苦悩の登場人物たち
主人公 クリン・カシム
一部繰り返しになりますが、引用しますと、
経緯もさることながら、彼しか乗る者も慣れた者もいないから彼がダグラムに乗る、というリクツですね。
地味なヒロイン デイジー・オーセル
彼女はクリンを追ってデロイア星にやってきますが、すぐに彼と再会出来て彼とずっと行動をともにするわけではありません。
クリンの設定といい、彼女といい、アニメというより、西洋の古典文学のような造詣とおハナシですね。
もちろんほかも渋い、登場人物たち
(「大人は去り、若者は立ち上がる—」てコピーが裏テーマを示していますね。ダグラムは、父親ら大人を乗り越えようとするクリンたち若者の成長譚でもありますね)
その他の登場人物たちももちろん地味です(褒め言葉^^)。
いままでご紹介したあらすじにも一部出てきましたが、、
クリンが参加するゲリラグループ「太陽の牙」のリーダーは、地球でクリンと知り合った元暴走族のロッキー・アンドル。そのメンバーは、ロッキーの幼馴染みの女性キャナリー・ドネットほか、チコ・ビエンテ、ナナシ、ビリー・ボール、ジョルジュ・ジュールダン。
上の画像でジョルジュ以外は露出の多い格好なんで分かりやすいかと思います。クリン以外は皆デロイア人です。
ドナン・カシムは、クリンの父親にして、連邦評議会議長。デロイアを自治州に押し込め、独立を阻止する画策の首謀者。
ヘルムート・J・ラコックはドナンの補佐官だが、病に倒れたドナンに成り代わりデロイアの実質支配を目論む。
現実のなかに若者たちは真実を見つけたか
さて、地球連邦に対してデロイア独立を目指すゲリラ戦が展開されるなか、連邦軍のデロイア人兵たちも蜂起して反乱軍となり加わり、デロイア人民解放政府が樹立されます。
しかし前述のようにドナンに代わってデロイア抑圧の指揮を執るラコックは、元ゲリラの情報屋を介して解放政府の和平派と接触、和平協定を結び、実質的なデロイア支配を手中にまさに収めんとします。これによってクリンたちゲリラはデロイア新政府から鎮圧される側になってしまい事態は一転、独立政府とは名ばかりの全面戦争の様相となりかけます。
しかし、見返りの要求に応じなかったラコックが情報屋に射殺されてしまったことにより、この事態は避けられ、武装解除でダグラムを引き渡すことを嫌ったクリンたちは、自らダグラムに火を放ち武器を廃棄します。
荒野に朽ち果てたダグラムの姿—
ご紹介してませんでしたが、ダグラム第1話でこのシーンは既に示されていて、こういった結末は最初から予感されていたものでした。
独立運動は、クリンたちの戦闘と殆ど関係のないところ、大人たちの汚い陰謀術数で動き、いちおうは独立の結末を迎えたのでした。
などと、関連本に表現されていたとも言われています。
以上、複雑な背景に地味なおハナシ、主人公たちの活躍と直接関係しない、すっきりもはっきりもしない結末と、批判もあった「太陽の牙ダグラム」ですが、
ここまでお付き合いいただき、また作品を観ていただいて、どうでしたでしょうか?
しかしとにもかくにも、打ち切りにも遭わず、一年半の放送を乗り切りきちんとドラマを描き切った「太陽の牙ダグラム」。
筆者はその後のサンライズの系譜に繋がっていく、現在のロボットアニメの豊かさに貢献した作品だと思うのですが—。