進取の系譜、今回はいいとこ取りのはずだが、、
79年の機動戦士ガンダムの成功から、イデオン、ダグラム、ザブングル、ダンバイン、ボトムズと、常にロボットアニメの進取を図ってきたサンライズ作品の系譜。
その流れを受けて84年放送された「機甲界ガリアン」、みなさん覚えておいででしょうか?
全25話、全体としては消化不良な印象も残した作品でした、、
放送開始を筆者はわりと好意的に迎えたのですがねえf^^;
ダンバインで切り拓いたファンタジーという分野を、ボトムズぽいハードな世界観(原作、監督が高橋良輔氏、キャラクターデザインが塩山紀生氏でボトムズと同じ)で描いた、しかし主人公とヒロインの年齢はぐっと下げて童話風な設定でもあります。メカニックデザインはボトムズも手がけた大河原邦男氏ですが、クレジットに名を連ねる出渕裕氏の味も入っておりますね。
おハナシは古典的児童向けファンタジーの意匠で始まり、、
さて、おハナシは、
当初ジョジョは自分が失われし王国の王子であることを知りません。
実は王子である主人公が亡き王国復活のために国を奪った征服者と闘う、、最初、ガリアンの物語は古典的な児童向けファンタジーの様相で始まります。
ボーダー王国再興を担う王子、ジョルディ(ジョジョ)と仲間





実はこの世界のより上に、、
重力の谷、そして
ガリアンを見つけたジョジョたち。そんなとき、マーダル軍が白い谷を襲います。

その圧倒的力を発揮、マーダル軍機甲兵を破ったガリアンですが、ひと月ほど前に白い谷に流れてきたという女性ヒルムカに、謎の発光体の船でチュルルを連れて行かれてしまいます。追うジョジョ。
さらにそのジョジョを、マーダル軍の親衛隊隊長ハイ・シャルタットが阻みます。


ヒルムカに導かれ、ジョジョはものの重さがなくなる重力の谷に。
そこで、レッド・ウィンドウなる泥棒の力を借ります。やがて、マーダル軍の機甲兵の発掘場に至るジョジョ。
機甲兵は過去に栄えた文明の遺物だったのでした。
そして、重力の谷も、マーダルの重力装置によりつくりだされたものだったのです。

実は惑星アーストは、クレセント大銀河の惑星連合「高度文明連合」から不干渉監視される存在であり、ヒルムカはその調査監視を任じられた調査員だったのでした。
ファンタジーと思ったらSF世界に組み込まれたものだったという構造だったのですね。

ガリアンの強化
ジョジョのガリアンを逃したハイ・シャルタットですが、彼と決着をつけたい執念から再び独断で出撃します。
マーダル軍のローダン将軍は、ハイ・シャルタットもろとも、重射兵モノコットの砲火に晒します。チュルルたちを守ろうとしたガリアンは損壊してしまいます。


マーダルもまた、、
反マーダルの新たな闘士たち
白い谷とガリアン重装改の再びの危機に、鉄の鷲を伴に、赤に彩られた人馬兵たちを率いた機甲兵の軍勢が駆けつけます。
地方豪族ドン・スラーゼンの軍です。





征服王の正体
マーダルの正体、、
実はマーダルは、ヒルムカと同様、高度文明連合に属するクレセント銀河の惑星ランプレートの人間だったのでした。
反乱を起こし破れたマーダルは、同志であったローダンやプロッツとアーストにやってきたのでした。

機甲兵などの高度な文明を有していたアーストの第一次文明人こそが、後の高度文明連合、クレセント銀河文明を築いたのでした。つまり、マーダルやヒルムカ、ランプレート人も元はアースト人から起こっていたのです。
彼の真の目的は、アーストを制圧し、その軍勢でランプレートに騒乱を起こし、与えられた平和に無気力になったランプレートの人間を覚醒、再生させることだったのです。
その野望の果て、、
石像のように眠らされ囚われている母フェリア王妃を人質に、マーダルへの協力を迫られ揺れるジョジョですが、結局屈することはありませんでした。
一方、行動を共にしてきたランプレート人であるローダンやプロッツは、アーストでの今の地位を捨てようとするマーダルに反旗を翻します。ハイ・シャルタットによりこの反乱は抑えられますが、
蘇生した母を追って「鉄の塔」までやってきたジョジョたち白い谷の面々は、ランプレートに転移させられます。実は鉄の塔は、マーダルが発掘した、アーストの第一次文明人の空間を跳び越えることのできる装置の鍵だったのでした。
両軍の闘いでの騒乱で、ランプレート人に恐怖と憎悪を掻き立てようとするマーダル。しかし、高度文明連合は、自分たちもその全貌を把握していない装置イレーザーで、彼の企みを空間ごと消滅させようとします。
このことを知ったマーダルは闘いを停止し、自分と、それから最期まで伴をするというハイ・シャルタットを残し、
ジョジョに未来を託すと、彼らを再び空間跳躍でアーストに帰します。

不遇の作品、、駆け足のラスト
非情の打ち切り
ファンタジーで始まっておいて、実はSFだという構造、当時のアニメとしては凝ったつくりだと思うのですが、いかんせん設定が多くて(それ自体は別に悪いことじゃないんですけどね)ハナシがとっ散らかってるようです、、
うまくまとめて見せれない感じでしょうか。
もっとも、本来は倍の長さあるところを、打ち切りでこの話数に押し込めたそうです。
ということらしいですが、個人的には、後半があって高度文明連合編があったとしてもハナシの混迷が続くか余計混乱したのではないかという気もしますが、、どうだったんでしょうね^^;
人気が得られなかったプラモデル
、、厳しいですね>_< 結局、玩具やプラモデルが売れないとダメなのかも知れませんね。
放送前の設定やイメージ画には心躍るものがあったのですが、設定画ですらちょっと野暮ったくなってしまってますものね、、あの格好良さを伝えるには、当時のアニメ画やプラモデルではつらかったのかも知れません、、


「子どもらしさ」?
今回少し観直してみて、主人公ジョジョの声、菊池英博さんの声というか発声の仕方もちょっとつらいものがありました。
菊池さんは当時13歳。12歳の男の子の主人公を、成人女性声優であてるのではなく、同世代の男性にあてさせるという試み自体は、意義あることだと思うのですが、いかんせん「子ども」を意識させ過ぎた演技をさせちゃったんじゃないでしょうか。菊池さんは前年バイファムでは、11歳の男の子フレッドを演じ、収録期間に変声期を迎えたといいますが、そこでは筆者は違和感を感じなかったんですがねえ、、
当時の視聴者はどう感じたのでしょう?皆様はいま観てみてどうでしょうか?
OVAが出たけれども
筆者と同じような思いが製作側にもあったのでしょうか、あるいはそういったファンの声か、両方か、
放送終了の翌年86年にOVA「機甲界ガリアン 鉄の紋章」が発売されています。
筆者は未観なのですが、どうもOVAの方は、機甲兵というメカと、登場人物の名前を借りただけのようです。SFはまったく排除され、正統派なヒロイックファンタジーで機甲兵の闘いを格好よく描くことに主眼をおいているのではないでしょうか。1年後すぐの作品でも、単体OVAとなるとその水準は高そうですが、、やはり本編ガリアンとは別ものでしょうね。

映画化もなく続編もなく、OVAも別ものと、
「本来のかたち」のガリアンを観られる機会はほとんどなくなってしまったようですね。
残念なことではありますが、異色ファンタジー登場とわくわくさせてくれたあの気持ちは、忘れないものです、、
よろしかったら皆様も、
「機甲界ガリアン」観直して(未観の方は観てみて)下さいませm(_ _)m