宮沢賢治童話の代表作のひとつ「銀河鉄道の夜」、1985年の映画化はじめ多くの派生作品が生まれてきました。

宮沢賢治童話の代表作のひとつ「銀河鉄道の夜」、1985年の映画化はじめ多くの派生作品が生まれてきました。

宮沢賢治の童話、小学生のころに読んだという方も多いでしょう。なかでも「銀河鉄道の夜」は1985年にアニメ映画化されたこともあって今でも知名度の高い作品です。透明で幻想的な世界観は今だとファンタジーと括られるものかもしれません。何とも言えない気持ちになった「銀河鉄道の夜」について振り返っていきましょう。


宮沢賢治童話の代表作のひとつ「銀河鉄道の夜」

「銀河鉄道の夜」は宮沢賢治の童話作品。
孤独な少年ジョバンニが、友人カムパネルラと銀河鉄道の旅をする物語で、宮沢賢治童話の代表作のひとつとされている。

未定稿のまま遺されたこと、多くの造語が使われていることなどもあって、研究家の間でも様々な解釈が行われている。

この作品から生まれた派生作品は数多く、これまで数度にわたり映画化やアニメーション化、演劇化された他、プラネタリウム番組が作られている。

1985年に劇場用アニメとして映画化された「銀河鉄道の夜」

1985年のアニメ映画「銀河鉄道の夜」をご覧になった方も多いのではないでしょうか。

「銀河鉄道の夜」について

1924年ごろ初稿が執筆され、晩年の1931年頃まで推敲がくりかえされて、1933年の賢治の死後、草稿の形で遺された。

初出は1934年刊行の文圃堂版全集。未定稿のため本文の校訂が研究者を悩ませてきたが、筑摩書房版全集(『校本宮澤賢治全集』、1974年)の編集過程で綿密な検討が行われ、第1次稿から4次稿まで3回にわたって大きな改稿が行われたことが明らかに。

第1-3次稿(初期形)と4次稿(最終形)の間には大きな差異がある。学校の授業や活版所のシーン、友人カムパネルラが川で行方不明になる挿話などは4次稿で追加されたものである。また、3次稿までは銀河鉄道の旅はブルカニロ博士の実験により主人公が見た夢だったとされていたが、最終形に博士は登場しない。

文圃堂版全集以来、長く読まれてきた刊本では、ブルカニロ博士の存在が大きな位置を占めていたが、博士の登場シーンは破棄された3次稿の混入である。博士の登場しない展開が最終形とされたことで物語世界の設定が大きく変わることになった。

童話「銀河鉄道の夜」

ジョバンニとカムパネルラ

孤独で空想好きな少年。歳は授業内容や仕事から思春期前とわかる。

家は貧しく、母親が病気で寝込んでいるので、早朝には新聞配達、学校が終わってからは活版所でアルバイトをしている。父親は長らく家に帰っていない。

漁に出ているとジョバンニは信じているが、らっこを密猟して投獄されていると噂され、近所の子供たちはそのことでジョバンニをからかう。別に住む姉がいて、料理を作ってくれたりする。

ジョバンニ

ジョバンニの同級生で友達、父親同士も親友だった。裕福で人気者の優等生として描かれている。

彼の母親は石炭袋にいたことから亡くなっていると推察される。

しかしジョバンニの「何もひどいことない」という言葉から健在な母親もいるのではないかという見方もあり、一見幸福そうなカムパネルラの複雑な生い立ちが覗われる。

他の同級生がジョバンニをからかうときは気の毒そうにしている。ジョバンニとともに銀河鉄道に乗り込み、共に旅する。

カムパネルラ

「銀河鉄道の夜」あらすじ

銀河系の仕組みについての授業。

天の川について先生に質問されたジョバンニは、答えを知りつつ答えることができない。次に指されたカムパネルラも、答えない。

一、午后の授業

放課後、ジョバンニは活版所で活字拾いのアルバイトをする。周囲の大人たちの態度は冷ややかである。

仕事を終えたジョバンニは、パンと角砂糖を買って家へ急ぐ。

二、活版所

家に帰ると牛乳が未だ配達されていない。病気の母親と、漁に出たきり帰ってこない父のことやカムパネルラのことなどを話す。

ジョバンニは、銀河のお祭り(烏瓜のあかりを川へ流す)を見に行く、と言って家を出る。

三、家

牛乳屋(牧場)に行くが、出てきた老婆は要領を得ず、牛乳をもらえない。途中で、同級生のザネリたちに会い、からかわれる。

一緒にいたカムパネルラは気の毒そうに黙って少し笑っている。銀河の祭りに行くザネリたちと反対に、ジョバンニは一人町外れの丘へ向かう。

四、ケンタウル祭の夜

天気輪の柱の丘でジョバンニは一人寂しく孤独を噛み締め、星空へ思いを馳せる。

五、天気輪の柱

突然、耳に「銀河ステーション」というアナウンスが響き、目の前が強い光に包まれ、気がつくと銀河鉄道に乗っている。

見るとカムパネルラも乗っていた。

六、銀河ステーション

北十字の前を通った後、白鳥の停車場で20分停車する。

二人はその間にプリオシン海岸へ行き、クルミの化石を拾う。

大学士が牛の祖先の化石を発掘している現場を見る。

七、北十字とプリオシン海岸

気のいい鳥捕りが乗車してくる。彼は、鳥を捕まえて売る商売をしている。

ジョバンニとカムパネルラは鳥捕りに雁を分けてもらい食べるが、お菓子としか思えない。

突然鳥捕りが車内から消え、川原でさぎを捕り、また車内に戻ってくる。

八、鳥を捕る人

(この先、全体のおよそ半分にわたり章立てはない)

アルビレオの観測所の近くで検札があり、ジョバンニは自分の切符だけが天上でもどこまででも行ける特別の切符であると知る。

鷲の停車場のあたりで、鳥捕りが消え、青年と姉弟が現れる。彼らは、乗っていた客船が氷山に衝突して沈み、気がつくとここへ来ていたのだという。かおる子(姉の少女)とは長い会話を交わす。

蠍の火を眺めながら、かおる子は「やけて死んださそりの火」のエピソードを話しはじめ、ジョバンニたちは、黙ってそれを聞く。その後列車はケンタウルの村を通過する。少女たちと別れ際に、「たった一人の本当の神様について」宗教的な議論が交わされる。

天上と言われるサザンクロスで、大半の乗客たちは降りてゆき、ジョバンニとカムパネルラが残される。二人は「ほんとうのみんなのさいわい」のために共に歩もうと誓いを交わす。

その直後、車窓に現れた石炭袋を見たふたりは、非常な恐怖に襲われる。ジョバンニはカムパネルラをはげますが、カムパネルラは気の乗らない返事をしたのち、「あすこにいるの僕のお母さんだよ」といい残し、いつの間にかいなくなってしまう。

一人丘の上で目覚めたジョバンニは町へ向かう。今度は牧場で牛乳をもらい、川の方へ向かうと「こどもが水へ落ちた」と知る。同級生から、カムパネルラは川に落ちたザネリを救った後、溺れて行方不明になったと聞かされる。

カムパネルラの父(博士)は既にあきらめていた。博士は、ジョバンニの父から手紙が来た、もう着く頃だとジョバンニに告げる。ジョバンニは胸がいっぱいになって、牛乳と父の知らせを持って母の元に帰る。

九、ジョバンニの切符

「銀河鉄道の夜」派生する作品について

ますむらひろし 『銀河鉄道の夜』 朝日ソノラマ〈デュオセレクション〉、1985年。

『銀河鉄道の夜』 扶桑社〈扶桑社文庫〉、1995年。

居村眞二 『銀河鉄道の夜』 暁教育図書〈コミグラフィック日本の文学12〉、1988年。

永島慎二 『銀河鉄道の夜』 NHK出版、1996年。

片山愁 『銀河鉄道の夜』 角川書店〈あすかコミックスDX〉、1996年。

バラエティ・アートワークス 『銀河鉄道の夜』 イースト・プレス〈まんがで読破〉、2007年。

北原文野 『銀河鉄道の夜』 ホーム社〈MANGA BUNGOシリーズ〉、2010年。

マンガ「銀河鉄道の夜」

1985年制作の劇場用アニメ映画。同年7月13日公開。毎日映画コンクール・大藤信郎賞受賞作。

監督:杉井ギサブロー

原案:ますむらひろし

脚本:別役実

音楽:細野晴臣

アニメーション制作:グループ・タック

配給:日本ヘラルド映画

出演:田中真弓(ジョバンニ)、坂本千夏(カムパネルラ)、堀絢子(ザネリ)、一城みゆ希(マルソ)、島村佳江(ジョバンニの母)、納谷悟朗(カムパネルラの父)、常田富士男(燈台守)、金田龍之介(先生・学者)、大塚周夫(鳥捕り)、渕崎ゆり子(ただし)、中原香織(かおる子)、槐柳二(雑貨屋主人)、青野武(無線技師)、八代駿、梶哲也、新村礼子、菊池英博、仁内建之ほか

アニメ映画「銀河鉄道の夜」

【80年後のKENJI〜宮沢賢治 映像童話集〜「銀河鉄道の夜」】として

2013年3月6日、NHK BSプレミアムで宮沢賢治没後80年を記念した映像作品による特別番組『80年後のKENJI〜宮沢賢治 映像童話集〜』の第5回と第6回として、それぞれ前編と後編が放送された。

放送日時
前編:2013年3月6日 22:00 - 22:30
後編:2013年3月6日 22:30 - 23:00

ストーリー
カムパネルラの死から1年が過ぎ、カムパネルラの父の招きで、カムパネルラの家にやって来たジョバンニが、カムパネルラの父からカムパネルラの最後の1日について聞かれ、それに答える形で銀河鉄道でカムパネルラと旅をした話を語る。回想シーンはほぼ原作通りに展開するが、ジョバンニやカムパネルラをはじめとする少年たちの年齢が高校生くらいに設定されている。また舞台設定は基本的に無国籍(建物はヨーロッパ風)だが、現代の日本のようにも見える部分がある(ジョバンニがイヤホンで音楽を聴いているなど)。

キャスト
ジョバンニ - 太賀
カムパネルラ - 染谷将太
カムパネルラの父 - 田中哲司

スタッフ
演出:望月一扶
CG:白組

テレビドラマ「銀河鉄道の夜」

【銀河鉄道の夜 -Fantasy Railroad in the Stars】

2006年制作。KAGAYA studio 制作、音楽は加賀谷玲。

サンシャインスターライトドーム満天(現、コニカミノルタ プラネタリウム満天)で2006年6月17日から11月12日まで上映されたプラネタリウム番組。プラネタリウムの光学式投影装置では上映に使用されず、デジタルの全天周映像システムによりドームスクリーンに映し出される短編CG映画のような作りになっている。

2007年よりコニカミノルタプラネタリウム、五藤光学研究所、リブラの配給により全国各地のプラネタリウムで上映されている。また、2008年4月より70mmフィルム版がエクスプローラーズ・ジャパンの配給により全国各地で上映されている。

サンシャインスターライトドーム満天上映版ではナレーションが女優の室井滋であるが、全国上映版のナレーションは声優の桑島法子と大場真人である。

この作品はDVDで市販もされているが、TVモニターでは、いかに大型画面で見ようともドーム全天周映像との落差はやむをえない。ただ、本編の長さについては、上映通常版が38分、短縮版が28分なのに対し、DVDは48分と作りこまれている。

2009年、上映版については場面追加や音響面でのバージョンアップがなされ、コニカミノルタ プラネタリウム満天で上映された(2009年6月20日 - 11月23日)。

プラネタリウム

その他、演劇やミュージカルなども行われてきました。

こんな作品が「銀河鉄道の夜」から影響を受けたとされています

銀河鉄道999

アニメ映画「銀河鉄道999」と「さよなら銀河鉄道999 アンドロメダ終着駅」のまとめ。やはりメーテル!70年代後半から80年代前半のアニメブームを代表する作品。 - Middle Edge(ミドルエッジ)

ドラえもん のび太と銀河超特急

今でいうところの「ファンタジー」でしょうか。

85年当時にアニメ映画で観た「銀河鉄道の夜」からは、実に幻想的な世界観を感じたものです。

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