【黄金バット】黄金のドクロが正義の味方「どこ どこ ど~こから く~るのっか 黄金バーット!」

【黄金バット】黄金のドクロが正義の味方「どこ どこ ど~こから く~るのっか 黄金バーット!」

「どこ どこ ど~こから く~るのっか 黄金バーット!」といえば「黄金バット」。実は戦前に生まれた紙芝居のヒーローでした。そんな黄金バットの歴史を振り返ってご紹介。


昭和40年代にアニメ化された「黄金バット」

どこ どこ ど~こから く~るのっか 黄金バーット♪

『黄金バット』は、昭和初期の紙芝居のタイトルロールの主人公。金色の骸骨の姿をし、漆黒のマントを身にまとう。昭和40年代に漫画・映画・テレビアニメ化された。

スーパーヒーローとアンチヒーローの両面をもつ主人公で、その孤高の存在が斬新だった。髑髏という、一般的には悪の象徴とされ嫌われるモチーフを持つヒーローという点で、蜘蛛や蝙蝠を素材にしたアメコミヒーローに先行している。その特有の「高笑い」と、共に現れる金色のコウモリが特徴的である。

黄金バット

黄金バットは長い歴史を持ち、そのため数多くの作品に登場している。戦前は欧風の、三銃士のような洋装に帽子を被った長髪の黄金骸骨または痩せこけた老人のような金色の顔、という風貌で黄金丸というサーベルを操る。

終戦直後は進駐軍によってチェックが入り、くりんとしたパーマ髪の仏像のような顔の逞しい白人男性ヒーローのような姿に改変され、すぐに少年雑誌の絵物語で元のデザインに復活。

その後微妙な変更を経て、アニメなどで見られる「大きな襟付きマントをひるがえして飛んで来る、顔が髑髏で筋骨逞しい金色の超人」という、親しみやすいデザインとなった。

武器はシルバーバトン。アニメ後期には暗闇バットという濃い青色のライバルキャラクターも登場した。

様々に衣替えをしてこの形に行きついた「黄金バット」

宿敵ナゾーは四つ目のミミズクの覆面に左手が機械の鉤爪、下半身は円盤の中という奇怪なデザイン。どこにでも現れるナゾータワーを根城とする。

絵物語では黄金バットに負け、蛇王という他のヒーローとの戦いによって両足を失った後の黒バットが正体であり、元ナチスの科学者ドブロクスキー博士や妖婆モモンガのお熊、女賊ハルピンお光らを従え宇宙的な悪事を働く。

アニメでは彼自身が元ナチスの科学者エーリッヒ・ナゾー、マンガ版では黄金バットと同世代の超古代人で、生身の手の指が3本であるなど、明らかに人間ではない。アニメ版ではことあるごとに「ロ〜ンブロゾ〜」と叫ぶ。

またアニメでは4つの目の色が全て異なり、さらに最終回では逃亡してしまい、黄金バットとの最後の対決はなかった。ナゾーの逃走直後に怪獣が現れ、しかもヤマトネタケルが、彼は怪獣だったのだろうか、と言うなど、ナゾーの正体が微妙に暗示されていた。

宿敵ナゾーは四つ目のミミズクの覆面に左手が機械の鉤爪、下半身は円盤の中

「黄金バット」アニメ化するまで

1930年(昭和5年)、鈴木一郎原作で白骨面に黒マントの怪盗が活躍する街頭紙芝居シリーズ『黒バット』が好評だったことから、主人公を黄金色にした絵19枚を永松健夫が描いて誕生した。

『黒バット』の最終回で、無敵で不死身の悪役である黒バットを倒す正義のヒーローとして突如、初登場した。

戦前、黒マントの怪盗が活躍する街頭紙芝居シリーズ『黒バット』

黄金バットが子供たちに大好評だったため、黄金バットを主人公とした新作紙芝居を蟻友会の後藤時蔵、高橋清三、田中次郎らが製作。当時の驚異的な当たり演目となる。

しかし当時の零細な紙芝居業界に著作権意識は存在しなかったため、多種多様な黄金バットが勝手に作られた。さらに当時はセリフは書かれておらず口伝だったため、同じ紙芝居でも演者によって内容に差異があるのが普通だった。

なお、戦前の『黄金バット』の紙芝居のほとんどは戦時下の混乱にあって散逸、あるいは戦災により焼失したとされる。当時の紙芝居は貸し出し式だったため倉庫にまとめて保管されており、倉庫が火事に遭うと全て燃えてしまっていた。また、手書きで写し描きされていたので製作数が少なく、人気作は損耗も激しかった。

戦前の『黄金バット』の紙芝居のほとんどは戦時下の混乱にあって散逸、あるいは戦災により焼失

1947年(昭和22年)から、永松健夫による絵物語作品の単行本が明々社(のちの少年画報社)より刊行。

1948年(昭和23年)には明々社から雑誌『冒険活劇文庫』(少年画報)が創刊され、永松による絵物語が掲載された。

1947年、永松健夫により絵物語作品が単行本化

1950年(昭和25年)頃に鈴木一郎原作で加太こうじが脚本と絵を担当した『黄金バット ナゾー編』というナチス・ドイツ残党と戦う内容の紙芝居が行われた。

1950年、『黄金バット ナゾー編』紙芝居

1950年(昭和25年)12月23日、東京映画配給(東映の前身)・新映画社製作による「黄金バット 摩天楼の怪人』公開。

監督:志村敏夫、出演:川路竜子、美空ひばり、杉寛。

1950年、「黄金バット 摩天楼の怪人」公開

1966年(昭和41年)12月21日に映画『黄金バット』が封切り公開。

主演:千葉真一、監督:佐藤肇、監修:加太こうじ、
製作:東映。モノクロ・実写作品。

1967年から放送されたアニメ版との連動企画であり、プロット・キャラクターデザイン・主題歌などを踏襲したパイロット版的な作品。

1967年、「黄金バット」アニメ化

1967年(昭和42年)4月1日から1968年(昭和43年)3月23日まで、アニメ版がよみうりテレビ (ytv) の企画・制作により日本テレビ系列で毎週土曜日19時 - 19時30分に全52話が放映され、高視聴率を得た。この放送枠は元々『お笑い珍勇伝 頓馬天狗 → 崑ちゃんのとんま天狗』、『琴姫七変化』など「よみうりテレビ制作、大塚製薬提供のドラマ枠」として定着していた。

よみうりテレビとしてはテレビアニメ制作の初参入作品であり、日本テレビ系列では初の19時台のアニメである。この放送枠では本作品の後も『巨人の星』、『天才バカボン』などの大ヒット作を生んでいる。スポンサーは変わらず大塚製薬の1社提供。制作は広告代理店「第一企画」の動画制作部門、「第一動画」と韓国のテレビ局「東洋放送」で、この体制下での第1作。

同じスタッフ体制で手掛けた第2作目がフジテレビで放映された『妖怪人間ベム』で、キャラクターや演出が酷似している。原作者として永松、監修者として加太、双方の名前を冠しているが、実際の基本設定とストーリーは第一動画のスタッフによるものである。また、脚本の島内三秀は、のち桂千穂の名でロマンポルノ、大林宣彦監督作品などで活躍する。

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