紅天女

まずは物語の軸となる舞台「紅天女」この主演をかけて主人公のマヤとライバルの亜弓は競っています。マヤの師匠である月影千草が過去に演じた役で大ヒット作。この演劇の公演をめぐって各社が試行錯誤をしているという作品ですね。
舞台は南北朝時代で、梅の木の精と、仏師が出会い、恋をする物語。梅の木の精である阿古夜は恋をすることによってどんどん能力が失われていきます。そして、人間の争いが理解できず苦しむ場面も・・・。山形県の民話阿古耶姫をもとにしたお話だといわれています。
2021年現在、どちらが主演になるのかや物語のラストは描かれていません。
ですが、「紅天女」は2006年に「能」で公演され、その後も再演を繰り返しています。さらに2020年にはオペラで公演されました。
ガラスの仮面とは全く関係なく、1つのお話として舞台化されているのです。一劇中劇がメディアミックスされるなんてすごいですよね。そしてここでは「紅天女」のラストも描かれていました。
能では美内先生は「監修」ですが、オペラでは脚本も担当されています。そんなことより早く続きを・・・!と突っ込みたくなりますが。
忘れられた荒野
「忘れられた荒野」はコミックス28巻から33巻で描かれている演劇。紅天女候補になるために演劇界で賞を取らなくてはいけない、というときにマヤが選んだ大事な舞台です。ボーイフレンドの桜小路優と初共演することになった舞台でもあります。
時は1931年。人類学者であるスチュワートは、狼に育てられた少女、ジェーンに出会います。ジェーンは体は人間の女の子ですが、心は狼。
ジェーンは人間として生きる権利がある、と主張するスチュワートは、ジェーンを人間として教育することに。2人は激しくぶつかり合いながら、ジェーンは徐々にスチュワートに心を開き、人間としての心を取り戻していくのでした。
こちらの作品も舞台化されています。2017年に公開され、美内先生が脚本を担当されています。漫画では、ジェーンがスチュワートの元を離れ、養子に行くところで終わりますが、舞台ではその後日談も描かれていました。
ふたりの王女

23巻から27巻まで登場するのは「ふたりの王女」。マヤと亜弓、そして月影先生が共演した作品です。
アルディスとオリゲルドというふたりの王女が、王位継承権をめぐって対立するというストーリー。
アルディスとオリゲルドは正反対の性格。アルディスは美しく華麗な光の王女。一方オリゲルドは牢獄で育った闇の女王。
誰もが歩がアルディスを、マヤがオリゲルドを演じると思っていて本人たちも乗り気だったのですが、月影先生の提案でマヤがアルディスを亜弓がオリゲルドを演じることに。今までに演じたことのない役で困惑する2人ですが、お互いの生活を交換するなど力を合わせて役をつかんでいきます。
16世紀のイギリス女王エリザベス1世とスコットランド女王メアリーからインスピレーションを受けた作品だそうです。こちらの舞台はコミックス5巻分使って描いている超大作なのですが、まだ舞台化などはされていません。個人的には一番見てみたいお話だったのでいつか舞台化などされるといいなと思います。
女海賊ビアンカ
続いては18巻に登場する「女海賊ビアンカ」。こちらは芸能界を追放されたマヤが学校で文化祭のために披露した演目。しかも、演劇部からも攻撃をされていて舞台は借りることができず、体育倉庫を使って1人で演じたお芝居でした。
体育用具をセットに見立ててマヤが1人で演技するシーンが印象的でした。
こちらはエピソードとしてそれほど大きくなく、18巻にしか登場しない演劇なのですが、実はこのお話も舞台化されています。
2007年、2013年、2015年と三度に渡って舞台化されています。こちらも脚本は美内先生が担当しています。(先生、早く続きを・・・)「ガラスの仮面」の中ではマヤが1人で演じていましたが、舞台は他のキャストも登場しています。他の作品もそうですが、作品として単独で楽しめるのでガラスの仮面を知らない人でも見ることができますよ。
元々、2年ほどの連載作品として構想を練っていたお話なのですが、ガラスの仮面の劇中歌として登場させたそうです。ですから、ガラスの仮面内では物語の全貌を描き切れていなかったんですね。しっかり練られたストーリーなので何度も舞台化されたのでしょう。
なぜ劇中劇がクローズアップされるの?

ガラスの仮面にはほかにもたくさんの劇中劇が登場します。オリジナル作品もまだまだありますが、原作ありの作品には「若草物語」、「たけくらべ」、「嵐が丘」、「奇跡の人」、「真夏の夜の夢」などがあります。原作ありの作品も、「ガラスの仮面」を見ると読んでみたくなるほど、しっかり劇中劇が描かれています。
それにしてもなぜオリジナル作品がこれほどメディアミックスされるのかというと、劇中劇もしっかり作りこんでいるからです。物語の基盤となる紅天女はもちろんのこと、そのほかの作品も1つの作品としてしっかり物語が出来上がっています。漫画に登場しない部分までしっかり書き上げ、そこから漫画に登場させるシーンをクローズアップしているのです。
ですから手の込んだ作品で、作品に引き込まれていくんですよね。その分、本編の進みは遅いのですが、それだけじっくり考えられているからこそ、面白い作品が生まれているので仕方がないのかな、とは思います。
それにしてもそろそろ10年くらい新刊が出ていないので続きもやっぱりお願いしたいです。
なぜ続きが出ない?「ガラスの仮面」の謎に迫る! - Middle Edge(ミドルエッジ)