明石家さんま 西の郷ひろみ時代

明石家さんま 西の郷ひろみ時代

東京進出、ドラマ出演、レコードリリース、おまけに芸能人運動会で田原俊彦に勝ってしまうという吉本芸人にあるまじき活躍の数々。


しかしさんまは何度、説教されてもアドリブを続けた。
一方、桂三枝も1人だけ笑いをとれればいいという姿勢を断じて許さず、他のメンバーのミスでも矛先をさんまに向け、2人の愛の説教部屋は毎週続いた。
車で移動中も桂三枝はさんまに、大喜利問題を出したり、
「なんぞオモろいことないか?」
とフリ続け、収録がない日に気が休まらないように
「考えとけよ」
といくつも課題を与えた。
「オモろいことないか?」
さんまは聞かれ続けたが、そんなに面白いことがあるはずがなく、ウソをつくか、話を大きくするしかなく、ある日、
「いや、こないだビックリしたんが、地底人と会うたんです」
と答えると
「それはウソや」
といわれてしまった。
こうしてさんまはどんなこともバラエティーにしてしまう能力を身につけていった。
そして番組では常にアクセル全開でどんなスキも見逃さない。
「たとえつまらなくても出来る限り笑わす方向に行かなきゃダメ」
「最低な、最低、1ブロックに1つ2つ笑いを入れる努力が必要」
「笑いこそ正義」
と病的に全部の話を面白くしようとし、お笑い怪獣が覚醒しつつあった。


誰からも好かれ、あまり叱られたことはなかったさんまは、「ヤングおー!おー!」の収録が行われる火曜日になると憂鬱になった。
「ヤングおー!おー!」で極度の緊張感を味わうさんまにとって、さまざまな芸人が集っておしゃべりをする花月の楽屋は最高のヒーリングスポットだった。
ある日、花月の楽屋で中田ボタンに
「さんまちゃん、テレビに出だして天狗になっとるんちゃうか?」
と冗談まじりに聞かれ
「はい、ならしてもろうてます」
と答えると楽屋はドカンとなった。
その後、
「天狗になっとるんちゃうか?」
「はい、ならしてもろうてます」
は楽屋の鉄板ネタとなった。
そして桂三枝が楽屋にいるときに中田ボタンは
「天狗になっとるんちゃうかって聞いてみはなれ」
とフった。
そして桂三枝に
「さんま、天狗になっとるんちゃうか?」
と聞かれたさんまは
「はい、ならしてもろうてます」
と答えた。
すると桂三枝は
「なってどうすんねん!」
みんなのおかげやろ」
と激怒。
「まあまあまあまあ」
ナダめる周囲に
「まあまあちゃいます!
そこに座れぇ!」
「はい」
さんまは正座させられ、天狗の鼻をヘシ折られながら、何事もなかったかように楽屋を出ていく中田ボタンを目撃した。

「西の郷ひろみ」
といわれ、アイドル的人気でたくさんの女性ファもを獲得したさんまは、複数のドラマに出演。
もちろんコントチックなドラマもあったが、シリアスなドラマにも出演し、少しでも目立ち、少しでも印象を残し、少しでも長く映るためアドリブを入れ、休憩中はスタッフや出演者を笑わせ現場を盛上げた。
それまでみていた芸能ニュースの影響で
「ドラマに出たら共演者と恋愛関係になる」
と思い込んでいたさんまは、共演者に恋をしてドキドキしていた。

1978年10月、桂三枝は自身がパーソナリティを務めるラジオ番組「MBSヤングタウン土曜日」、にさんまをレギュラー出演させることを決定。
ヤングタウン、通称ヤンタンは、月~土の深夜に放送されていた。
月~金はスタジオから生放送されていたが、土曜日は素人参加型の公開録音。
「恋のとりもちコーナー」では、
「本日は恵子ちゃんの登場です。
では早速、恵子ちゃんの意中の男性を呼び出してみましょう」
(三枝)
「アッ、もしもし、こちらヤンタンですが、今日はあなたのことを思い続けている女性がスタジオに来てくれてます。
話だけでも聞いてあげて欲しいいんですけど・・」
(さんま)
と依頼者が恋する相手に電話をかけ、その後、なんとか恋を実らせようと奮闘。
さんまが
「ウチのおじいちゃん、シュークリームを食べて『この稲荷寿司うまいわ、でもご飯が少し柔らかいな』っていうんです」
「最近、ウチのおじいちゃん、音声機能のついたポットとしゃべり出したんです。
『お湯が出ます』『ああ、そうかい』ってポットと会話しとったんです」
などと少しボケ始めた祖父、杉本音一のエピソードを話したことがきっかけで「音一ファンクラブ」というコーナーが誕生し、杉本音一は電話出演することになった。
当日、さんまは奈良の実家に
「今日の夕方4時頃電話するから」
と電話。
すると音一は昼から4時間、電話の前で正座。
時間になり三枝が電話。
「もしもーし、音一さんですか?」
「ハロー!」
「歌手では誰が好きですか?」
「ピンクレディですわ」
「ピンクレディのどっちの方が好きです?」
「ワシはピンクの方が好きです」
スタジオは大爆笑。
出番を終えた音一は血圧が上昇し、その後1日寝込んだ。
さんまはスタジオに集まった150名に積極的に話しかけ、あちこちで漫談、小噺、ギャクを放ち、盛り上げた。
そして毎週、収録が終わると三枝に
「余計なことばっかり言うな」
と説教された。

さんまは、収録が行われる毎日放送千里丘放送センターに出入りしていた広告代理店勤める女性に一目ボレ。
会うたびに話しかけ、デートに誘い、断られ続けた末、やっとのことで初デートにこぎつけた。
ヤンタンの収録後、大勢のファンに取り囲まれながら2人でタクシーに乗って甲子園へ向かい、阪神・巨人戦を観戦。
これをしったヤンタンのプロデューサー、渡邊一雄は激怒。
さんまは呼び出され
「ファンがいてこその君、ファンがいてこそのヤンタンやろ。
それをファンがみてる前で女とタクシーに乗るなんて何を考えてるんだ。
10万人のファンと1人の女性、どちらが大事なんだ」
と叱られ
「1人のエッチです」
と答え、
「なんちゅうこというねん!」
渡邊一雄はさらに激怒。
吉本社員も呼び出し、説教を続けた。


「ヤングおー!おー!」に、紳助・竜介が新加入。
毎週、桂三枝に怒られているさんまをみて紳助は
「ガマンせえ。
三枝の時代もすぐに終わる」
と慰め励ましたが、その後もまったく終わらなかった。
さんまがコーナーで司会を任されるようになると先輩の桂文珍は、
「さんま君、今日もアンタが司会?」
「はい、よろしくお願いします」
「フンッ!偉ぁなったんやね」
といい爆笑させた。
さんまは江川騒動のあおりを受け、巨人から阪神に移籍した小林繁の形態模写で人気爆発。
女性ファンに騒がれる後輩をみて西川のりおは
「俺もやったるわい」
と勇んだが、無理だった。
大きなレギュラー番組を抱えるようになったたさんまは、ついに3年間暮らした第一久寿荘を出て、大阪市福島区のマンション、「メガロコープ福島」へ引っ越し。
家賃は7万円。
4畳半と6畳の部屋に新しい絨毯を敷いて、ビールケースと板は捨てて、本物のベッドを買った。


さんまは女性とは必ず2人きりで会い、芸人仲間と遊ぶときに連れて行ったり、紹介したりすることは1度もなかった。
そんなプライベートを明かそうとしないさんまを島田紳助は
「もしかしたらどっかの国の工作員ちゃうか」
と疑っていた。
ある冬の日、2人で大阪のテレビ局での収録に参加。
次の撮影まで時間が空いたため、さんまに
「俺の家来るか?」
と誘われた紳助は内心、
(珍しいな)
と驚きながらメガロコープ福島へ向かった。
そしてマンションに着くと部屋のドアの前にミニスカートにブーツを履いた女性が紙袋を持って立っていた。
紳助が気を遣って、
「俺、帰るわ」
といったが、さんまは
「帰らんでエエよ。
入れ、入れ」
といいドアを開けて入っていった。
紳助も続いたが、女性が入ってくるだろうとドアを開けて待った。
しかしさんまは
「アッ、ええねん、ええねん」
といってドアを
「バタンッ」
と閉めた。
そして汚れた衣類を集めて紙袋に詰め、ドアを開けて、黙って女性と紙袋を交換。
紳助は
(指令書の交換か?)
と思った。
そして無言のままドアを閉めたさんまに
「誰やねん?」
と聞くとさんまは
「洗濯屋や」
と答えた。

後日、その女性はさんまの部屋を訪れ、
「私の気持ち聞いて」
といって1枚のレコードを差し出した。

♪愛することに疲れたみたい
嫌いになったわけじゃない
部屋の灯はつけてゆくわ
・・・・・・・・
今度生まれてくるとしたなら
やっぱり女で生まれてみたい
だけど二度とヘマはしない
貴方になんかつまずかないわ
・・・・・・・・♪

部屋に松山千春の「恋」が流れ、女性はボロボロと涙を流しながら部屋のカギを置いた。
(今度こそ本気やな)
と悟ったさんまは、
「俺も胸がいっぱいや。
これが俺の気持ちや」
といい、レコードをかけ、女性を後ろから抱きしめた。

♪もう 終わりだね 君が小さく見える
僕は思わず君を 抱きしめたくなる・・・・・♪

部屋にさんまのアンサーソング、オフコースの「さよなら」が流れ、小田和正が
「♪さよなら さよなら さよなら♪」
とさよならを連呼した。


1979年4月、毎週日曜6時5~55分、ラジオ番組「ミスターさんまタイム」がスタート。
この初冠番組は1年間継続。
5月にはなんば花月で単独ライブ「さんまDEサンバ」が開催。
普段、年配客が多い花月が10代の女性で埋まった。
6月、さんまは日本テレビの歌番組「NTV紅白歌のベストテン」に紅組の応援団長として出演。
当日、プロデュサーに
「さんまちゃん、前説みてあげてよ」
といわれ
(絶対売れへんな)
と思いながらみていると、その若手芸人は、前説を終え舞台を下りた後、挨拶しにきた。
「どうでしたでしょうか?」
「おもしろかったですよ」
さんまが答えたのが小堺一機だった。


本番が始まり、堺正章に
「大阪の若手人気ナンバー1、明石家さんまさんです」
と紹介されたさんまは、投げキッスをしながら登場。
「どうもどうも、今日は紅組のためにがんばっていきたいと思います」
「ほんとに大丈夫?
マグロさん?」
さんまはズッコケながら
「マグロやない、さんまや!」
「あーすいません」
「何をおっしゃいます。井上順さん」
堺正章はズッコケた。

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