準優勝が最高の都道府県
青森県(光星学院、三沢)
近年は、八戸学院光星、青森山田を中心に目覚しい活躍を見せる青森県勢。特に、八戸学院光星がかつて光星学院という校名だった頃には、2011年夏、2012年春、2012年夏と3大会連続準優勝という驚異的な記録を果たしました。しかも、2012年春夏の決勝戦の相手はいずれも大阪桐蔭。当時のメンバーには、現在ロッテで活躍する田村龍弘、阪神で活躍した北條史也がいました。
そして、その前の準優勝となると1969年夏の三沢まで遡ります。松山商との決勝戦は、延長18回0対0の引き分け再試合。再試合では惜しくも敗れましたが、今も歴史に残る名勝負として世代を越えて語り継がれています。一人で投げ抜いた太田幸司は人気スターとなり、卒業後は近鉄で活躍しました。
秋田県(金足農、秋田中)
今も記憶に新しい、2018年夏の金足農の準優勝。エース吉田輝星を擁し、鹿児島実、大垣日大、横浜、近江、日大三といった全国有数の強豪校を破る快進撃で、決勝戦にまで駒を進めました。大阪桐蔭には敗れるも、吉田の好投とルックス、メンバー全員が全力で歌う校歌まで話題となり、"金農旋風" と呼ばれました。吉田輝星はオリックスで活躍中で、2024年夏は弟の吉田大輝が甲子園に登場します。
そして、2018年夏から遡ること103年前、1915年夏。第1回大会が行われ、当時はまだ「全国中等学校優勝野球大会」という大会名でした。この時、秋田中(現在の県立秋田)が決勝戦で京都二中と対戦し、延長13回1対2で惜しくも優勝を逃しています。
岩手県(花巻東)
岩手県勢が初めて決勝に進んだのが、2009年春。エース菊池雄星を擁する花巻東でした。決勝戦の相手は、のちに広島で活躍するエース今村猛を擁する長崎の清峰。試合は、両エースが投げ合う投手戦となり、花巻東は0対1で惜しくも敗れました。これが、岩手県勢初の準優勝です。その後、菊池雄星は西武、MLBで活躍。後輩の大谷翔平も日本ハム、MLBと活躍しており、花巻東から二人のメジャーリーガーを輩出しています。
福島県(磐城)
近年の福島県は聖光学院の独壇場ですが、磐城も甲子園出場春夏合わせて9回を誇る強豪校です。1971年夏は、桐蔭学園との決勝。投手戦の好ゲームで惜しくも0対1で敗れています。因みに、桐蔭学園はこの時が甲子園初優勝です。
新潟県(日本文理)
かつては1回戦負けが当たり前のようだった新潟県勢ですが、近年は日本文理を中心に甲子園で好成績を残しています。その日本文理が準優勝した大会が、2009年夏。全試合で二桁安打を記録する強力打線で、好投手をことごとく攻略しました。決勝の中京大中京戦は高校野球史に残る指折りの好ゲームと言われ、6点ビハインドの9回表2アウトから、5得点を挙げて1点差にまで追い詰めた粘りの攻撃は、今も名勝負として語り継がれています。
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石川県(星稜)
星稜は、1972年夏以後、37回もの甲子園出場を誇る石川県の名門。甲子園では、2019年夏、1995年夏の二度、準優勝を果たしています。2019年は、現在プロで活躍する奥川恭伸と山瀬慎之助のバッテリーが活躍。1995年は、松井秀喜の卒業から3年後で、のちに近鉄、オリックスで活躍した山本省吾がエースを務めていました。決勝戦は、2019年は履正社、1995年は帝京が相手で、いずれも星稜が先行したゲームでしたが、惜しくも逆転負けを喫しています。因みに、2019年の優勝時に監督を務めた林和成は、松井秀喜の星稜時代のチームメイトで松井の1学年下です。
滋賀県(近江)
近江は、1981年夏以後、20数回もの甲子園出場を誇る名門。甲子園では二度の準優勝を達成しており、2001年夏は日大三に惜敗。2022年春は同じく近畿勢の大阪桐蔭に敗れました。2022年春にエースを務めた山田陽翔は、同年のドラフトで5位指名を受け、西武に入団しています。
鳥取県(米子東)
米子東が準優勝を果たしたのは1960年春のこと。高松商との決勝は投手戦で、9回裏にサヨナラホームランを浴び、劇的な惜敗。優勝まであと一歩でした。エースの宮本洋二郎はプロ入りし、巨人、広島などで活躍。広島では、その後、コーチやスカウトを務め、あの前田健太をスカウトした人としても知られています。
宮崎県(延岡学園)
宮崎県勢として史上初めて決勝戦に進んだのが、2013年夏の延岡学園。決勝の前橋育英戦では、3点を先制するも、のちに逆転され、3対4の惜敗。優勝まであと一歩でした。相手チームのエースは、現在西武で活躍する髙橋光成です。
ベスト4が最高の都道府県
山形県(日大山形、羽黒)
山形県勢はこれまで二度、ベスト4に駒を進めています。2013年夏の日大山形、2005年春の羽黒です。中でも日大山形は、1回戦で日大三、2回戦で作新学院、準々決勝で明徳義塾と、優勝候補を次々と破る快進撃。準決勝では、優勝した前橋育英に惜敗し、決勝まであと一歩でした。現在阪神で活躍する中野拓夢が2年生で出場していました。
富山県(新湊)
池田が優勝した1986年春、初出場ながらベスト4まで進んだのが新湊です。富山県勢にとっては、16年ぶりの選抜出場でしたが、1回戦の享栄、2回戦の拓大紅陵と優勝候補に勝利。準々決勝の京都西(現在の京都外大西)戦は延長14回まで戦い、準決勝に進出しました。彼らの活躍は "新湊旋風" と呼ばれ、優勝校以上に注目を集めました。
島根県(江の川、松江中、杵築中)
江の川は、島根県の甲子園常連の名門。"ごうのかわ" と読みます。島根県勢として80年ぶりのベスト4を記録したのが、2003年夏。西日本でベスト4に残った唯一の高校で、沖縄商学、聖望学園ら強豪校を破り、準決勝では、ダルビッシュ有擁する東北と対戦しました。それ以前となると大正時代、1923年夏の松江中、1917年夏の杵築中のベスト4が最高です。
2024年の夏は・・・
本稿執筆時点では、2024年夏の大会の開催前。今回ご紹介した高校では、秋田県の金足農、岩手県の花巻東が出場予定です。青森県の青森山田、滋賀県の滋賀学園らも上位に勝ち上がると見られており、新たな "優勝県" が生まれるか注目です。