【ミニー・リパートン】今も影響を与え続ける奇跡の歌声と歴史的名曲

【ミニー・リパートン】今も影響を与え続ける奇跡の歌声と歴史的名曲

ヒット曲は『ラヴィン・ユー』のわずか一曲。しかし、40年以上経った今でも、多くのアーティストに影響を与える歌姫がいます。それが、ミニー・リパートン。31歳で若くしてこの世を去った彼女ですが、4オクターブ以上の声域とホイッスルボイスは、今も多くの人を魅了してやみません。そんな彼女の短くも濃い生涯を振り返ります。


オペラのボイストレーニング

ミニー・リパートン(Minnie Riperton)は、1947年11月8日、アメリカ合衆国イリノイ州シカゴの音楽一家に誕生しました。両親は、彼女の音楽的才能、とりわけ、ボーカルの才能を見出し、彼女に音楽の道に進むことを勧めます。彼女は、オペラのボイストレーニングを受け、この時、呼吸法やフレージング、音域をフルに使う技法を習得しました。当初は、オペラ歌手を目指す予定でしたが、ソウルやリズム&ブルースに興味を持つようになり、方向転換を決意します。

彼女の最初のキャリアは、15歳の時。シカゴのガール・グループ、ジェムズ(The Gems)のリードボーカルでした。1965年には、フォンテラ・バス(Fontella Bass)のヒット曲『レスキュー・ミー(Rescue Me)』で、バックボーカルを務めています。同曲には、後にアース・ウィンド・アンド・ファイアー(Earth, Wind and Fire)を結成する、モーリス・ホワイト(Maurice White )もドラムで参加していました。

ヒットに恵まれなかったデビュー期

1966年、アンドレア・デイヴィス(Andrea Davis)の名でシングルをリリースした後、シカゴ発のソウル・バンド、ロータリー・コネクション(Rotary Connection)に加入します。バンドでは、セルフタイトルのデビューアルバムがヒット。全米アルバムチャートで最高位37位を記録しています。

そして、1970年、アルバム『カム・トゥ・マイ・ガーデン(Come To My Garden)』で、ついにソロデビューを果たします。ちょうどこの頃、ミュージシャンのリチャード・ルドルフ(Richard Rudolph)と結婚し、彼も曲作りに参加していました。アルバムはヒットには恵まれなかったものの、後年高く評価され、多くのアーティストによってサンプリングやカバーで使用されています。

Minnie Riperton - Come To My Garden

歴史的名曲の誕生

アルバム『パーフェクト・エンジェル』

その後、彼女は二児の母となり、セミリタイア状態の専業主婦となっていました。そんな彼女を、エピック・レコードの担当者が再発掘。デモテープを自社に持ち込み、契約にこぎつけます。

エピックは、アルバム制作にあたり、彼女にプロデューサーの希望を聞きます。すると、彼女はスティーヴィー・ワンダー(Stevie Wonder)を熱望。当時、スティーヴィー・ワンダーは多忙を極めていましたが、実は彼もまた彼女のファンで、オファーに快諾しました。

1974年、スティーヴィー・ワンダーと、夫リチャード・ルドルフのプロデュースで、2作目のアルバム『パーフェクト・エンジェル(Perfect Angel)』をリリースします。アルバムは大ヒット。全米アルバムチャートでは最高位2位、全米R&Bアルバムチャートではナンバーワンを獲得しています。因みに、アルバムにリードギターで参加したマイケル・センベロ(Michael Sembello)と、バックボーカルで参加したデニース・ウィリアムス(Deniece Williams)は、後年、全米シングルチャートでナンバーワンを獲得しています。

Minnie Riperton - Perfect Angel

シングル『ラヴィン・ユー』

アルバム収録曲では、1975年4月、第四弾シングルとしてリリースされた『ラヴィン・ユー(Lovin' You)』が大ヒット。全米をはじめ、24カ国のチャートでナンバーワンとなっています。本曲のヒットで、彼女の "ハイトーンボイス" と "髪に纏った花" は、世界的に有名になりました。

本曲で最も印象的なのが、彼女のホイッスルボイスと、本物の鳥のさえずり。特に鳥のさえずりは、デモの録音中に偶然に入った音で、良い効果音になったことから、意図的に曲に残したと言われています。

また、エンディングで歌う "Maya, Maya" とは、娘のマーヤ・ルドルフ(Maya Rudolph)のこと。元々、娘が生まれた時の子守唄がベースだったので、それが自然と歌詞に反映されたのでしょう。因みに、マーヤ・ルドルフは現在、女優、コメディアン、シンガーとして、両親に負けず劣らずの活躍を見せています。

余命宣告

『ラヴィン・ユー』がブレイクした矢先の1976年1月、彼女は乳がんで余命半年の宣告を受けます。活動的な彼女は、自身の病名を公表し、1977年、アメリカがん協会のスポークスパーソンに就任。1978年には協会の「勇気ある賞」を受賞し、ホワイトハウスでカーター大統領から贈呈されています。

彼女は死の間際まで現役を続け、1979年7月12日、31歳の若さで旅立ちました。末期がんは非公表だったため、多くの人がショックを受けたと言われています。

今も影響を与え続ける歌姫

彼女の没後、夫リチャード・ルドルフは、生前録音した彼女の歌声を抽出し、新たなアルバムを制作します。それが、1980年にリリースされた『Love Lives Forever』。スティーヴィー・ワンダー、ピーボ・ブライソン(Peabo Bryson)、マイケル・ジャクソン(Michael Jackson)らのボーカルを加え、新たな曲として遺作アルバムを作り上げました。

彼女の発するホイッスルボイスは、後に多くのアーティストに影響を与えました。7オクターブの歌声と言われるマライア・キャリー(Mariah Carey)は、彼女から多大な影響を受けたと明言しています。シャニース(Shanice)は、1992年に『ラヴィン・ユー』をカバーしました。今人気のアリアナ・グランデ(Ariana Grande)も、ホイッスルボイスを使っています。ミニー・リパートンは、これから先もずっと音楽界に影響を与え続けていくことでしょう。

ミニー・リパートン

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