ほんとうに子どもだけっ! 〜アンバランスのバランス、アニメ「銀河漂流バイファム」

ほんとうに子どもだけっ! 〜アンバランスのバランス、アニメ「銀河漂流バイファム」

13人の子どもだけで宇宙を航海するアニメ「銀河漂流バイファム」。その魅力はどこにあるのでしょう。ともに振り返ってみましょう


“リアル”と「子どもが主人公」の両立

アニメなど子ども向けの物語の主人公は、親近感も沸きやすく思い入れしやすいので、とうぜん視聴者である子どもに近い年齢の方がよいわけです。
アニメがあまり“リアル”を追及しない時代は、ロボットアニメで、ロボットに乗って敵と戦う主人公が子どもであっても、たいして“リアル”な設定は必要ありませんでした。選ばれし者だからでもいいし偶然でもいいし、場合によっては別に理由など必要なかったりしました。
ただ「機動戦士ガンダム」の登場以降、同じような“リアル”を指向する物語には、なぜ子どもの主人公がロボット、それもたいては重要で強い機体に乗るのか、といった“リアル”な理由が必要とされました。
ガンダムの物語ではそれは、主人公アムロがたまたま開発者の息子でガンダムの存在を知っており、メカに強く、たまたまガンダムの傍で敵の攻撃に遭いほかに術無く、ガンダムに乗って闘わざるを得ない状況として始まります。その後も、本来の搭乗者であるパイロットはいないし、軍人といってもアムロほど慣れたものはいない、という物語上の「言い訳」でアムロはガンダムに乗り続け、軍の本部隊や本拠地に至ってもまだ乗り続けるために、アムロのその特異なパイロットの才は「ニュータイプ」という一種の超能力なんだから余人を持って変え難いのは仕方がない、という「言い訳」が用意されます。
それにしてもちょっと言い訳に苦しいので^^; 、いろいろ解釈だの後付けだのが付けられたりもしました。
でも。その事情に一話分が割かれたとはいえ、戦闘要員でもない幼いカツ、レツ、キッカの三人組がホワイトベースに乗り続けるのは無理がありましたよねえ、、^^;;

究極の「子どもだけ」の言い訳 〜だって子どもしかいないんだもの!

そんななかで、究極に無理のない「言い訳」は、そう、「だって子どもしかいないんだもの!」ですね^^ つまり「十五少年漂流記」のパターン。大人はみんな死ぬか行方知れずで別れてしまって、子どもしか残ってないんだもの!—そりゃ仕方ないですよねf^^;
そんな訳で、前置きが長くなってしまいましたが、もちろん、今回ご紹介する子どもら十三人だけで宇宙を旅するアニメ「銀河票流バイファム」は、十五少年漂流記のSF宇宙版な訳です(十五人はさすがに多すぎて二人減らしたのかな?^^; 前半少し残っていた大人2人をいれて「15」でスタートということなのでしょうか?f^^)。

13人の子どもたちと、
彼らが乗るラウンドバーニアンと呼ばれるロボット。
上から、バイファム、ネオファム、トゥランファム。

ガンダムでは子どもだけといっても、アムロたち民間人も軍に組み込まれ、軍人になりたての19歳という設定(そうなんですよねえ。誰がタイヘンって19歳であんな連中の艦長なブライトがいちばんタイヘンですよねf^^;)のブライトや同僚のリュウではありますが、当時小学生の筆者からみるとオッサンとまではいかなくても、子どもというより大人の部類に見えたものです。
しかしバイファムにおいては、みんなほんとうっに子ども!最年長者の“艦長”もパイロットもクルーもみな子ども!どれだけ幼い子がいても、ほかに行き場がないんだから仕方がない、思う存分子どもたちに親近感をアピール出来るのでありました^^

ということですから、すでにガンダムのときに十五少年漂流記はやはり念頭にあったようですね。そのアイデアを純度そのままアニメ作品にしたのがバイファムといえますね。

少年少女の航海のはじまり

さて、その導入から前半部へのあらすじですが、、

西暦2058年、太陽系から43光年の距離にあるイプザーロン系。第3惑星クレアドに新たに入植を始めた人類は突然異星人の攻撃を受けます。民間人らは衛星軌道上の宇宙ステーションへ避難します。地球軍は練習艦ジェイナスで、民間人をここからさらに第4惑星ベルウィック星に避難させようとしますが、
異星人の追撃からの逃避行のなか、主人公の子どもたちは親たちと別の船に離ればなれになってしまい、同行の軍人や大人たちも次々と死んでいってしまいます。
そしてついには子どもら13人と、地質学者のケイト・ハザウェイの14人だけとなってしまいます。
14人はそれぞれ持ち場を決め、練習艦ジェイナスで地球へ向けての航海に出発するのでした。

と、ここまでで既に12話までのおハナシとなっております。

ここらで13人の子どもたちとケイトをご紹介しましょう。

船を守る“パイロット”コンビ ロディ、バーツ 

ロディ・シャッフル
画像右下の白い服の男の子 (声:難波克弘)
14歳。ベルウィック星出身。フレッド・シャッフルの兄。
主人公格で、主人公機バイファムに搭乗する。積極的でネアカ、社交的。

バーツ・ライアン
画像右下の赤い服の男の子 (声:竹村拓)
14歳。地球(ドイツ)出身。ロディのよき相棒。ディルファムに搭乗。のちにネオファムに乗り換える。元暴走族。

思春期の男女13人がひとつ屋根の下ならぬひとつ船の下で命からがらの航海をするおハナシですから、とうぜんカップルが生まれたり、そういった雰囲気になっていきます。
バーツはマキと接近。ロディはケイトに初恋を抱いていたものの彼女が亡くなり、カチュアへ次第にひかれていきますが、ロディ、カチュアはあまり二人ひと組ということはありません。カチュアは行動としてはジミーとセットですね。

メカに強いボーイッシュな女の子 マキ

マキ・ローウェル
ロディの上、帽子の女の子 (声:羽村京子)
13歳。ベルウィック星出身。コンピュータやメカに強い行動派。パペットファイターやトゥランファムに搭乗。

みなを率いる「船長」とみんなの“お母さん” スコットとクレア

スコット・ヘイワード
下から2列目の左端  ( 声:鳥海勝美)
15歳。地球(アメリカ)出身。最年長であるというだけでジェイナス号の船長を任せられてしまうが、次第にみなに頼られる存在へと成長していく。クレアとは幼馴染。

クレア・バーブランド
スコットの右の少女 (声:冨永みーな)
14歳。地球(アメリカ)出身。高級将校の一人娘。艦内を取り仕切り、家事をさばいて、幼いマルロとルチーナの母親代わりも。

物静かなカップル フレッドとペンチ

フレッド・シャッフル
画像最上列の左の男の子 ( 声:菊池英博)
11歳。ベルウィック星出身。ロディの弟で、兄とは対照的に内向的で泣き虫で怖がり。主にコンピュータ処理を担当。

ペンチ・イライザ
フレッドの右の女の子 (声:秋山るな)
10歳。地球(フランス)出身。詩作と読書好き。優柔不断なフレッドをリードしている。

にぎやかな二人組 シャロンとケンツ

シャロン・パブリン
マキの右の女の子 (声:原えりこ)
11歳。クレアド星出身。自分のことを「オレ」と呼ぶ、マイペースで憎めない存在。がさつを自認している一方、繊細な面も。手先も器用。

ケンツ・ノートン
シャロンの右の男の子 (声:野沢雅子)
9歳。ベルウィック星出身。軍人一家に育った熱血漢。兵器に詳しい、通称「軍曹」。猪突猛進なトラブルメーカー。シャロンとは悪友。ジミーとは大喧嘩をしたが、後に親友に。両親が亡くなっている彼を自分の家族に迎え入れ、兄弟になることを考えていた。後半にはトゥランファムに搭乗。

みんなの弟妹 マルロとルチーナ

マルロ・Jr.・ボナー
画像左下の男の子 (声:佐々木るん)
4歳。ベルウィック星出身。ルチーナと同じく、最年少メンバー。ルチーナの尻に敷かれ気味^^;

ルチーナ・プレシェット
マルロの右の女の子  (声:滝沢久美子)
4歳。ベルウィック星出身。家が隣同士のマルロとは仲良しだが、「お姉さん」気取り。将来の夢は、マルロのお嫁さんになること。

ミステリアスな少女と寡黙な小さきナイト カチュアとジミー

カチュア・ピアスン
シャロンの上の緑色の髪の少女 (声:笠原弘子)
10歳前後。冷静沈着で心優しき少女。普段は物静かだが、ときに行動力を発揮し、みなを危機から救うことも。実は異星人ククトニアンであり、戦災で両親と逸れ地球人に育てられた。主に情報処理を担当。後半ではケンツとトゥランファムに搭乗。


ジミー・エリル
カチュアの左の男の子 (声:千々松幸子)
7歳。地球(カナダ)出身。ベルウィック星の宇宙ステーションでカチュアと一緒に救出される。寡黙で行動も遅くのんびり屋。だが、カチュアを守るためには身体を張って行動する。

一人苦悩する唯一の大人 ケイト

ケイト・ハザウェイ
(声:滝沢久美子)
26歳。地球出身。地質学者。
クレアド星の遺跡調査隊のチーフとして派遣された宇宙考古学と地質学者のメルビン・クレークの助手。
クレークは軍人ら乗組員を失ったジェイナス号をまとめていたが、ベルウィック星での戦闘で生死不明のまま消息を絶つ。ひそかに愛し頼りとしていたクレークを失い、次々と襲いかかる受難のなか、ただ一人生き残った大人としての重圧に一時は酒に溺れる。

絶妙なバランスを図るバイファムの世界

ふう、、これだけ子どもたちがいると、全員+ケイトさんの14人をざっと紹介するだけでもけっこうな分量ですね^^;

最初にふれた通り、バイファムのいちばんの特徴は「全員ほんとに正真正銘子ども」というところにあるわけですが、それとは別に筆者が考えるバイファムの面白さは、その“アンバランス”さのバランスにあります。

子どもたちの命をかけたサバイバル

子どもたちだけで襲い来る異星人と戦闘するという設定、これ自体はもの凄くハードなおハナシな訳です。異星人とはいえ、そして物語中でも判明するように、人類となんら変わらない、それも仲間のカチュアの同族である異星人を殺すわけですからね。降り掛かる火の粉を払うとはいえ。もちろん子どもたちだって殺され得るわけです。ネタばれしてしまえば、大方ご想像の通り結果的に十五少年漂流記同様、子どもたちは全員死ぬことなく物語の終わりを迎えるのですが、バイファムの物語のリアリティラインは、いつ誰かが死んでしまうかもしれないといった感じのもの。物語序盤のクレークが帰らぬ人になるところも少なからずショックですが、16話では最後の大人であったケイトも戦闘で殺されてしまいます(のちのOVAでは、実はケイトは死んでなくて、、というハナシがあるのですが、これは後付けにすぎませんので^^;)。まさかここでケイトさんまで死ぬとは、、と当時子どもだった筆者ら視聴者は衝撃を受けたものでした。残った子どもたちの誰かが戦死ということになっても不思議はない、、

リアルでハードなSF設定

加えて、これは当時子どもだった視聴者の筆者はあまり意識していませんでしたが、これまでのアニメのわりには、バイファムはハードなSF設定でした。

前2点はあまり意識しませんでしたが、ラウンドバーニアン(まあ呼称からして「全周囲-制御噴出装置-ひとがた」ですものね^^;)のデザインに関しては、地味でかっこよくないなあ、、かといってミリタリー調というわけでもないし、、と漠然と感じていましたね。

プラモデルの広告ですが、敵味方両陣営のラウンドバーニアン。
いまいちに思ったのは筆者だけだろうか、、^^?

なのに、かわいらしい芦田豊雄キャラ

これで、キャラクターがたとえば大友克洋デザインとかだった日にゃ、もう「蠅の王」な道筋しか予期出来ないところを、実際はなにせミンキーモモのキャラクターデザイン芦田豊雄氏のかわいらしい絵柄な訳です。
この“アンバランス”さというか、バランスというかが、バイファムの最大の発明ではないか、と筆者は思うわけです。ここがしっくり嵌るかどうかで、バイファムという作品に嵌るかどうかが分かれる—正直筆者はあまり嵌らなかった方だったのですが、、f^^;

ついでに加えておくと、オープニング主題歌がすべて英語歌詞というのも、“アンバランス”で印象深かったですね。

受難の旅の果て

さて、地球へ向けて旅立ったジェイナス号でしたが、
ほどなく、親たち大人がタウト星なるところに囚われていることを知ります。
それでタウト星へと針路を変え、追撃のなかなんとかタウト星に到着するも、両親たち捕虜はククト星に移されていました。で、ククト星に辿り着くと、今度は捕虜たちは地球軍に救出されて星を去るところと入れ違いに、、こうして短縮して書いているとなんだそりゃ、というべたで古いメロドラマ展開ですね。

本作は初期の段階では2クールの予定でスタートしたが、企画が具体化するにつれ、4クールの作品として体裁が整えられていった[2][3]。しかし主役ロボ登場の遅れや、宇宙航行の暗い背景描写が不評などの理由から視聴率が低迷し、当初は子供たちだけで地球まで目指すストーリーで進められていたのをテコ入れのため敵衛星タウトに同胞捕虜救出のため襲撃へ向かう展開に差し替えられたが、その後も低迷は続いたことから23話での打ち切り案がTV局側より持ちかけられ、スタッフの間では「内回り・外回り」などと言って打ち切り版と通常版のシナリオを同時制作していた(途中で駆逐艦レーガンと接触するエピソードは打ち切り版脚本の流用である、本来は子供たちがそのまま地球へ連れて行かれて終わる予定だった)。結局、アニメ誌上で打ち切り予定を知ったファンが署名活動を展開してTV局に提出したこともあって23話での打ち切りは回避されたが、その後も39話前後での短縮エンディング、または12月までの3か月延長など、さまざまな提案があった。最終的に46話で完結することが決まった時には制作の最終段階(1984年6月)だった。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%8A%80%E6%B2%B3%E6%BC%82%E6%B5%81%E3%83%90%E3%82%A4%E3%83%95%E3%82%A1%E3%83%A0

銀河漂流バイファム - Wikipedia

というような、制作の裏側の受難の旅もあったそうです。

航海の途中、子どもたちはククト星の和平派の人たちと接触、地球との和平の橋渡しとなります。
ようやく両親らが待つ地球へと帰る一行。
しかし、自分の両親を捜し出したいカチュアと、彼女に付き添うジミーは、地球には降りず別れることを決心します。
涙の別れのなか、友情のしるしに、たくさんの紙飛行機を宇宙に舞わせ二人の新たな旅への餞とする子どもたち。こうして13人がともにした長い旅は終わりを告げます。

いかがだったでしょう、SF宇宙版十五少年漂流記。
13人もの子どもたちの成長を最後まで描ききった本作、ひとつのマイルストーンであることは確かだと筆者は思います。

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