幅広いバリエーションの全155話
現在も新作がつくり続けられているわけですが、「ルパン三世」といえばこのTVシリーズの2作目、いわゆる「赤ジャケ」のルパンを想起される方、とくにこのサイトをご覧の方には多いのではないでしょうか。放送は3年間全155話に渡り、2016年現在、ルパン三世シリーズでの最長寿です。
TV第1シリーズ後半の“マイルド”なルパンを基本線として守ったことによる受け入れやすさなど、人気を博した理由は多々あれど、その最大の魅力は多彩な制作陣によるハナシのバリエーションの広さにあるのではないでしょうか。
(本放送時は低視聴率で打ち切りになった第1シリーズは、筆者のような田舎の子どもには当時観ることができなかったかもしれませんしね、、T.T)
赤ジャケルパンを彩った才人たちの仕事を確認しながら、ルパン三世を振り返ってみましょう。
ルパンと仲間ととっつぁんと
まずは今作のルパン一味と彼らを追う銭形警部についていちおうおさらいを^^
シリーズごとにキャラクター造詣には微妙に違いがあったりしますからね。
ルパン三世 声:山田康雄
フランスの怪盗アルセーヌ・ルパンの孫。世界を股にかける大泥棒。盗みの頭脳と技量に関しては天才的で、変装の名人でもある。
女たらしの三枚目。自ら三枚目を自認する振る舞いは、この第2シリーズで定着したキャラクター。
原作漫画や第1シリーズ前半ではダークな雰囲気もあり、殺しも冷酷に行い、セックス描写や類するものあるが、今作のルパンは進んで殺人を行うこともないし、セックス描写もなく、比較的親しみやすい造詣になっている。ただ、直接的な殺人シーンは少ないものの、今作でもルパンが直接間接に殺人を行っている回は存在する。
また、ルパンをボスとするルパン帝国なる秘密の組織の設定も今作では消え、ルパン単身か、次元、五右ェ門、ときに不二子という数少ない定まったメンバーで仕事にかかる一匹狼的な存在となっている。
今作では赤いジャケットがトレードマークとなっている。
次元大介 声:小林清志
S&W M19 コンバット・マグナムを使う凄腕ガンマン。ルパンの相棒。
以前は、殺し屋、ボディガード、傭兵などさまざまな裏稼業についていたと思われる。
ソフト帽がトレードマーク。ヘビースモーカー。
石川五右ェ門 声:井上真樹夫
安土桃山時代の盗賊石川五右衛門、十三代目の子孫。斬鉄剣を使う剣の達人。
着物に袴、雪駄履き。
原作漫画や第1シリーズでは、ルパンの敵として登場し、その後仲間となってからもルパンたちとは独自の距離をおいているが、今作では最初からルパンの仲間として登場する。
峰不二子 声:増山江威子
グラマー美女。自らの欲望に忠実な悪女で、目的のためならためらいなくルパンらを裏切り、獲物を横取りしたりする。
ただルパンは彼女にべた惚れしており、「裏切りは女の特権」といって、何度騙されても彼女の頼みを聞いてしまう。不二子との戯れ合いとして楽しんでいる節もある。ただし彼女の頼みはすべて聞き入れるわけではなく、彼の信念に反することなどは断ったりもする。
ルパンのことを憎からず思っているが、彼に盗みを働かせるためなど以外で擦り寄ることは少ない。
銭形警部 声:納谷悟朗
銭形幸一。ルパン逮捕に執念を燃やす、警視庁の警部。ICPOに出向しており、ルパン専任捜査官。銭形平次の子孫。
縄を付けた手錠を投げかけ、相手を生け捕りにする技術を持つ。また、先祖代々伝わる十手を所持。
ルパンを飽くまで泥棒として逮捕(=生け捕り)することを悲願としており、殺害しようとする企みはたとえ味方のものであっても妨害している。また、彼を殺人者などとする扱いには断固反対している。実際、何度かルパン逮捕に成功しているが、その度に逃げられている。
彼との間に奇妙な友情が結ばれており、ルパンの死(の偽装)には号泣し仇を取ろうとしたり、彼との共闘をとったりしたこともある。
ベージュのバーバリー製トレンチコートと同色のソフト帽がトレードマーク。
2ndルパンの豊潤を生み出した才人たち
放送が3年の長きに渡ったということもありますが、大隅正秋氏の演出を経て高畑勲氏と宮﨑駿氏のAプロダクション(のちのシンエイ動画)のグループ演出となった第1シリーズに対して、第2シリーズは実に多彩なスタッフが各話個性豊かな作品として仕上げました。
第52話から監修にはいった映画監督鈴木清順氏人脈の映画人など、
脚本演出のその主だった才人たちをご紹介していきます。
先陣きるベテランの手腕、山崎忠昭
山崎忠昭 - Wikipedia
引用にもあるように、山崎氏は多くのTVシリーズアニメで第一話を担当しています。もっとも重要で、その作品の世界観をそつなく伝えなければいけない第一話。山崎氏にはそれをまとめあげる才がおありだったのでしょう。
第1シリーズ終了後にバラバラに散っていたルパン一味(と銭形。銭形はなんと信州の片田舎の駐在所にとばされていました(!)^^;)がルパンの招集で「同窓会」と思いきや、それは偽の招待状による罠で、、という導入が楽しくみごとな、第1話「ルパン三世颯爽登場」。
この黒幕は、第1シリーズにも登場してルパンをつけ狙った、犯罪シンジケート・スコーピオンの首領ミスターXなのですが、倒されたはずの彼がまたルパンに立ちはだかる、65話「ルパンの敵はルパン」も山崎氏の手によるものです。
ハードボイルドの味わい、大和屋竺
ちなみに、筆者が傾倒する戯曲家のご師匠でもあられます。
次元の悲恋と、彼とルパンが対決する嵌めに陥れられるハードボイルドな、第26話「バラとピストル」がかっこよい!
目の見えない娘の手術費のためにルパンと対峙する老兵と、彼女に天使と思い込まれた五右ェ門の哀しい優しさが胸を打つ、第103話「狼は天使を見た」も同じくハードボイルドな味わいです。
後述のカリオストロの城なぞより断然、ルパン三世ものとして筆者が評価する、劇場映画化第1作「ルパン三世 ルパンVS複製人間」の脚本も、大和氏であります。
若松プロ 筋金入り、高橋伴明
高橋伴明 - Wikipedia