9回表が終わって阪神が6点リード
2003年4月11日の巨人戦は、巨人とのシーズン初戦。
阪神先発はこの年から加入した伊良部、巨人先発はルーキーの木佐貫です。
伊良部は期待に応え、7回1失点と好投。打線の方も、木佐貫、後続のベイリーを攻略し、9回表までに7点を奪います。9回表が終わって、7対1。阪神が大きく6点リードです。
誰もが阪神の勝利を半ば確信する中、9回裏・巨人の攻撃を迎えます。
9回裏2アウト「あと一人!」
8回裏のジェフ・ウィリアムスに続いて、9回裏のマウンドに上がったのは、ルー・ポート。この年、ウィリアムスとともに加入し、クローザーとして期待されていた投手です。元々は、アナハイム・エンゼルス(当時)の投手で、長谷川滋利のチームメイトでした。長谷川も「ポートなら大丈夫!」と太鼓判を押すほどの助っ人で、阪神の新たな "勝利の方程式" を締めくくります。
ポートは、先頭バッターの二岡をアウトにし、
高橋にはヒットを打たれるも、
清原を打ち取り、2アウト。
勝利は目前です。
投手:ポート
2番 二岡:ファースト ファウルフライ
3番 高橋:センター前ヒット
4番 清原:センターフライ
阪神7-1巨人(2アウト1塁)
しかし、これは悪夢への序章でした。
阪神恒例の「あと一人!」コール。
そのコールが始まるや否や、
この日ヒットがなかったペタジーニがヒット。
続く元木もフルカウントからツーベースを放ち、
高橋、ペタジーニがホームインで、
巨人が2得点を挙げます。
投手:ポート
5番 ペタジーニ:ライト前ヒット
6番 元木:ライト線ツーベース(2得点!)
阪神7-3巨人(2アウト2塁)

VICTORY 2003 阪神を変えた男~星野監督・改革の舞台裏~ 優勝やで! タイガース激闘の記録
止まらない巨人の攻撃
星野監督、たまらず吉野誠に投手交代。
吉野は、続く阿部をフォアボールで歩かせますが、
仁志を2ストライクまで追い込みます。
ここでなんと、星野監督が登場。
仁志との対戦途中で、まさかの投手交代を告げます。
その投手こそ、藤川球児。
当時はまだ "火の玉ストレート" はなく、
この日は準備不足のままマウンドに上がりました。
この投手交代が大誤算。
仁志は藤川の甘い変化球をセンター前に弾き返し、
元木がホームインして、巨人が追加点。
それでもまだ3点差です。
投手:吉野
7番:阿部:フォアボール
投手:吉野→藤川
8番:仁志:センター前ヒット(1得点!)
阪神7-4巨人(2アウト1-3塁)
悪夢の同点ホームラン・・・
波に乗る巨人は、代打に後藤を送ります。
藤川は続投。後藤を2ストライクまで追い込み、
阪神の応援席からは「あと1球!」コール。
しかし、その矢先、後藤の放った当たりはライトスタンドへ。
3ランホームランで、
ついに、巨人は6点差を追いつきました!
しかも、2アウトから!
藤川は、なんとか次打者の原俊介を三振にとり、
サヨナラ負けは免れますが、
延長戦です。
投手:藤川
9番:後藤:ライトスタンドへホームラン(3得点!)
1番:原:三振
阪神7-7巨人(9回裏終了)
立ち直った藤川が好投
悪夢の同点3ランを浴びた藤川でしたが、その後は立ち直り、10回裏、11回裏はランナーを出しながらも、しっかり無得点に抑えます。特に、清原との対戦は、見逃しの三球三振に抑える気迫のピッチング!テレビ解説の江川も絶賛する好投でした。
しかし、味方打線も得点できず、同点のまま、最終回12回を迎えます。
12回表・阪神勝ち越し!
12回表・阪神の攻撃。巨人は、抑えの切り札・河原を投入し、勝利への執念を見せます。
阪神は打順よく、2番・赤星から。
赤星は初球を左中間に弾き返しツーベース。
続く3番・金本がフォアボールを選ぶと、
4番・浜中はなんと送りバント!
これが成功し、1アウト2-3塁となります。
5番・藤川のところ、代打の神様・八木を投入。
巨人は満塁策で八木を敬遠し、6番・アリアスとの勝負です。
アリアスは、ライトへ大きな犠牲フライを放ち、
ついに、8対7で勝ち越し!
最後の最後の回で再びリードを奪いました。
残すは12回裏・巨人の攻撃です。
12回裏・巨人同点!そのまま引き分け・・・
12回裏のマウンドに立ったのは谷中真二。
2番・二岡をライトフライに打ち取りますが、
3番・高橋がレフトスタンドへホームラン!
巨人は土壇場で再び同点に追いつき、
これで阪神の勝ちがなくなりました。
一転して阪神はサヨナラのピンチ。
しかし、ここで、谷中が踏ん張り、
4番・清原、5番・ペタジーニを抑え、3アウト試合終了。
阪神はかろうじて引き分けに留めました。
阪神はほぼ勝利を手中にしていたゲームを引き分けにされる大失態。
後味の悪いゲームとなりました。
この後、巨人が波に乗ってしまいそうです。
ところが、阪神は、翌日、翌々日の試合で巨人を圧倒!
一体何があったのでしょうか?
星野監督の口から出た意外な言葉・・・
ほぼ勝っていた試合を落とし、落胆する選手たち。
当時キャプテンの桧山進次郎曰く、
間違いなく星野監督から怒られるだろう、
と皆思っていたといいます。
ところが、試合後のミーティング。
星野監督の口から出たのは、意外な言葉でした。
追悼企画27/星野仙一、野球に恋した男「セ・リーグ史上最速のマジック点灯」 | 野球コラム - 週刊ベースボールONLINE
その後の快進撃は言うまでもありません。
オールスター前の7月に、セ・リーグ最速のマジック点灯を記録し、貯金も35。
そして、2003年9月15日、18年ぶりのリーグ優勝を成し遂げました!