その時、ハートは盗まれたとは
1992年にフジテレビ系列で放送された『その時、ハートは盗まれた』は、ティーンエイジ層をターゲットにしたドラマ枠「ボクたちのドラマシリーズ」にて製作された学園ドラマ・ラブコメディです。女子高生がある魅力的な女の子にファーストキスを奪われたことがきっかけで、友情以上の感情を抱いてしまう物語。脚本は北川悦吏子さん。主題歌には松任谷由実さんの「冬の終り」 が起用されました。全5話。平均視聴率は「12.0%」。
一色紗英
この物語の主人公・椎名裕子はどこにでもいる普通の高校生。先輩の片瀬雅人に想いを寄せるも、クラスメートの麻生早紀に突然ファーストキスを奪われたことで、次第に彼女に惹かれていく。演じた一色紗英さん(いっしき・さえ)は、1977年4月29日生まれ東京都出身の女優・タレントです。1991年にフジテレビ系『学校へ行こう!』でデビューすると、その後「ポカリスエット」のCMなどで幅広い人気を獲得し大ブレイク!

映画初出演となった『蔵』では演技力が高く評価されました。またデビュー以来、清純派のイメージが強かったもののバラエティ番組「ウッチャンナンチャンのやるならやらねば!」にレギュラー出演すると、たちまち天然なキャラクターが顔を出し、コミカルな役柄もこなすように。愛らしいルックスから雑誌の表紙を飾ることも多くありましたよね。奥菜恵さんとダブル主演したドラマ『ふたり 〜Wherever You Are〜』も懐かしいです。
高校卒業後は海外へ留学。1999年にはブランド『archi(アーキ)』を立ち上げ、2002年5月に元モデルで実業家のサーフェン智さんとの結婚を機に、徐々に芸能活動をセーブ。現在では3児の母親となり、ロサンゼルスに在住しています。2019年、約10年ぶりにCMに登場すると変わらぬ可愛らしさで視聴者を魅了しました。
内田有紀
裕子の同級生。大人びた容姿から学校内であらぬ噂を立てられ、女子生徒達から仲間外れにされているどこか影のある少女・麻生早紀を演じた内田有紀(うちだ・ゆき)さんは、1975年11月16日生まれ東京都出身の女優・歌手です。

中学2年生からモデル活動をスタートさせ、『その時、ハートは盗まれた』(1992年)で女優デビュー。同年ユニチカの「1993年水着キャンペーンモデル」にも選出され注目を集めました。連続ドラマ初主演を務めた『時をかける少女』や『17才 -at seventeen-』などで中性的な魅力を放ち大ブレイク!

1994年には出演したドラマ『半熟卵』の主題歌「TENCAを取ろう! -内田の野望-」で歌手デビューを果たしました。以降、女優業と歌を軸に活動しアイドル的な人気を獲得。3枚目のシングル「Only You」には当時一世を風靡していた小室哲哉さんを音楽プロデューサーに迎え、自身がイメージキャラクターを務めた「ロッテリア」のCMソングとしてお馴染みでしたね。

続く「BABY'S GROWING UP」も小室さんプロデュースの楽曲で、主演映画『花より男子』の主題歌。そして主演ドラマ『キャンパスノート』の主題歌「幸せになりたい」で自身最大のシングルセールスを記録するのです。同曲の作詞・作曲は広瀬香美さん。

2000年、演技を基礎から勉強し直したいと「北区つかこうへい劇団」に8期生として入団し、一時活動の場を映像界から舞台へと移しました。2002年にはテレビドラマ『北の国から 2002遺言』で共演した俳優の吉岡秀隆さんと結婚し、芸能界を引退。しかし2005年には離婚を発表し再び復帰しました。女優復帰後はテレビドラマを中心に第一線で活躍しており、近年では『最後から二番目の恋』の長倉万理子役や人気シリーズ『ドクターX〜外科医・大門未知子〜』の城之内博美役でもお馴染みですよね。
木村拓哉
この作品でヒロイン裕子が憧れる高校の先輩・片瀬雅人を演じた木村拓哉(きむら・たくや)さんは、1972年11月13日生まれ東京都出身の俳優・歌手です。そして言わずと知れた国民的アイドルグループSMAPの元メンバー。ニックネームは「キムタク」。1991年9月9日にSMAPとしてシングル『Can't Stop!! -LOVING-』でCDデビューしました。
『その時、ハートは盗まれた』は、木村さんの本格的な連続ドラマデビュー作であり、のちに『あすなろ白書』、『ロングバケーション』、『ビューティフルライフ』、『空から降る一億の星』といった代表作になる作品でタッグを組むことになる脚本家・北川悦吏子さんとの初めてのコラボ作品でもあります。ブレイク前夜のまだ初々しい木村さんに、この頃ハートを盗まれたファンの皆さんは実にお目が高いですね!

そんな木村さんが俳優として頭角を現したのは93年に放送されたドラマ『あすなろ白書』。黒縁メガネが特徴的な好青年でヒロイン園田なるみを一途に愛する取手治役にピタリとハマったことで大きな注目を集めました。また取手がなるみを後ろから抱きしめる場面は「あすなろ抱き」と称され、今でも日本のドラマ史に残る名シーンとして語り継がれていますよね。

その後も『若者のすべて』ほか数々のヒット作に恵まれ、また「ベストジーニスト」や「好きな男」ランキング連覇など、人気はますますうなぎ上り。この頃から「キムタク」というニックネームが広まり、圧倒的な木村拓哉時代が始まるのです。そして彼の人気を決定づけたのが月9の名作『ロングバケーション』。「月曜日はOLが街から消える」と言われるほどの社会現象を巻き起こし、「視聴率男」と呼ばれるように。同時期には『SMAP×SMAP』もスタートし、グループとしてもトップアイドルになりました。

そしてさらにSMAPを国民的アイドルへと押し上げたのが名曲「世界に一つだけの花」。この楽曲との巡り合いが、真の意味で老若男女に愛される最強のグループへと成長させたのです。

これまで数えきれないほどの作品に恵まれ大ヒットへと導いてきた木村拓哉さん。残念ながらSMAPは惜しまれながらも解散してしまいましたが、木村さんの快進撃は決して止まることを知りません!これまでカッコイイヒーロー像を演じることが多かった彼ですが、2020年に放送されたドラマ『教場』では、警察学校を舞台に笑顔を一切見せない鬼教官を演じ、新境地を開きました。また同年、アルバム『Go with the Flow』でソロデビュー。これからもますます進化しそうな木村拓哉さんから目を離すことは出来ないでしょう。
私生活では、2000年に歌手の工藤静香さんと結婚し2人の娘をもうけ、長女のCocomiさんはフルート奏者、次女のKōki,さんはモデルとしてそれぞれ活動しています。
貴島サリオ
裕子の同級生で友人の田村緑を演じた貴島サリオ(きじま・サリオ)さんは、女優・歌手です。タレント養成所の発表会にてスカウトされたことがきっかけで芸能界入り。1992年4月、ドラマ『アルファベット2/3』に主演し、同年11月にはアルペンのCM曲「あきらめないで」で歌手活動もスタートさせました。

その後も『キライじゃないぜ』『振り返れば奴がいる』、朝ドラ『かりん』など話題作に出演する傍ら、歌手としてもセブンイレブンのCM曲「白とピンクと青い空」をはじめ東芝アリーナのCM曲「In Salah-赤い砂-」やフジテレビ系春の高校バレー大会ソング「Together光の中で…」、ドラマ『結婚しようよ』の挿入歌「一番星が輝くように」といった多くのタイアップ曲を担当し、伸びのある歌声で印象を残します。

しかし1997年、デビュー時から所属していた事務所およびレコード会社を離れ独立。芸名も「SALLY・K(サリーケー)」や本名の「井下さおり」に改名し、ライブを中心に活動を行なっていましたが、1998年に開催されたライブを最後に表舞台から姿を消しました。現在は結婚し3児の母親となり、夫と共に英会話講師をしているという。
あとがき
現在ドラマ『未来への10カウント』というスポーツ学園ドラマで絶賛共演中の木村拓哉さんと内田有紀さん。2人の共演はまさに『その時、ハートは盗まれた』以来、約30年ぶりだという。当時とは全く異なる役柄でありながらも、どこか懐かしく、またキャラクター設定もあの頃と同じく高校の先輩・後輩という間柄なので、なぜか早紀と片瀬の未来を見ているかのような不思議さがあります。皆さんもぜひノスタルジックな気持ちに浸ってみてください。
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