子役デビューから再デビュー
真田広之さんは幼い頃にスカウトされて、幼児用雑誌のモデルなどをしていました。その頃は本名を新字体にした下沢 広之の名前で活動されていました。
5歳で劇団ひまわりに入団し、1966年に映画『浪曲子守唄』で映画デビュー。中学に入学すると幼少期に共演した千葉真一酸の主催するジャパンアクションクラブ(JAC)に入団します。高校入学した時に千葉さんの勧めで一度学業に専念するため、芸能界から引退します。
その後、1978年に映画『柳生一族の陰謀』のオーディションに合格したことで芸能界に復帰します。休んでいたのは高校時代だけですね。再デビュー後は、「真田 広之」の名前で活動するようになります。命名したのは千葉さんで千葉真一の「真」からとっているのです。
1978年以降は、映画、ドラマで活動していきます。千葉さんの影響もあってか、ヘリコプターから飛び降りるシーンをスタントなしで行うなどアクションスターとして活動されていました一方、アイドルとしても売り出していて歌手デビューをしたり、沢田研二さんとキスシーンがあったり若い頃は色々な活動をされていました。
「同級生は13歳」
時代劇やアクションものに出演することが多かった真田さんですが、1987年に「同級生は13歳」というドラマに出演します。
主演は後藤久美子さん。アラブからやってきた日本人の女の子が、本当は中学2年生なのですが通信教育などで勉強をしてきて日本の高校に入学するというお話。日本では飛び級できないので今思えばありえない設定ですね。同級生役には前田耕陽さん、井森美幸さん、網浜直子さんなどが出演していました。
年上の同級生の中で主人公が友情を育んだりもまれていく様子を描いた青春コメディです。所ジョージさんが父親役で所さんらしい砕けた感じの父親でした。
真田さんは主人公の担任の教師役で運動神経がいい能天気な先生という役どころでした。
「独眼竜政宗」から「太平記」主演

真田さんは1987年に「独眼竜政宗」で大河ドラマ初出演を果たします。真田さんは徳川家康の六男松平忠輝を演じました。ちなみに徳川家康は津川雅彦さんです。
松平忠輝は幼少期から乱暴者で家中を困らせていました。政略結婚ではあったのですがともにキリシタンで生涯夫婦を誓い合いました。器量の持ち主で戦国の世なら世渡り上手に生きられたようなタイプですが、天下泰平を目指す世の中では危険視され、結果追放されるという役どころでした。
ワイヤーアクションを活かした演技なども話題になりました。
その後1991年の「太平記」では主演を務め、足利尊氏を演じました。尊氏の挙兵から死までを描いたドラマです。大河ドラマで初めて南北朝動乱を取り上げた作品だったのですが、南北朝時代を描いたのは最後の10週ほどで、鎌倉時代と南北朝時代を築くまでが長く描かれました。
この作品で尊氏は癖がなく誰にでも好かれる人物として描かれています。まだこれといった代表作がなかった真田さんを抜擢したのもそういう理由があったのかもしれません。
「高校教師」

1993年には野島伸司酸脚本の「高校教師」で主演を務めます。真田さんはそれまで映画中心で活躍されていましたが、この作品で幅広い年齢層に名が知られるようになりました。
真田さん演じる羽村 隆夫は、大学の研究室で教授の助手をしていました。教授の娘との結婚が決まり、教授の紹介で日向女子高校の理科の教師として赴任することになります。
期間が終われば研究室に戻れると持っていたのですが、教授の娘と破談になってしまいます。じつは教授に疎まれていてすべて策略だったことを知るのでした。
その高校で二宮 繭(桜井幸子さん)に出会います。繭は明るく奔放な生徒に見えますがどこか陰があります。駅で羽村に助けられたことをきっかけに、羽村に好意を持ち付きまとうようになります。繊細で温厚でありながらどこか孤独な面を持っていた羽村と繭は次第に惹かれあっていくという生徒と先生の禁断の愛を描いた物語ですね。
他にも教師のレイプや近親相姦、同性愛、自殺など社会的にタブーとされていた事柄を数多く扱い話題になった作品です。
過激な内容でありながらキスシーンは大人同士しかなく、性的な表現もにおわせる程度にとどまっていたのも特徴的でした。
「僕が彼女に、借金をした理由。」

1994年にはTBS系列の金曜ドラマ「僕が彼女に、借金をした理由。」でも主演を務めました。
真田さん演じる山野辺邦彦は、建設会社に勤めるサラリーマン。マイホームも購入し順風満帆な生活を送っていると思っていたのですが、実は妻が自分のカードを使いこんでカード破産し、借金まみれになってしまいます。
追い詰められた邦彦は、隣人である立花ゆき(小泉今日子さん)の個人金融からお金を借りることになります。その後、借金返済のためにゆきの元で働くことに。
借金をきっかけにした男女の奇妙なラブストーリーです。
「こんな恋のはなし」
1997年には「こんな恋のはなし」で主演を務めます。
真田さん演じる原島修一郎は大金持ち。借金まみれの次は大金持ちの役だったんですね。ですが、余命3カ月を宣告されます。愛や友情は信じるな、と育てられてきた原島。残された時間で少しでも事業を進展させるために政略結婚を考えます。
ですが、ひょんなことから玉置浩二さん演じる下平孝之助という貧乏人に出会います。正反対の2人ですが幸之助の出会うことで、愛や友情を知らなかった男の残りの人生が変わってくるというお話です。
松嶋菜々子さん、戸田菜穂さんなども共演されていました。
真田さんは2004年以降、日本のドラマには出演していません。国内外の映画、海外ドラマを中心に活躍されています。世界に羽ばたく俳優になった真田さん。今後の活躍も楽しみですね。