だったのである・・・ルミが登場
この作品では、鏡は、二つの役割を果たしているようです。
1)幻影体や妄想体が表に出現している場合、鏡には真の本物および実態が映っている
2)本体や実態が表に出現している場合、鏡には心の中にある本音や深層心理的な願望が映っている
と考えられます。

「アイドル時代の未麻の幻影=赤い衣装を着たルミ」がアイスピックで未麻を殺そうとしてくる「お前は未麻の偽物なんだ」

アイスピックで襲い掛かってくるルミ

ルミは自分とアイドル時代の未麻を同一視している。アイドルの未麻と自分の境目が分からなくなっている。

このアイドル姿の未麻も幻影であり、実態はルミ。

未麻は、ギリギリ寸前でトラックにひかれそうになるルミに体当たりして吹き飛ばし助ける

ルミは助かったが、精神病院に強制入院させられる。

見舞いに訪れる未麻。

ルミの実態と鏡に映るルミの願望=アイドル未麻
このルミの鏡のシーンでも
鏡の役割は、やはり、実態が表に出ているために、ルミの願望的心理、同一視したい対象であるアイドル未麻が映っています。

未麻「私は本物だよ」
最後の未麻の「私は本物だよ」の意味は
おそらく、映画の視聴者に対して安心感を与えるサービスです。
本作品では
未麻の現実・未麻の夢・未麻の妄想・未麻の幻影・劇中劇の未麻・ミーマニアの妄想・ルミの妄想・・・これらの「未麻」が激しく錯綜しています。
意図的にどの未麻が真実の、本物の未麻か分かりにくくなるように錯綜させまくっています。
かなり強引な手法です。
ゆえに視聴者は、一見するだけでは、もはやどの未麻が本物かどうか分からなくなります。
最後の最後でも視聴者はまだ安心できないかもしれない。
最後の病院のシーンも夢かもしれないし、劇中劇のシーンの可能性もあります。
そうではないと。もう、未麻に関してはそういう錯綜状態は終わったと。
最後の未麻は、他の誰でもなく、幻影でもなく、夢でもなく、劇中劇でもなく
正真正銘の本物の未麻です!
とストレートに表現した、エンディングなのではないかと思いました。
視聴者に対して、「本物の未麻」ですよ、未麻は女優として頑張っていますよ。
どうぞ安心してくださいという製作者側(本物の未麻)のサービスではないでしょうか。
きれいに終わらせたと、素直に解釈しました。