ジーコが夢見た、日本版黄金のカルテット

ジーコが夢見た、日本版黄金のカルテット

2002年9月~2006年6月の間、サッカー日本代表を率いたジーコこと、アルトゥール・アントゥネス・コインブラ。元ブラジル代表のスーパースターで、あの偉大なペレからも「過去最も私に近づいたのはジーコだった」と称えられました。そのジーコが監督になり、日本代表チームの中で理想とした黄金のカルテットとは、どのようなものだったのでしょうか。


ジーコと日本

1991年9月より翌年の3月にかけて、ジーコは日本サッカーリーグ2部となる住友金属の一員として戦い、リーグ得点王になります。優勝まであと一歩でしたが、それでもチームをリーグ2位まで引き上げました。Jリーグ開幕の前年、前哨戦ともいうべきナビスコカップでは、ジーコ率いる鹿島がベスト4まで進出。それでも負けず嫌いのジーコは、結果に満足せずタイトルが獲れなかったことがかなり悔しかったそうです。

そして1993年5月16日、いよいよJリーグが開幕します。ジーコ擁する鹿島アントラーズは、メキシコワールドカップ得点王リネカーが加入した名古屋グランパスエイトと激突。その時ジーコは、Jリーグ第1号のハットトリックを達成し、5対0で快勝したのです。

これまでに来日した外国人選手や監督の中で、ジーコほど日本サッカー界に大きな影響を与え、偉大な足跡を残した人はいません。ジーコ自身も、日本を第二の故郷と呼ぶほどに日本に深い愛着を持っています。2021年で鹿島のテクニカルディレクターを退任したジーコは、22年よりクラブアドバイザーとしてブラジルからチームをサポートすることになりました。

ジーコ監督の考え

2002年7月に着任したジーコ監督は、選手に自由に動きながらも、考えるサッカーを推進しました。それは、10数年の間、日本サッカーに接してきたジーコが、日本人選手の長所と短所を熟知していた上でのことです。与えられたことはこなせるが、イマジネーションに欠けるのが日本人の特性と見抜き、考えてプレーをすることで、イマジネーション的なプレイを引き出せる考えたのです。

そこでジーコ監督は、選手を一人前の人間として認め、ミスを犯しても自らで答えを見つけるまで待つという方針を決めたのです。しかしそれは個人の資質もあり、すぐに解消できるものではありませんでした。結局は、就任4年間の大半を費やしてしまったのです。しかし選手間の対話が増え、アジアレベルではスムースにパスゲームを展開できるように成長します。2004年のアジアカップでは連覇も遂げ、ドイツW杯予選では11勝1敗の好成績で、世界で1番早く出場権を獲得したのでした。

黄金のカルテット

黄金のカルテットとは、ブラジル代表のサッカー選手、トニーニョ・ファルカン・ソクラテス・ジーコの4人の総称です。共に、サッカー史上で最も高い評価を受けているMFで、その4人がブラジル代表として作り上げた豪華な中盤を表す言葉として、世界のメディアが羨望をこめて使用しました。

日本の「黄金のカルテット」の4人は、稲本潤一・小野伸二・中村俊輔・中田英寿の4人をいいます。この4人、既に日本代表の中心選手だったのですが、稲本以外はポジションが重なってしまい、トルシエ監督時代には、4人が同時にピッチに立つことは1度もありませんでした。それがジーコ監督の初陣となる、2002年10月16日のジャマイカ戦で初めて実現したのです。黄金のカルテットという言葉と共に、日本中の注目を集めた試合となりました。

ジーコは、現役時代に自らが中心選手としてプレーした代表チームを夢の集合体として、日本でその再現を試みたのです。ブラジル代表となるカナリア軍団の10番を背負った経験のあるジーコは、観客を魅了する芸術的なサッカーをこよなく愛し、監督になってからもその実現に執着することになりました。

1982年ワールドカップイタリア大会で大きく輝いたブラジル黄金のカルテットと、ジーコが選んだ日本の中盤を形成する4人は、合致する面も多かったといえます。ゲームメイクを担った10番を背負うジーコは、中村俊輔と重なります。更には、どちらもフリーキックの名手ですよね。テクニックと体力を兼ね備えたオールラウンダーのファルカンは、ゲームの流れが読めて展開力に優れる小野伸二と重なります。チームの精神的支柱となるキャプテンのソクラテスは、攻守をリードする日本代表の絶対的な存在である中田英寿です。代表チームではやはり新キャプテンに抜擢されます。そして、華やかな3人を後方から支えるボランチだったのがトニーニョ、見事にファイターの稲本潤一に重なりますよね。

ワールドカップドイツ大会

抜群の成績で予選を勝ち抜いた日本代表でしたが、本大会ではオーストラリアに1−3・クロアチアに0−0・ブラジルには1−4となり、F組最下位に終わりました。日本らしいサッカーを見せることもなく、ジーコ監督が目標にしていたベスト4までは遥かに届かず、2大会連続の決勝トーナメント進出もならなかったのです。

結局は、トルシエ監督時代から馴染んだ3バックの採用となったり、稲本が故障している最中に、ボランチの福西崇史が急成長したこともあり、2006年ドイツ・ワールドカップで、黄金のカルテットが揃って先発することは一度もありませんでした。タレントが勢ぞろいして、史上最強ともいわれたジーコ・ジャパンは、1勝もできずに今大会を去ることになったのです。

ドイツ・ワールドカップを不本意な成績で終えたジーコ・ジャパン。4年間のチーム作りはどこで狂ってしまったのでしょうか。1次リーグ最終戦となる対ブラジル戦が終わった後にジーコ監督の談話では、もっとできると思っていたようで、結果についてはとてもさびしいと語っています。

暫くマスコミの間でも話題を集めた「黄金のカルテット」。中田と稲本が怪我で長期離脱を余儀なくされ、日本代表のシステムの変化や、遠藤保仁や福西崇史の台頭もあって、日本版黄金のカルテットは揃わなくなり、徐々に消えていきました。その後ジーコ・ジャパンを回顧した中田英寿は、当時の日本には、ジーコの考えはを遂行する実力が備わっていなかった。日本代表には、能力的にまだまだ早かったのではないかと語っています。

もう1度見たい躍動する黄金のカルテット

カルテットのそれぞれが、欧州のクラブチームで活躍。その雄姿を見ていたファンは、4人そろって同じピッチに立つ姿を夢見たことでしょう。実際に、その夢見心地を味わえたのが、ワールドカップ初戦のジャマイカ戦の前半だけ。4人が、相手選手を撹乱し、思う存分に躍動する姿をもう1度見てみたいと願う人は、決して少なくないはないはずです。

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