うる星 アニメ派宣言!! ヽ(‘ ∇‘ )ノ
80年代に4年半の長きに渡って放送されたアニメ「うる星やつら」。原作は7年もの長期掲載となった少年サンデーの長期連載漫画ですから、とうぜんこちらも多くのファンに支持されてきた作品ですが、みなさんはどちらの「うる星」がお好きでしょうか?筆者は断然のアニメ派。
そこで今回はアニメ派の偏見にもとづいて、アニメ版「うる星やつら」を振り返ってみたいと思います。
あらすじ
ご存知のように「うる星」はギャグ漫画原作のギャグアニメであります。あらすじもなにもないのです、、f^^;
女に目がない節操なしだがモテない主人公諸星あたると、そんなあたるにべったりの嫉妬深い宇宙人の女の子ラムを中心に、うるせーほどのヘンとヘンをあつめたヘンなおハナシが毎回展開されるのであります。
基本的にいちばん多いパターンは、ヘンなキャラクターなり事件が登場して、これが美人だったりするとあたるらがデレデレと近づきラムらが怒り、登場人物たちが行動するごとに事態は悪化し、破滅的なオチがきて終了、という流れですね。
ギャグものの常として、各話のなかで登場人物に人間的な成長があったり、あたるとラムの仲が縮まったり、ときにはロマンスめいた回があっても、次の回ではすっかりなにもなかったかのようにリセットされておハナシが始まるわけであります。
何年経っても、もちろんあたるら登場人物は相変わらず高校生で相変わらずのドタバタを繰り返しておるわけです^^
ただ、ラムとあたるが出逢い、二人の関係の基本が出来た第一話だけはご存知ない方ためにあらすじを以下にお借りしておきますね(引用は原作漫画の第一話のあらすじですが、アニメ版も基本的に同じ筋です)。
ヘンの祭典!^^ 魅力的なキャラクターたち
毎回ヘンな登場人物が出てきて引っ掻き回しヘンなことになっていくのが、うる星の毎度なので、登場人物の数は膨大。ここでは主要なキャラクターだけでも足早に紹介していきましょう。
全方向(除くラム)無節操、愛の狩人 諸星あたる
声:古川登志夫
ご案内の通り、ラムと“同居”するはめになってしまう高校生。友引町の友引高校に通う。
モテないくせに大の女好き。美人と見れば見境なく声をかける節操なし。あたるに押し掛け女房してからのラムにだけはなぜかいつも冷たく、逃げようとする。
と、いったようなふだんで、素がないようなキャラクターなのに、たまぁにシリアスな台詞を語る時のしかしちゃんとあたるが喋ってるという声の変化が、声をあてている古川さんのかっこよさ。
ダーリン一筋の電撃娘 ラム
声:平野文
鬼族の宇宙人。空を飛び、電撃を射ちだすことができる。自分の宇宙船を地球上空に持っており、「ダーリン」と呼ぶあたるの“妻”として、諸星家に通ったり住んだりしている。
なぜかあたるにべったりで嫉妬深く、あたるがほかの女を追いかけるのを見つけては電撃を喰らわせる。なぜか語尾は「〜だっちゃ」、自分のことを「うち」と呼ぶ。
平野さんのおしおきだっちゃー!のかわいい声で電撃を喰らいたかったブラウン管の前の男の子は筆者を含め数多いと思われる。
男なんてーっ! 三宅しのぶ
声:島津冴子
第一話からしばらくはあたるの恋人という位置だったが、そのうちにそういった感情も消滅。面堂(後述)が登場してからは彼に秋波を送る。
しかしあたるにしても面堂にしても節操のない女好きで、たびたび、男なんてーっと男性不信のパワーで怪力を発揮するキャラクターに。
島津さんの艶っぽいときの声がたまらんのです。なので、その逆の極端の「男なんてーっ」が笑えるのです。
金と権力を持ったあたる? 面堂終太郎
声:神谷明
友引高校に転校してきた、莫大な財と軍事力を持つ面堂財閥の跡取り息子。なぜか、あたるのライバル。基本、クールを気取っているが、女に関してはあたると同様の節操なし。
神谷さんの変幻自在のミラクルボイスの演技が笑いを誘う。
火を吹く鬼ジャリ テン
声:杉山佳寿子
ラムの従弟。口から火炎放射を吐く。
ラムとあたるの仲を認めておらず、ことあるごと、あたるとぶつかる。
あたる同様、きれいな女性には目がなく、「子ども」を武器に近づく。
怪しい美貌と豪傑の二面性 サクラ
声:鷲尾真知子
本職は巫女。錯乱坊(後述)の姪。のちに友引高校の養護教諭となる。
美貌に似合わず底なしの大食漢。スタイルは変わらないが、重さはきっちり反映されるらしい。
もともと病弱であったが、取り憑いた悪霊をあたるへと移し、ときに怪力を発するように。クールな見目と古めかしい言葉遣い、当時は舞台で活躍しいまはテレビドラマなどでお茶の間にも知られるようなった鷲尾さんの声がステキ。
顔面どアップは凶器 錯乱坊
声:永井一郎
自称高僧。サクラの伯父。
みなのなかに唐突に破壊力甚大な顔のドアップで現れ、周囲の者は驚きのあまり爆発して四散する。
変異を察知したり霊力を発揮したりするが、ほかの登場人物同様、混乱を深めることにしかならない。
食い意地汚く、諸星家の食卓に押し掛けたりするが、ふだんは空き地にテントを張り、コタツネコ(後述)とともにいることが多い。
ベテラン永井さんの声が渋い。「運命(さだめ)じゃ」の決め台詞も。
寡黙で渋い“重鎮” コタツネコ
声:西村朋紘
といってもほぼ喋らない。発語は、漫画でいうとフキダシでなく書き文字の「ん」くらい。
コタツに執着する巨大な化け猫。
錯乱坊のテントで一緒に火に当たっていたり、茶飲み友達である友引高校の校長のところにいたり、諸星家の茶の間にとうぜんのようにいたりする。
三者三様、強烈な幼馴染みたち ラン、弁天、お雪
声:井上瑤(のちに小宮和枝に交替)、三田ゆう子、小原乃梨子
ラムの幼馴染みたち。ラムとはそれぞれ種族が違う宇宙人。
ランはキスによって若さを吸い取ったり戻したりすることでき、幼い頃にいつもラムの巻き添えで酷い目に遭ってきた復讐と、ラムに未練の元婚約者レイを奪うため、持ち前のテクノロジーや黒魔術でラムを狙うがいつも失敗する。あっぱれなほどの二重人格で、ふだんはロリータ調の甘ったるい調子だが、怒りに我を忘れると、ワシ、おんどれ、などといったおっさんのような口調に。
弁天は福の神、弁財天だが、いつも鎖を持ち歩く大の喧嘩好き。
お雪は雪や氷をあやつる雪女。静々とした佇まいと喋り方だが、ランや弁天に筋金入りのドケチ女冷血商人(あきんど)と呼ばれる陰険さもつ。
井上さんや小宮さんのおっさんランと小原さんのそれを流すような静かな対応がとくに可笑しい。
アニメ版の魅力体現 ラム親衛隊
ご紹介してきたように、漫画原作の際立ったキャラクターのうえに、
さらにベテラン手練の声優さんたちの演技、さらにはアニメ製作陣の鬼才ぶり(これに関してはまた後ほどふれます)が乗っかった相乗効果が、アニメ版うる星の魅力の大きさだと思うのですが、
これらを顕著に体現しているのが、アニメオリジナルのキャラクターである、ラム親衛隊の4人、とくにそのリーダーであるメガネではないかと、筆者は熱い独断偏見で押し付けさせていただきたいと思います^^;
ラム親衛隊の4人は、もとからあたるの悪友たちで、ラムが地球にやってきたことで、彼女を守り関心をひこうと「親衛隊」(といっても4人だけになるのですが)を結成します。原作漫画にも似た位置のキャラクターたちがいますが、名前や容姿がちがい、またアニメほどレギュラー化していない存在です。
リーダーのメガネ(サトシ 声:千葉繁(第3話のみ龍田直樹)のほか、
パーマ(声:村山明)、
チビ(声:二又一成(第1話から第5話のみ西村朋紘))、
カクガリ(声:野村信次)。
4人一緒の行動が多く、4人みんなでラム親衛隊という、物語上の配置が多いのですが、
残り3人は各自一人での比重が大きくないなか、
やはりリーダー、メガネが群を抜いて特異な存在です。
メガネのラムへの偏愛の大きさはすさまじく、ときにそれは彼のオタキッシュでペダンチックな滔々とした独り語りとして捲し立てられるのです(転じてラム愛以外の、たとえば彼の軍事兵器知識などの発露としても現れる)。千葉さんの至芸がすばらしい!
やはりあれ、千葉さんのアドリブが大きいのですね。
千葉さんは、押井氏の実写作品、最近では実写版パトレーバーなどにも出演していらっしゃいますので、そちらでもその怪演の片鱗を見ることができます(極め付きはやはりこのアニメ版うる星のメガネか、押井実写作品の初期のものと思いますが)。
「裏」も個性伯仲 うる星スタッフたち
膨大なうる星キャラクターたちの代表的なものも紹介しきれてませんが、
うる星アニメ版の魅力は、登場人物たち「表」だけではありません。
裏方である製作陣にも、ここまでにも少しふれてきた押井守をはじめとして、森山ゆうじ、山下将仁、越智一裕、やまざきかずお、土器手司など錚々たるメンバーが名を連ねます。
加えて、この引用にもあるように、制作体制の不足、原作エピソードの不足が、かえって押井氏の特異な才能と現場若手スタッフの自由な取り組みを可能としたのでしょうね。
アニメうる星には、引用に紹介されている回のように、うる星のキャラクターを使いながらも、もうほぼ元のうる星世界とは関係ないハナシもあるのでした。
最初のあらすじで基本的にはドタバタの繰り返しみたいなことを申しましたが、実はそれは基本に過ぎず、ときにはラヴロマンスあり冒険ものあり怪奇ものありミステリーあり、、のなんでもありが、うる星であり、それが原作漫画より遥かに吹っ切れていたのがアニメ版うる星なのでした。
でも、どれだけムチャクチャ、どれだけ好き勝手やって製作陣の個性を発揮しても、うる星キャラクターを使っている以上、なおもそれは「うる星やつら」であると、筆者は当時から観ているのであります。
メガネ≓押井守を中心としたアニメうる星 うる星やつら、アニメ至上派宣言!ヽ(‘ ∇‘ )ノ
「うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー」を作り上げたあと、TVアニメ版うる星を去った押井氏は、その後自らの実写作品に千葉氏を主役として据え(!)、アニメうる星で培い開花した世界を押し進めるのでした。
その意味で、メガネ≓押井守。まさにメガネは押井守の体現者であり、
あれだけキャラクターの立った登場人物を粒ぞろいに生み出した原作漫画には敬意を払いつつも、
そこにさらに声優たちの多様な演技、押井氏はじめとする製作陣の多彩な才を上乗せしたアニメ版は、さらにすばらしいと、
うる星アニメ派として筆者は考えるのであります。
いかがだったでしょうか。うる星マンガ派の方のご意見もお聞き出来れば愉しいかと思います。