【プロ野球】阪神優勝の年に激走!3人で148盗塁のスーパーカートリオ!

【プロ野球】阪神優勝の年に激走!3人で148盗塁のスーパーカートリオ!

1985年のプロ野球といえば、阪神タイガースの21年ぶりの優勝に沸いたシーズンでした。一方、横浜大洋ホエールズには、3人で148盗塁を記録し、セ・リーグの試合を大いに盛り上げた俊足選手たちがいました。その名も「スーパーカートリオ」。今回は、この3選手の1985年の記録を振り返ります。


阪神の優勝に貢献!?

阪神タイガースの21年ぶりの優勝に沸いた1985年。その優勝に最も貢献したチームが、実は横浜大洋ホエールズでした。阪神との対戦成績は、6勝17敗3分。相手チームに貯金を与えることから、この頃は「横浜大洋銀行」と揶揄されることもありました。一方、阪神と優勝争いを演じていた巨人には13勝10敗3分、広島には14勝10敗2分と勝ち越し。最終順位は4位でしたが、実はAクラスに入ってもおかしくない強いチームだったのかもしれません。その原動力の一つだったのが「スーパーカートリオ」プロ野球史上最強の俊足トリオの記録を振り返ります。

スーパーカートリオ誕生!

「スーパーカートリオ」とは、横浜大洋ホエールズの俊足打者、高木豊、加藤博一、屋鋪要の3人のこと。1985年、近藤貞雄監督が、1番高木、2番加藤、3番屋鋪の打順を組み、「スポーツカートリオ」と名付けたのが最初です。それが後にメディアで取り上げられ、いつの間にか「スポーツカー」が「スーパーカー」に置き換わっていました。(置き換わった理由は諸説あります。)



では、当時の3人の記録を具体的に見てみましょう。

スーパーカートリオの記録

3人の盗塁数

年度 高木豊 加藤博一 屋鋪要 合計
1983 27 8 16 51
1984 56 14 11 81
1985 42 48 58 148
1986 24 22 48 94
1987 21 7 48 76
1988 29 2 33 64
1989 32 3 11 46
1990 13 1 3 17

1983〜1990年の3人の盗塁数の推移です。盗塁数の太字は、盗塁王のタイトルを獲得した際の記録です。



注目の1985年は、3人で148盗塁を記録し、突出していることがわかります。3人全員が40盗塁超は、長いプロ野球の歴史でこの時だけです(2022年終了時点)。ただ、意外なことに、誰も盗塁王になっていません。屋敷は、この年から盗塁で活躍するようになり、翌年から3年連続で盗塁王のタイトルを獲得しています。

1985年の盗塁数ランキング

順位 選手名 球団名 盗塁数
1 高橋慶彦 広島 73
2 屋鋪要 大洋 58
3 加藤博一 大洋 48
4 高木豊 大洋 42
5 山崎隆造 広島 35

実はこの年、スーパーカートリオを圧倒した盗塁王がいました。広島の高橋慶彦です。シーズン73盗塁は、歴代9位の記録。また、同じ広島の山崎隆造も走攻守揃った俊足打者で、高橋と合わせて2人で108盗塁はスーパーカートリオを凌ぐ記録です。因みに、チームの盗塁数では、大洋と広島が他チームを圧倒し、大洋が188盗塁で1位、広島が178盗塁で2位と接戦でした。



スーパーカートリオは、盗塁王こそ逃したものの、2〜4位を独占しています。

1985年の打撃成績

順位 選手名 打率
6 高木豊 .318
11 屋鋪要 .304
26 加藤博一 .280

盗塁数を稼ぐには、出塁をしないことには始まりません。よって、打率もまた重要な指標となります。この年は、高木と屋敷が3割超えの高打率。加藤も二度目の規定打席到達を果たし、まずまずの数字を残しました。



では、一人一人の成績を見てみましょう。

"1号車" 高木豊の主な打撃成績

高木豊の主な打撃成績は次の通りです。



打率 .318(リーグ6位)

得点 105(リーグ2位)

二塁打 33(リーグ2位)

三塁打 5(リーグ1位)

盗塁 42(リーグ4位)

四球 77(リーグ2位)

死球 6(リーグ2位)

出塁率 .416(リーグ5位)




盗塁数こそ2人には及ばなかったものの、他の数字は好成績のオンパレードで、ヒットや四死球で着実に塁に出て得点を挙げる活躍が見られました。この年は、"恐怖の1番打者"として阪神の真弓が注目されましたが、強打者で俊足の高木もまた、"恐怖の1番打者"だったと言えるでしょう。



三塁打のリーグ1位は、加藤、屋敷らと同数の1位です。

"2号車" 加藤博一の主な打撃成績

加藤博一の主な打撃成績は次の通りです。



打率 .280(リーグ26位)

三塁打 5(リーグ1位)

盗塁 48(リーグ3位)

犠打 39(リーグ1位)




加藤が現役時代、規定打席に到達したシーズンは2度あり、最初が阪神時代の1980年、2度目がこの年1985年です。三塁打と犠打でリーグ1位を2つも記録しており、特に最多犠打は2番打者としての役割を十二分に果たした証と言えるでしょう。しかも、塁に出れば盗塁もあり、相手チームからすれば一番厄介な2番打者だったのかもしれません。



巨人との開幕戦では、ホームスチールを仕掛け、失敗には終わったものの、ここからスーパーカートリオの伝説が始まったと言えます。

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