【話かわるけどさあ】岡田あ~みん『ルナティック雑技団』を振り返らないか?

【話かわるけどさあ】岡田あ~みん『ルナティック雑技団』を振り返らないか?

80~90年代の「りぼん」読者に強烈なインパクトを残したオンリーワンの変態マンガ家、岡田あ~みん。今回は彼女が送り出した三作目の連載マンガ『ルナティック雑技団』を振り返っていきましょう。いけいけ天湖森夜、ドンマイドンマイ天湖森夜!


君は『岡田あ~みん』を知っているか



人呼んで“少女漫画界に咲くドクダミの花”。



1980年代から1990年代にかけて「りぼん​」誌上で活躍した漫画家「岡田あ~みん​」は、唯一無二と評される独創的なギャグで当時の読者の心に大きな爪痕(?)を残しました。

今回はそんな作者が発表した三番目の連載作品、『ルナティック雑技団』を紹介していきます。

ウウウウウ……ガンダーーーー!

 

『ルナティック雑技団』ってどんな漫画?

ルナティック雑技団』は、集英社の少女向け月刊漫画雑誌『りぼん』の1993年5月号から連載を開始した作品です。1994年4月からは姉妹誌である隔月刊誌『りぼんオリジナル』に移籍し、1995年4月号をもって完結しました。

全三巻の単行本には、完結後に発表された後日談の番外編も収録されています。



作者の前二作『お父さんは心配症』『こいつら100%伝説』​はギャグマンガらしい簡略化された絵柄だったのですが、本作は打って変わって少女漫画らしい絵柄で、ジャンルも王道の学園ラブコメディとなっています(作者曰く「あ~みん風少女漫画」​とのこと)。



前二作は強烈なキャラクターとキレのあるギャグで「変態少女マンガ」​と評されるほどのものでしたが、作風を「あ~みん風少女漫画」へと変化させた「ルナティック雑技団」がそのぶん過去作よりもお行儀の良い作品になっているかというと全然そんなことはなく、常人にはマネのできないギャグセンスはますます冴え渡っています。



むしろ、いかにも少女漫画然とした可愛らしい絵柄と毒気の強いギャグのギャップが、本作ならではの面白さを生んでいるのかも。

作中のセリフを借りるなら「少女の仮面のその下は 獣盛りの東洋毒婦」と言ったところ?(こーいうセリフが出てくるマンガなのです)



 

個性豊かな変た……キャラクターたち

わらび野中学に通う少女「星野 夢実​」は、家庭の事情で憧れの同級生「天湖 森夜​」の家にホームステイすることに。数多の障害を乗り越えて、夢実は森夜との距離を縮めることができるのか? ……というのが「ルナティック雑技団」の大まかなあらすじです。



ここだけ見れば本当に王道のラブコメなのですがそこは岡田あ~みん、「少女漫画」と「あ~みん風少女漫画」の違い​をこれでもかと見せつけてくる強烈な登場人物が登場します。



しかし、普段はトンチキな言動で物語を引っ掻き回しているキャラ達も胸にはそれぞれの想いを秘めており、いつの間にか愛着を感じてしまうのも本作の魅力のひとつですね。



それでは、そんな本作を彩る変態、もといキャラクター達を紹介していきましょう。

天湖 森夜(てんこ もりや)​​<画像左上>

 本作の最重要人物。

 「孤高の貴公子」の異名を持つ美少年で、男女問わず惹きつけてしまう特異なカリスマ性の持ち主です。常に全身には輝く天湖オーラ​をまとい、視線が天湖ビーム​となってハートを打ち抜き、話すだけで少女漫画特有のふわふわしたエフェクトを発生させるほど。妙な水玉点々まきちらしやがって

 しかし実態は、そのカリスマ性から周囲の人間に距離を置かれているのを自分が嫌われているのだと思い込むような、真顔でボケるタイプのかなりズレた性格です(常に険しい表情なのは視力が低いだけ)。人間の友達がいないので、昼休みは屋上で小鳥たちと気流の話​をするような学園生活を送っていましたが、夢実との出会いによって少しずつ他人に興味を持つようになっていきます。

 

星野 夢実(ほしの ゆめみ)<画像右上>

 本作のヒロインで事実上の主人公。

 彼女の父親は森夜の父の上司であり、その伝手で天湖家に下宿することになるところから物語が始まります。森夜のズレた言動に振り回されたり、クセの強いキャラに翻弄されたり、森夜の母・ゆり子に虐げられたりしながらも(ひーーー 小公女セーラ)、森夜のため健気に頑張る前向きな女の子です。

 本作の登場人物としてはかなりまともな性格ではあるのですが、森夜を前に舞い上がったりすると途端に妙な発言をし始めるのは流石この漫画のヒロインといった感じ。ゲロはもどせても時は戻せないわ!

 

天湖 ゆり子(てんこ ゆりこ)<画像右下>

 年齢不詳な森夜の母親。

 息子の学校で評判になるほどの美人なのですが、とにかく情緒不安定でエキセントリックな性格。森夜に対してはひたすら過保護で、過去に何度となく無理心中を企てており、彼に近づく夢実に対しては悪い虫呼ばわり……というか「淫婦」「好色者」「強〇魔」とおよそ少女マンガで許されるのかギリギリな言いよう。彼女は夫の上司の娘という立場なので、ちゃんと理性を保っている間は優しいのですが。

 なおギャグ描写とはいえヒロインに辛く当たる役回りのため、作者の元には純真な小学生から「ゆめみちゃんをいじめないで」等のおたよりが届いたとかなんとか……。

 

天湖 慶一(てんこ けいいち)<画像左下>

 森夜の父親で、マダムゆり子の夫。

 作者には「キャラクターづけが間に合わないまま連載が始まってしまい、よく分からない人になってしまった」と言われてしまっており、実際にあまり目立つ場面はありませんが、結果的にはその飄々とした人柄で天湖家をまとめています。

 マダムゆり子の奇行をさらっと「妻は神経が少し個性的なんです」で済ませる剛の者で、実際にゆり子のストッパーの役割を果たしています。というか彼の不在時のゆり子は、息子の森夜曰く「気が高ぶってちょっとした生活の変化で神経がふっ飛んじゃうからな」とのことなので……。

 

愛咲 ルイ(あいざき るい)<画像右>

 わらび野中学の「♡$☆(アイドルスター)」。

 容姿端麗で成績優秀、アイドルクラブに所属して校内外でライブを開催しています。女子には絶大な人気を誇るのですが、それでも扱いは「でもやっぱり1番は天湖さまよねー」という感じであり、森夜のことは一方的にライバル視しています。また密かに夢実へと片想いしているのですが、彼女の気を引こうと奇行を繰り返しているため、全然気付いてもらえず……。

 常に自信に満ち溢れたナルシスト、のように見えて精神的にはかなりの小心者で、森夜のプレッシャーを感じるとすぐに目が泳ぎ、動揺すると三下みたいな関西弁になるなど、何かと憎めないコメディリリーフです。

 何かと忘れられないセリフが多いのも特徴的。ヴィ……ヴィオラ奏者……

 

成金 薫子(なりがね かおるこ)<画像左下>

 成金グループのお嬢様。

 森夜に想いを寄せており、毎朝教室に持ち込んだテレビで「朝の天湖ニュース」をチェックするのが日課です。恋敵の夢実に対しては、時には実家の財力を使って妨害を仕掛けることも。

 わがままで横暴なライバルキャラではあるのですが、森夜の前では素直になれない今でいうツンデレな性格に加え、また森夜に対してはとにかく一図で健気であり、最終的には番外編ではヒロインを務めるほどになっています。

 なお、精神的なショックを受けると盛大に失禁するのが玉に瑕。

 

黒川 春明(くろかわ しゅんめい)<画像上>

 薫子の付き人として常に行動を共にしている成金家の執事。

 見た目は片眼鏡をかけたナイスミドルですが、口を開けばギャグか下ネタばかり。「女子中学生のあられもないふともも姿があまりにも痛々しくてつい…」で仕事をサボったりと、今作でもトップクラスに自由な人物です。

 主である薫子の扱いも「まあったくイヤんなっちゃいますぜェ 大の大人が14、5歳の鼻たれ娘のいうこときかなきゃならないんスから」とぞんざい気味ですが、いざという時には含蓄のある台詞を口にしたりするので忠誠心はあるのかも。まあ「私と財産食いつぶしながら楽しく生きていきましょう」みたいなことも言ってますが。

 

他にもゲストキャラからモブキャラまで、妙にアクの強いキャラが登場します。

 

一度聞いたら忘れられない? 名言・迷言の数々

 岡田あ~みん作品といえば、独特の言語センスから放たれる強烈な台詞の数々。

 過去の作品でも「特におじちゃんのはステキなハト胸だよ」「でもサザンの力は認めざるをえないよね」「パ・ドゥ・シャ」「恋の風雪あばれ太鼓!?」等々、妙に脳裏に焦げ付いて離れないフレーズが多々ありましたが、今作でもそのセンスは健在です。

 単体では意味不明なものもありますが、いくつか抜粋してお届けしましょう。

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