つくば万博(国際科学技術博覧会、科学万博、つくば '85)
私たちの世代ですと、「84年のロス五輪⇒85年のつくば万博」は幼いころの印象に残っている方も多いかもしれません。

つくば万博'85マスコットキャラクターのコスモ星丸
マスコットキャラクターの「コスモ星丸」は、1981年から1982年にかけて日本全国の小中学生から公募され、当時愛知県一宮市に住んでいた中学一年生の女子生徒がUFOをイメージして描いたものに、選考委員だった和田誠が仕上げを加えたものであるという。
なお当初は「ピコちゃん」という仮称が付けられていたが、アンケート調査などを経て正式名が決定した。
1981年4月22日に『「国際博覧会に関する条約」に基づく特別博覧会』として登録され開催が決定し、財団法人国際科学技術博覧会協会が主催となって行われた。
「人間・居住・環境と科学技術」を博覧会のテーマとし、日本を含む48ヵ国と37の国際機関が参加した。
総入場者数は、2033万4727人で、当時の特別博覧会史上最高入場者記録となった。会場面積は101.6ヘクタール。

会場となった筑波研究学園都市
つくば万博のシンボルマーク

つくば万博のシンボルマーク
つくば万博会場の主なパビリオン
会場内はA~Gブロックに区分され、様々な企業や国のパビリオンが登場しました。
つくば万博ーAブロック

いばらぎパビリオン

EXPO'85日立グループ館

東芝館

滝の劇場 三井館(Mitsui Water Theater)

住友館 3D-ファンタジアム

UCCコーヒー館
【ガスパビリオン】
日本ガス協会のパビリオン。
テーマは「火・食・くらし」。
正面から見ると白く縁取られた6本の緑、青のシリンダーを模した円からなる建物だった。
炎の樹:高さ25mのシンボルタワーで、頂部には直径1メートルで1800のノズル。地上6メートルには直径1.3メートルで3100のノズルを有した球形バーナーで炎の演出をした。博覧会期間中に使用するガスは26万立方メートル。この時代の家庭で使用する一ヶ月の平均消費量35.4立方メートルの612年分だった。
つくば万博ーBブロック

日本アイ・ビー・エム館

くるま館

富士通パビリオン

芙蓉ロボットシアター

TDKふしぎパビリオン
【でんでんINS館】
日本電信電話公社(電電公社)(会期中の1985年4月1日より民営化され、日本電信電話株式会社(NTT)となった)のパビリオン。
テーマは「INSがひらく夢のある暮らし」。当時、東京の三鷹・武蔵野のモデル地区でしか使えなかった高度情報通信網INSを利用した暮らしを万博会場で体験してもらうのが狙いだった。
立方体の上に、かまぼこ型の屋根が乗っている建物だった。
【講談社ブレインハウス】
講談社のパビリオン。
テーマは「宇宙、人間、未来」。
高さ25メートル、直径22メートルの円筒が垂直に立っている形の建物で、左脳と右脳を表現していた。建物の天井にはLEDや電球、グラスファイバー、スチールワイヤーが張り巡らされ、脳の神経細胞「ニューロン」を表現し、建物全体で人間の脳の100万倍の大きさの脳を表現した。
【三菱未来館】
三菱グループのパビリオン。
テーマは「すばらしい地球・人間」。
建物は、大小ふたつの三角柱を組み合わせた独特の形で、外側に大きくせり出した外壁のミラーが特徴的だった。
【松下館】
松下グループのパビリオン。
テーマは「日本人と日本文化の源流を探る」。
最先端技術で古代の文化を説明する、前方後円墳を模した建物だった。
つくば万博ーCブロック
【国連平和館】
テーマは「開発による平和-行動する国連」。
建物は、青と白に塗り分けられた半球ドーム型。地球儀を形作る紙の形をしたコンクリート片40枚を組み合わせて作られた。
つくば万博ーDブロック

SONYジャンボトロン
つくば万博ーEブロック
【テーマ館】
日本政府出展のパビリオン。
テーマは「人間・居住・環境と科学技術」。
高さ42メートルの透明なシンボルタワーと「我が国土」がテーマのA館と「我が暮らし」がテーマのB館の2棟からなるガラス張りの建物だった。
【歴史館】
日本政府出展のパビリオン。
テーマは「日本の科学技術のあゆみ」。
U字型の白い建物だった。
日本の技術発展の歩みを展示。弥生時代の農機具、明治時代作られた国産の蒸気機関車(国鉄860形蒸気機関車)や発電機、現代のエレクトロニクスまで展示されていた。
つくば万博ーFブロック

テクノコスモス
【ダイエー館 詩人の家】
ダイエーのパビリオン。
テーマは「人みな詩人、物みな光る」。
半地下式板張りのピラミッド型建物で、階段状の屋根は3600名が休める巨大ベンチとなっていた。
直径16mのドームスクリーンで詩が朗読や映像で表現されていた。
つくば万博ーGブロック

NEC C&Cパビリオン

集英社館
【みどり館】
みどり会(三和グループ)のパビリオン。
テーマは「世紀を開くバイオテクノロジー」。
建物は、緑と白の球が重なり、細胞融合を表していた。
【燦鳥館(さんとりーかん)】
サントリーのパビリオン。
テーマは「鳥たちのいのち、私たちの明日」。
建物は、カテナリー曲線を天地替えしたドーム型。カテナリー曲線とは鎖の両端を持って吊り下げて生じる曲線である。
【健康・スポーツ館】
デサント・スズケン・大塚製薬3社のパビリオン。略称「健スポ館」。
テーマは「健康とスポーツを科学する」。
黄色の3棟の建物を間に立つ白い柱から伸びたワイヤーが支えるような建物だった。
【KDDテレコムランド】
国際電信電話のパビリオン。
テーマは「ふれあい・今グローバル」。
パラボラアンテナを持った通信衛星型のゴンドラを持った50度の傾斜角を持つ観覧車と、壁面に世界地図が書かれた建物があった。
【ハートピア・自然の美パビリオン】
三金会(第一勧銀グループ)のパビリオン。
テーマは「自然-造型の秘密」。
垂直に立つ円柱に屋根を立てかけたような形状の建物だった。
会期終了後、メイン会場跡地は工業団地(筑波西部工業団地)に転用され、Dブロック跡地には「科学万博記念公園」が設立された。
旧桜村(現つくば市)吾妻の第二会場は、翌1986年4月17日にメモリアル施設である「つくばエキスポセンター」として整備・開設され、現在に至っている。