1970年代半ばから、徐々にディスコサウンドに傾倒していくポップミュージック。そのため、ロックもストレートなロックでは物足りなくなってきました。そこで、R&Bをベースとしながら、JAZZやラテン音楽の要素も取り入れた、メロディアスで洗練されたロックが生まれました。
AORとは…
AOR - Wikipedia
we're all alone(1976)
わたしが、AORという言葉を知ったのは、ボズ・スキャッグスのヒット曲「We're All Alone」を聴いてからです。この曲は、日産の車“ローレル”のCMソングとして話題になっていましたね。メロディアスな曲調と、ボズ・スキャッグスが伸びのある声で歌い上げる名曲ですね。
ボズ・スキャッグス
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9C%E3%82%BA%E3%83%BB%E3%82%B9%E3%82%AD%E3%83%A3%E3%83%83%E3%82%B0%E3%82%B9
1991年ジャパンツアーの大阪公演は、1988年のアルバム『アザー・ロード』を引っさげての公演でした。アンコールを含め2時間半近く、最前列で聞いていた私。バックの演奏も完璧で、ずっと最初の1曲目から、スタンディングオベーションしていました。そして、「Heart of Mine」の演奏が始まると、一緒になって歌っていました。あの時の興奮が、まるで昨日のことのようです。それでは、アルバム『アザー・ロード』から、「Heart of Mine」です。
Heart of Mine(1988)
AORの代表的なミュージシャンとして、忘れてならないのが、ボビー・コールドウェル。彼もR&Bの影響を色濃く受けていますが、R&Bの持つ泥臭さはまったくなく、むしろ、サウンドはJAZZっぽくて、とても洗練されています。1978年に大ヒットしたこの曲をご紹介します。「What You Won't Do for Love」
What You Won't Do for Love -風のシルエット(1978)
ボビー・コールドウェル
1980年代、ロックのクロスオーバー的サウンドには、16ビートが主流でした。16ビートを刻むドラムスとベースのボトムラインがカッコ良かったのです。そんな中でメロディを重視して作られたTOTOの曲は、常に時代を先取りしたサウンドを打ち出していました。スタジオミュージシャンバンドとして完成度も高く、大ヒットは、至極当然といえるでしょう。まずは、大ヒットシングルから「99」。
99(1979)
TOTO
TOTO (バンド) - Wikipedia
TOTO IV(邦題:TOTO IV〜聖なる剣〜)(1982)
TOTO IV(邦題:TOTO IV〜聖なる剣〜)
ピアノソロから始まるメロウな1曲。スローバラードの曲として上げるなら、この曲をおいて他にありません。アルバム『TOTO IV ~聖なる剣』から、「I Won't Hold You Back」です。
I Won't Hold You Back(1983)
AORの代表的なバンドとしてもう一つご紹介しましょう。ピーター・セテラ率いるシカゴです。まずは名曲中の名曲、「HARD TO SAY I'M SORRY」。
HARD TO SAY I'M SORRY- 素直になれなくて(1982)
この曲が使われたCM
【1997 CM】トヨタ マークⅡ クオリス - YouTube
シカゴ
メンバー変遷
シカゴ メインメンバー変遷(1969~2014)
Hard Habit to Break - 忘れ得ぬ君へ(1984)
70年代から80年代前半に大活躍したシカゴ。大ヒットした、1970年発表の「25 or 6 to 4- 長い夜」や1972年発表の「サタデイ・イン・ザ・パーク」は、ロック色が強かったのですが、80年代からは、この曲のようなラブバラードでのヒットが多くなったようです。それでは、同じくラブバラードで、1984年発表の「Hard Habit to Break- 忘れ得ぬ君へ」です。
80年代、AORの代表的なバンドとして大好きなのが、スティーリー・ダン。この曲は、そのメンバーのひとりドナルド・フェイゲンのアルバム『The Nightfly』からのシングルです。曲は、「I.G.Y.(What a Beautiful World)」。
I.G.Y. (What a Beautiful World) (1982)
スティーリー・ダン
Do It Again(1972)
Do It Again
最後にご紹介するのは、美しい声で、多くの人を魅了したクリストファー・クロス。“天は二物を与えず”という諺どおり、その高くて透き通る声。ライブでは、眼をつぶって聞いてください。
Arthur's Theme (Best That You Can Do) -ニューヨーク・シティ・セレナーデ(1981)
ニューヨークシティセレナーデは、その流れるような美しいメロディのため、しばしば、ピアノ伴曲として使われることも多いです。クリストファー・クロスの声変わりしていない少年のような、清々しく高い声が、映画の主人公アーサーの純粋なところと、ピッタリ来るような気がします。彼の容貌も、素朴で飾らない雰囲気も、この曲にマッチしているかも…
CHRISTOPHER CROSS
AORを代表するボズ・スキャッグスやTOTO、そして、80年代のシカゴにボビー・コールドウェル、スティリー・ダンといったミュージシャンたち。80年代は、ジャズフュージョンというもう一つの流れがあり、クロスオーバーするところも多いのですが、まったくの独断と偏見で曲紹介させて頂きましたので、ご了承ください。全体的にバラード曲が多いのは、やはり、アダルトコンテンポラリーだからでしょうか?でも、今聴いても古さを感じさせない。AORは、洗練されていて、とってもオシャレ!最高です。