【グランプリ連覇】勝っても負けても鮮やかな逃げ馬メジロパーマー

【グランプリ連覇】勝っても負けても鮮やかな逃げ馬メジロパーマー

勝つときは鮮やかな逃げ切り勝ち、負けるときは4コーナーで失速して惨敗。どのレースもハラハラドキドキの逃げ馬メジロパーマー。1992年のグランプリレースを連覇するほどの実力馬ですが、実は障害に転向した経験も。そんな個性的逃げ馬の足跡をたどります。


父も人気の逃げ馬

メジロパーマーは、
父 メジロイーグル 母 メジロファンタジー
の間に誕生した、鹿毛の牡馬です。

生産は日本屈指のオーナーブリーダー、メジロ牧場。
1987年(昭和62年)3月21日生まれで、同じ年に、GI馬のメジロマックイーン、メジロライアンも誕生していることから、のちに「花の62年組」と呼ばれました。

父メジロイーグルも逃げ馬で、京都新聞杯でダービー馬サクラショウリを破った実力馬。400キロ前後の小さな馬体から「小さな逃亡者」と呼ばれ、人気を博しました。それになぞらえて、メジロパーマーも「遅れてきた逃亡者」と呼ばれることがあります。

12連敗、重賞勝利、障害転向

まさかの12連敗

1989年8月、新馬戦デビュー。新馬戦は2走続けて2着に惜敗しますが、3走目の未勝利戦で初勝利。続くコスモス賞(OP)も勝利します。

順調なすべり出しに見えましたが、3歳オープン2レースでいずれも着外。その後、骨折が判明し休養に入ります。

4歳となった翌1990年、1500万下、オープンの4レースを使った後、初の重賞レース、函館記念に出走します。しかし、またしても直後に骨折が判明。同期同門のメジロマックイーン、メジロライアンがクラシック戦線で活躍する中、メジロパーマーは勝つことすらできませんでした。

振り返れば、まさかの12連敗。1年9ヶ月もの間、勝ち星に見放されます。

重賞初制覇と障害出走

天皇賞・春でも惨敗を喫し、オープンでは歯が立たないと判断した陣営は、障害レースへの転向を検討し始めます。一時調子が上がり、札幌記念(GIII)に挑戦して見事勝利しますが、その後も逃げバテのレースが続き、障害への出走を決意します。

障害試験をレコードタイムで合格し、初戦も勝利。ところが2戦目、飛越が低すぎて負傷。飛び方が適当で、このままでは事故を起こす恐れがあったため、呆気なく障害の道を断念します。再び、平地のレースに戻ることになりました。

ついにGI制覇

山田泰誠との出会い

障害帰りが奏功したのか、その後はレースで引っかかることが少なくなります。復帰3レースはいずれも、人気以上の着順を残しました。天皇賞・春から鞍上は山田泰誠。名コンビ誕生で、ここからメジロパーマーが覚醒します。なかでも、新潟大賞典(GIII)は、二度目の重賞勝利で、内容的にも危なげなく完勝でした。ついに、宝塚記念(GI)への出走を果たします。

9番人気1着

重賞を勝利し、上り調子だったとは言え、所詮は障害帰りの馬。宝塚記念では、トウカイテイオー、メジロマックイーンの2頭が不在にもかかわらず、9番人気と評価は低いままでした。

レースは、いつも通りメジロパーマーが逃げる展開。自分のペースに持ち込み、4コーナーまで先頭を維持します。最後の直線では失速しますが、他馬も失速したため、独走態勢に。後続と差を広げてゴールし、2着カミノクレッセとは3馬身差、3着ミスタースペインとは7馬身差、4着オースミロッチ以下とは10馬身以上の差をつける完勝でした。

グランプリ連覇

秋2戦惨敗

グランプリホースとして迎えた秋初戦は、京都大賞典(GII)。実績を買われ2番人気に押されます。しかし、9着と凡走。

続く天皇賞・秋(GII)は、ハイペースの逃げを打ちますが、3コース手前から早々に失速。4コーナーでは4番手にまで後退します。最後の直線は、先行馬が総崩れで、後続が追い込む展開。終わってみれば、穴馬のレッツゴーターキンが1着。メジロパーマーは、先頭から10馬身以上も離されるブービー負け(17着)に終わりました。

宝塚記念はフロック勝ちだったのか。。。そんな評価が支配的になり、グランプリホースの称号に陰りが見え始めます。

ブービー人気からの起死回生

この年の有馬記念(GI)も、スターホースがそろいました。ジャパンカップで外国馬を一蹴したトウカイテイオー、マイルチャンピオンシップを2年連続で制したダイタクヘリオス、菊花賞をレコード勝ちしたライスシャワー。メジロパーマーも、ここに肩を並べるはずでしたが、16頭立ての15番人気。春のGIホースがまさかのブービー人気です。

レースは、予定通りメジロパーマーが逃げる展開。ところが、天皇賞・秋と違って超スローペースです。有力どころが中段、後方で互いを牽制し合う中、3コーナーではメジロパーマーとダイタクヘリオスが完全に抜け出し、後続と15馬身以上の差をつけます。最後の直線はメジロパーマーが単独先頭に立ち、後続が慌てるよう追いかけますが、時すでに遅し。最後はわずかハナ差で、見事な逃げ切り勝ちを収めました。

1992年 第37回有馬記念(GI)

メジロパーマーの上がり3ハロンが37.1。2着レガシーワールド、3着ナイスネイチャが34.8、8着ライスシャワーが35.1。それでも追いつけなかった。うまくスローペースで逃げたジョッキー、山田泰誠の好騎乗だったと言えるでしょう。

終わってみればグランプリ連覇。この年、メジロパーマーは「JRA最優秀5歳以上牡馬」に選出されました。

最後の一年

ステイヤーとしての力の証明

7歳となった翌1993年。天皇賞・春のステップレース、阪神大賞典(GII)から始動しました。有馬記念の勝利が評価され、2番人気に。このレースでも見事、逃げ切り勝ちを収め、天皇賞・春に駒を進めます。

天皇賞・春は、メジロマックイーン、ライスシャワー、マチカネタンホイザらの強豪が出走。メジロパーマーは4番人気でした。結果は、ライスシャワーがメジロマックイーンの3連覇を阻み勝利。メジロパーマーは、2着のメジロマックイーンに肉薄する3着に逃げ粘りました。負けはしたものの、ステイヤーとしての力を証明した好レースとなりました。

8歳まで活躍

続く宝塚記念(GI)は、メジロマックイーン、メジロパーマーのメジロ二強対決で盛り上がります。しかし、レースは、メジロパーマーが予定通り逃げるも、3コーナーで早々に失速。10着のブービー負けとなりました。以後年内はすべて着外。掲示板に載ることはありませんでした。

明け8歳。もうメジロパーマーは終わった。誰もがそう思っていた頃、ハンデ戦の日経新春杯(GII)に出走します。斤量は、なんとトップハンデの60.5kg。いくらGIを2勝した実績馬とは言え、衰えの見える8歳馬には、あまりにも負担が大きすぎます。

ところが、レースは、好調時のメジロパーマーを思わせるようなリズミカルな逃げ。バテる様子がありません。最後の直線も粘りに粘って、他馬はなかなか追いつけない。最後はムッシュシェクルに交わされますが、堂々2着でのゴールでした。

結局、レース後に右前脚屈腱炎が発覚。引退を余儀なくされますが、見事な有終の美でした。38戦9勝。4年半もの長い競走生活でした。

先頭を走り続けた記憶に残る一頭

引退後は、北海道のアロースタッドで種牡馬として繋養。産駒では、メジロライデンが、2002年の京都ハイジャンプ(J-GII)を勝利しました。2002年に種牡馬を引退した後は功労馬として余生を送り、2012年4月7日にその生涯を閉じました。

重賞5勝、うちGIグランプリレース2勝。これだけの実績がありながら、フロック視が多かったメジロパーマー。鮮やかな逃げ切り勝ちか惨敗か、常にファンをハラハラドキドキさせてくれる、その裏返しだったのかもしれません。確実に言えることは、メジロパーマーが出るレースは、どのレースも例外なく波乱含みでおもしろく、競馬をさらに楽しいものにしてくれたことでしょう。1990年代初頭の中央競馬で、先頭を走り続けた、最も記憶に残る競走馬の一頭です。

関連する投稿


武豊デビュー40年特別展が銀座三越で開催!日本ダービー6勝の軌跡やAI・AR等の最新コンテンツが集結

武豊デビュー40年特別展が銀座三越で開催!日本ダービー6勝の軌跡やAI・AR等の最新コンテンツが集結

日本競馬界のレジェンド、武豊騎手のデビュー40年を記念した特別展が2026年4月28日より銀座三越で開催される。前人未到の「日本ダービー6勝」に焦点を当てた展示や、AI・ARを駆使した最新デジタル体験、会場限定のオリジナルグッズ販売など、頂点を走り続けるジョッキーの栄光と進化を体感できる貴重な催事だ。


【牧原由貴子】競馬界のアイドル!? テレビCMにも出演したJRA初の女性騎手

【牧原由貴子】競馬界のアイドル!? テレビCMにも出演したJRA初の女性騎手

今ではすっかりお馴染みの女性騎手ですが、JRAで女性騎手が初めて登場したのは、約30年前の1996年のことです。当時デビューしたのは、牧原由貴子、細江純子、田村真来の3人。中でも、アイドル的な人気を誇ったのが牧原由貴子でした。女性騎手のパイオニア的存在である、彼女の活躍を振り返ります。


『みどりのマキバオー』のスピンオフアニメ『どこでもマキバオー』が配信中!マキバオー最大のライバル・カスケードが登場!!

『みどりのマキバオー』のスピンオフアニメ『どこでもマキバオー』が配信中!マキバオー最大のライバル・カスケードが登場!!

ディー・エル・イーとKDDIが共同プロデュースするWEBアニメブランド『スキマノアニメ』のアニメシリーズ『どこでもマキバオー』の第22話が現在配信中となっています。


あの“白い奇跡”の感動がいま蘇る!『みどりのマキバオー』連載開始30周年記念特別展が開催決定!!

あの“白い奇跡”の感動がいま蘇る!『みどりのマキバオー』連載開始30周年記念特別展が開催決定!!

マンガ、アニメ、特撮などを始めとするサブカルチャーをテーマとした企画展を開催・運営している株式会社クレイジーバンプが、墓場の画廊中野店と墓場の画廊ONLINE STOREにて『みどりのマキバオー 連載30周年記念 POP UP STORE in 墓場の画廊』を開催します。


JRAが「復刻!馬券メーカー」を公開!懐かしの馬券を再現できると話題に!「みどりのマキバオー」つの丸も参戦!!

JRAが「復刻!馬券メーカー」を公開!懐かしの馬券を再現できると話題に!「みどりのマキバオー」つの丸も参戦!!

JRAがこのたび、「復刻!馬券メーカー」というサイトを公開し、SNSを中心に懐かしの馬券が溢れていると大きな話題になっています。


最新の投稿


俳優・水谷豊の真実に迫る著作『YUTAKA MIZUTANI』発売!監督としての人生と秘められた過去を解禁

俳優・水谷豊の真実に迫る著作『YUTAKA MIZUTANI』発売!監督としての人生と秘められた過去を解禁

俳優・水谷豊の著作『YUTAKA MIZUTANI』が発売される。「傷だらけの天使」や「熱中時代」、そして「相棒」と、各時代でトップを走り続ける彼が、自らの監督作品を通じて「誰も知らない本当の水谷豊」を明かす。サイン本お渡し会や、代表作『青春の殺人者』の50周年記念Tシャツ発売など、ファン必見の情報が満載だ。


楳図かずお生誕90周年!60年代の伝説的「なかよし」付録漫画を完全再現した究極の復刻BOXが登場

楳図かずお生誕90周年!60年代の伝説的「なかよし」付録漫画を完全再現した究極の復刻BOXが登場

ホラー漫画の金字塔、楳図かずお氏の生誕90周年を記念し、1960年代に『なかよし』の付録として人気を博した「なかよしブック」が復刻BOXとして発売される。当時のサイズや色味、さらには広告や読者ページまで可能な限り再現。市場でも滅多に見られない超貴重な少女ホラー傑作5選が、今ここに蘇る。


武豊デビュー40年特別展が銀座三越で開催!日本ダービー6勝の軌跡やAI・AR等の最新コンテンツが集結

武豊デビュー40年特別展が銀座三越で開催!日本ダービー6勝の軌跡やAI・AR等の最新コンテンツが集結

日本競馬界のレジェンド、武豊騎手のデビュー40年を記念した特別展が2026年4月28日より銀座三越で開催される。前人未到の「日本ダービー6勝」に焦点を当てた展示や、AI・ARを駆使した最新デジタル体験、会場限定のオリジナルグッズ販売など、頂点を走り続けるジョッキーの栄光と進化を体感できる貴重な催事だ。


錦織一清、還暦イヤーを飾る初のソロ写真集&カレンダー発売!“ニッキ”の今を詰め込んだ永久保存版

錦織一清、還暦イヤーを飾る初のソロ写真集&カレンダー発売!“ニッキ”の今を詰め込んだ永久保存版

俳優、演出家、シンガーとして活躍する錦織一清が、2025年5月に迎えた還暦イヤーの締めくくりとして、人生初となるソロ写真集&カレンダー『言魂 -10カラットの呟きと共に-』を2026年5月29日に発売。本人プロデュースによる日常の風景や自ら吐露した10の呟きなど、現在の彼の魅力を凝縮した一冊となっている。


世界的ヒット作「テトリス」がボードゲームに!リアルなブロックを“手で積む”新感覚の対戦が熱い

世界的ヒット作「テトリス」がボードゲームに!リアルなブロックを“手で積む”新感覚の対戦が熱い

デジタルゲームの金字塔『テトリス』が、実際にブロックを手に取って積み上げる『テトリスボードゲーム』として2026年4月下旬に発売決定!2〜4人での同時対戦が可能で、カードによる駆け引きや「オジャマミノ」による妨害要素も。デジタルとは一味違う、空間認識力と戦略性が試されるアナログならではの魅力を紹介。