現在アニメ「ルパン三世」でルパン役の声優を務めている栗田貫一
元祖ルパン、山田康雄とは?
故・山田康雄
若き日の山田康雄
ルパン役を山田康雄から栗田貫一へバトンタッチ
ものまね番組などでルパンのまねを披露してきた栗田貫一は、同じ事務所の先輩だった漫才コンビ「おぼん・こぼん」との縁で山田康雄とも親交があった。
留守番電話の待ち受けメッセージをルパンのまねで吹き込んでいたという栗田に、山田が電話をかけ、待ち受けメッセージをそっくりそのまま繰り返した後で、「バカヤロー! 俺がルパンだ!」とメッセージを残したこともあったという。
ところが1995年、劇場版アニメ「ルパン三世 くたばれ!ノストラダムス」の製作中に山田が倒れ、急きょ代役として栗田に白羽の矢が立った。
一言二言程度の追加収録だと思い「ものまねタレント冥利につきる。誰にも気づかれないようにやっちゃおう」と引き受けたものの、実際スタジオに行ってみると、せりふが全く入っておらず途方に暮れた。
しかし、銭形役の納谷悟朗から「お前でいいんだ。やってくれ」と温かい声をかけられ、収録に臨めたという。
以降、栗田は20年に渡ってルパンを演じている。
類稀な才能と地道な努力によって、もともとは声優ではなかったのに、ものまねからルパン役に成り上がった稀有な男である。
『山田康雄』版のルパン
『栗田貫一』版のルパン
【番外編】古川登志夫のルパン
1987年12月に劇場公開された『ルパン三世 風魔一族の陰謀』でルパン三世を古川登志夫が演じている。
古川自身、憧れ影響を受けた声優に山田康雄を挙げており、ゲスト出演したときに衝撃を受け、その芸を盗もうとよく見ていた。そのため、山田が出演する番組をオンエアをすべて録画しそれを練習していた。
ある日、OVAを1本作るということでルパンのオファーが入ったが、「そっくりに演じればマネ、似ていなければお前ごときがと批判される」「そんな負ける商売はしたくない」と最初は断るつもりだったが、マネージャーから「他のキャストは皆受けており、逃げるのか?」と言われ、しょうがないと仕事を受けたとのこと。
「古川でやるしかなく、それで構わないか?」ということで、ルパンを演じた際は「物真似では演じず自分ならではのルパン」をと自分の声そのもので演じたが、それでも絵や山田が作ったイメージに引っ張られてうっかり真似していたこと語っている。
後日、OVAが発売されると大量のファンレターが届き、中身が批判的な内容だらけだったため落ち込んだとのこと。
この『風魔一族の陰謀』は、山田がキャスト変更をスタッフからではなく、あいさつにきた古川から知らされたことで山田が製作サイドに激怒。またファンによる大規模な抗議の投稿などもあり、以後の作品ではキャストが元に戻された。