ドラマデビューまで
時任三郎さんは東京都世田谷区生まれですがその後青森県、そして大阪府に引っ越しをします。
高校は大阪市立工芸高等学校・木材工芸科に入学し、大学は大阪芸術大学デザイン学科に入学するのですが3年生の途中で中退しています。
そして俳優養成所に通うようになり、1980年の22歳の時に舞台『ヘアー』に出演し、俳優デビューします。当時はバンド活動もしていて1981年に歌手デビューも果たしています。
テレビドラマデビューしたのも1980年で水曜劇場「しあわせ戦争」に出演しました。そのごもちょこちょことドラマ出演されていますが、ゲスト出演やスペシャルドラマなどが多かったです。
「ふぞろいの林檎たち」

1983年からは山田太一さん原作・脚本の「ふぞろいの林檎たち」シリーズに出演します。
架空の四流大学を舞台に、進路や恋愛に悩みながらも懸命に生きていく学生たちの姿を描いたドラマです。当時は大学生のテレビ離れが叫ばれていて、大学生がテレビに戻ってくるようにリアルな大学生活をテーマにしたドラマを作ったのでした。当時社会問題になっていた学歴差別もテーマにしているため、四流大学という設定になっていました。
主演は中井貴一さんで、時任さんは中井さん演じる仲手川 良雄の仲間である岩田 健一を演じました。柳沢慎吾さん演じる西寺 実と3人でつるんでいるという役ですね。
健一は3人の中で一番大人びて見えますが実は一番けんかっ早いという一面がありました。京都の名家の息子ですが、一流大学に進学した兄と妹に挟まれて学歴コンプレックスを持っていました。
「ふぞろいの林檎たち」は人気ドラマとなり、1997年までの間にパート4まで放送されました。時任さんの代表作の1つですね。中井さんとはお互いを「戦友」だという仲だそうです。
「ライスカレー」
1986年には、倉本聰さん脚本のドラマ「ライスカレー」で主演を務めます。
時任さん演じる加納健次(ケン)と高校時代の野球部の同期の坂本明(アキラ)(陣内孝則さん)、川床文太郎(ブンタ)(布施博さん)は高校の大先輩である飯塚次郎(北島三郎さん)がカナダでライスカレー屋を開くということで手伝いに来いと誘われます。
直前でブンタが行かれなくなってしまい、ケンとアキラは2人でカナダに向かいます。ですが、二郎が寿司屋のオーナーの妻と駆け落ちしていなくなってしまいます。英語も分からず、土地勘のない2人がカナダで現実に打ちのめされながらも夢に向かって奮闘する、というお話。
ケンは実直で寡黙、慎重な性格で日本では寿司屋で板前をやっていたのですが二郎の誘いを受けてやめ、カナダに向かいました。
「あきれた刑事」

1987年には「あきれた刑事(デカ)」で主演を務めます。前クールでは「あぶない刑事」が放送されていて同じく、日本テレビとセントラル・アーツが制作したドラマ。
時任さん演じる内海 法道 は、警視庁が極秘で設置した「特殊強行犯捜査課」の潜入捜査官。永瀬正敏さん演じる黒木 達男という相棒と事件を解決していく姿をコミカルに描いた作品。
黒木は元暴力団員で内海に報酬をもらって捜査に協力しています。「あきれた刑事」というだけあってなかなか破天荒な設定ですね。
内海は潜入捜査官なので射撃・格闘・ドライビングテクニックの腕前は一流。ですがカエルが苦手という一面がありました。「ダコタ・ハウス」というアパートに住んでいるのですが、刑事という身分を隠し、探偵だと名乗っていました。
時任さんはまっすぐな役が多いイメージでしたがこのドラマは少し違いますね。
「芸能社会」
1990年には「芸能社会」で主演を務めます。「その結婚」というタイトルの平岩弓枝さんの小説をドラマ化した作品。
時任さん演じる大田芳和は、芸能事務所のマネージャー。マネージャーを主人公にして芸能界の裏側を掘り下げた物語。
大田は大女優・千種むつ子(沢田亜矢子さん)の敏腕マネージャー。ある日、千種と舞台俳優である榊寛夫(原田大二郎さん)の熱愛が発覚。スキャンダルが出てしまったなら二人を結婚させようと考えた社長は2人を新婚旅行に行かせ、大田もついていきます。
ですが、すでに2人の仲は冷え切っていてトラブル続きの旅になります。大田はその旅行中に坂口愛子(南野陽子さん)という少女に出会います。愛子に才能を見出した大田は日本に連れてきてデビューしようとするのですが・・・というお話です。
「真夏の刑事」
1992年には「真夏の刑事」で主演を務めます。
時任さん演じる咲田 勇介は刑事課の巡査部長。捜査は1人で行いたい性格なのですが、転属してきた木之本 太郎(別所哲也さん)とコンビを組むことになります。
2人は初日からいきなり衝突してしまうのですが、もめながらも協力し合って捜査をしていくという人情系刑事ドラマ。
「あきれた刑事」とはまた違う正統派な感じの刑事ドラマですね。
「Dr.コトー診療所」

時任さんは1999年から子供をのんびり育てたいと家族でニュージーランドに移住します。その間はほとんど役者の仕事をせず、家族と過ごしていたそうです。そして子供たちが大きくなった2003年に日本に戻ってきます。
そしてそんな時に始まったドラマが「Dr,コトー診療所」。主演は吉岡秀隆さんです。
沖縄県八重山列島にある架空の島・志木那島(しきなじま)を舞台にして、離島の過酷な医療状況を描きつつ、島の人間関係なども描いたドラマです。
時任さんが演じたのは漁師の原剛利。以前いた島の医師の誤診で妻を亡くし、はじめはコトーにも不信感を抱いていました。剛利の息子・剛洋がコトーの最初の患者となり、船上で手術をして助けてもらったことなどからコトーを信頼するようになります。
息子想いで男気溢れる性格で好感が持てましたよね。島民の中でも印象に残る役でした。
時任さんはその後も数々のドラマに出演。男気溢れる役が多く似合っていますよね。60歳を過ぎても若い女性のファンが多いらしいですよ。これからの時父さんの活躍も楽しみです。