
アニメとはまったく違います!^^; ハードな“原作”漫画
「マーズ」というと、81年に放送されたアニメ「六神合体ゴッドマーズ」を思い浮かべる方も多いかと思いますが、漫画マーズはアニメゴッドマーズのいちおう“原作”ですが、まったく別ものです。ゴッドマーズは、悲劇の美形主人公ら男性キャラクターが好評で人気だったように思いますが、漫画“原作”の方はなかなかハードな内容となっております、、f^^;
「マーズ?ああ、あのアニメのね」という方にこそ、そのアニメ版と異なる存在を知ってほしい作品ですf^^;
同じく76年から77年に単行本、全5巻が発行されました。
以下、そのストーリーをご一緒に追ってみましょう。
あらすじ
人類の試し〜 タイタン
目覚めたマーズが発見されたことを知り、地球を監視する6人の男たちは、彼が正常に機能していないと推測し、そのうちの一人を彼のもとへ向かわせます。
マーズと会って彼を連れ出し、彼が正常かどうか確認する男。素手で大岩を割り、高速で疾走し、飛ぶように跳躍し、身体機能は「正常」でありながら、彼は男のことを思い出せないなど、自分の使命についてはまったく記憶にないのでした。
地球人の行動を監視する彼ら6人は、彼らの「神体」にデータを送り込み、危険な実験をするような国があれば神体の力で吹き飛ばすべく存在するのですが、人類が宇宙侵略に乗り出すとみたときには、マーズが操るべき「ガイアー」が地球全体を破壊するようにセットされていたのでした。
彼らはそれを100年後とみてマーズとガイアーを備えたのですが、男は言います。「しかし早く目覚めてよかったかもしれん おまえが正常ならばな…/地球人類の進歩は我々の計算より早い 百年後では遅すぎたかもしれん!/人間こそ恐ろしい怪物だ!!」

タイタン
海中に隠されていたタイタンがマーズの目覚めと連動して地上へ“偵察”に向かいます。ただ陸へ向けて移動し、上陸しては直進するのみですが、自衛隊はタイタンに可能な限りの攻撃を加えます。こうやってタイタンは人類の破壊兵器のレベルのデータを取っているのです。
撤退する戦車を踏みつぶすタイタン—。マーズはタイタンに命じて引き返させます。
しかし、自衛隊は海中のタイタンをなおも攻撃、米軍は対潜核ミサイルでタイタンを破壊します。
ガイアーの始動〜 地球の終わり

マーズの命令でガイアーは爆発し地球は塵と化すはずでしたが、「あんたが恐れるほど地球人は残忍で好戦的とは思えないんだ」というマーズは、どうしたらいいのかわからないと言います。命令がなくてもマーズが死ねばガイアーは爆発し地球は終わる。彼が任務を果たさないなら、彼を倒して自分たちが果たすと迫る男に、マーズは十日間だけの猶予をもらいます。
最初の刺客〜 ウラヌス
ガイアーの起動と同じく、エジプトのスフィンクスなど世界の6つの遺跡が姿を消します。遺跡と思われていたものは、彼らの六神体だったのです。
猶予の間にマーズが記憶を取り戻して正常になり、使命を全うすると期待した6人の男たちでしたが、マーズはその間人類の歴史を学び、「確かに残忍な行為は数多く見られます/でもみんなそれを勇気をもって発表し二度と起こらぬよう警鐘としています/ぼくは人間が仲間がいうほど悪いとは思えないんです」、自分に地球全人類の命を奪ってよいという権利があるでしょうか、とガイアーの爆発を命じませんでした。
期限がきても爆発が起こらないのをみた6人は、行動を開始します。
春というのに日本じゅうが豪雪に見舞われます。富士山頂に不審な動きがあることを知ったマーズが向かうと、そこには広告気球に偽装した六神体の一つ「ウラヌス」の姿がありました。この豪雪はウラヌスによるものだったのです。

ウラヌス
廃虚と化すエジプト〜 スフィンクス
消えたスフィンクスがエジプトの砂漠に現れます。表面の土が落ちるとなかには金属製のスフィンクスが。戦闘機を引き寄せ、戦車に迫り、太陽のような高熱ですべてを溶かし、エジプトじゅうを廃虚と化します。マーズはエジプトに。

ミロ(スフィンクス)
第三の神体

瀕死のマーズ〜 シン
闘いで重傷を負ったマーズですが、人類の医学では治療のしようもなく、身体中が腐っていきます。
ガイアーに「安全な所」へと命じて運ばせるマーズ。そこを第四の神体が襲います。

シン
東京を火の海に〜 ウラエウス
ガイアーが向かっているのは、マーズが発見された秋の島新島の彼のいた施設でした。そこだけが彼を治療することができるのです。
第四の神体と接触した際に、マーズが瀕死であることを見てとった男たちは、神体ウラエウスを先回りさせ、施設を破壊しようします。しかし、施設の応戦兵器に苦戦し、マーズが施設に戻り治癒することを許してしまいます。
調査に上陸し噴火で施設に幽閉されていた岩倉記者は、施設の情報を解読し、マーズの命令がなくとも六神体がすべて破壊されれば、ガイアーが爆発してしまうことを、彼に伝えます。
回復したマーズを運ぶガイアーを襲うウラエウスですが、六神の破壊がガイアー爆発につながることを知ったマーズは反撃が指示できません。
自衛隊艦隊を殲滅したウラエウスは、マーズがこれ以上新情報を得ないよう、いったん秋の島新島に引き返し施設を破壊してしまいます。

ウラエウス
人間への疑念
戦闘での重傷で死んでいく岩倉記者の言葉で、防衛庁長官は、マーズらが人工細胞でつくられた人造人間で、感情がなく死をも恐れず命令されたことを遂行するために生み出された存在であることを知り、彼が「正常」に戻ることをおそれ、彼を軟禁し、ガイアの解体を試みます。
ウラエウスがマーズの引き渡しを要求して東京を攻撃した際には、マーズを引き渡せという暴動が起き、自衛隊は市民に向けて発砲も。ウラエウスを葬ったマーズですが、かすかな疑問が生じます—。
最後の使者〜 ラー
残る最後の神体ラー、搭乗するのはマーズが正常に戻るよう彼に接触し、唯一彼と直接会っていた男です。
ウラエウス同様、マーズの引き渡しを要求し、聞き入れなかったとして東京を攻撃します。

ラー
マーズが軟禁された施設からはガイアーにバリアをはらせることもできないので、彼は自衛隊に伴われ外へ。
ラーは核爆弾を投下してマーズを亡き者にしようしますが、ガイアーによって吸引され核爆弾は宇宙へ。ラーは爆発に飛び込み、自爆を図るも失敗します。
探知ロボットの映像で、追い詰められた人々がマーズを嫌い攻撃しているのを見た男は、〈マーズを渡せば地球が滅ぶ〉というのは政府の嘘だと吹き込み、市民らにマーズを狩り出すように脅し、街に攻撃を繰り返します。
人類が生きのびるための唯一の方法
マーズのいた施設で情報を取っていた岩倉記者の遺したメモを精査していた政府首脳は、六神体が破壊されてガイアーが爆発するのは、外部からの破壊によるときだけで、内部の破壊や故障で機能停止した場合はガイアーは爆発しないことを突き止め、ラーに殺される間際、マーズに伝えます。
自衛隊の狙撃兵がラーの飛び回る探知ロボットを一つ一つ撃ち落としていきます。反撃で兵は次々殺されていきますが、一人狙撃を続ける者が—マーズです。マーズが頭から飛ばした頭髪は硬質化し、弾丸のように探知ロボットを撃ち落としていきます。
ついにすべての探知ロボットを失い、外部を正面しか見られなくなったラー。
その唯一のカメラをマーズは持っていたガムで塞ぎ、どうしても視界を回復できないために、男が機外に出ます。そこを内部に入り込み、破壊するマーズ。
終結
六神体の破壊によるガイアーの爆発という道は断たれました。
男は自らマーズを殴り殺そうとしますが、逆に倒されてしまいます。
男はマーズが正常に戻るよう最後の言葉で語りかけます。
「この地球上で人間ほどおそろしい動物はいないんだ」
〈かれらは地球上の他の動物を/次から次へと滅ぼし/さらに大自然まで破壊を進めている/川を汚し海を汚し/人類発展のためと称してとどまるところをしらない/いま地球上で異常な繁殖をつづけているのは人間だけだ/いまにかれらはこの地球を死滅させ かならず宇宙にとびだしてくる/そして他の星で同じことをくりかえす〉

