『ポストの中の明日』とは?
『ポストの中の明日』
『ポストの中の明日』は、藤子-F-不二雄さんによるSF短編マンガ。
1975年に週刊少年サンデーに掲載され、1984年には、てんとう虫コミック『藤子不二雄少年SF短編集』の第2巻として、コミックにも収録されました。
OVA版『ポストの中の明日』
当時、発売されたVHSビデオには『ニューイヤー宇宙査行』も同時収録されていて、お得感のある商品です。
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今回の記事では、こちらのOVA版『ポストの中の明日』の内容を中心に振り返っていきたいと思います。
OVA版『ポストの中の明日』の本編動画・ストーリー
OVA版『ポストの中の明日』の魅力とは?
エスパーの活躍を描いた藤子-F-不二雄さんの作品といえば、
『エスパー魔美』
こちらを思い浮かべますが、『ポストの中の明日』は『エスパー魔美』とは比べものにならないほどに別モノといった印象です。『エスパー魔美』は日常生活の中で、その能力をつかって活躍します。
しかし、『ポストの中の明日』の主人公・市川はせっかく予知能力に目覚めるものの、その能力をまったく活かせていません。周囲からは腫れ物扱いされるだけで、中途半端な能力のおかげで苦悩する姿が印象的な作品となっています。
藤子-F-不二雄さんの別作品と比較してみると、最も有名なコンテンツといえる…
『ドラえもん』
こちらは未来を変えることを前提とした内容になっていますよね。主人公・のび太が誰と結婚するのかで運命が変わってしまうので、そのサポート役として22世紀から派遣されてきたのがドラえもんです。
一方、『ポストの中の明日』では、未来は変えられない運命といったテイストが強くなっていて『ドラえもん』とも大きく感覚が異なっています。
藤子-F-不二雄さんが手掛けた作品の多くは、夢や希望といったものをテーマにしているものが大半を占めています。その中でも、『ポストの中の明日』は独自路線を強く反映したものといえるでしょう。
しかし、『ポストの中の明日』の登場人物のタイプは、まさに『ドラえもん』のそれと類似していて不思議な感覚を抱きます。
市川はのび太、サチコは静ちゃん、メガネはスネ夫、宇土はジャイアン。年齢層を高校生にしているだけで、そのキャラクターデザインはほぼ使い回していて面白いです。そこには藤子-F-不二雄さんの個性は如実に表れていて、”らしさ”や”こだわり”といったものに好感がもてます。
少し違うのは、ドラえもんに相当するようなキャラクターが不在というところでしょうか。『ポストの中の明日』では、主人公たち一向は青木ヶ原樹海でハイキングを楽しんでいる最中に遭難してしまうのですが、そこにドラえもんやその役割を果たすような人物はいません。
もしドラえもんの役割を果たす存在がいれば、未来の道具やチート的な助力を得られることで、遭難しても、きっと困ることはなさそうですよね。誰の助けも入らないという状況下に緊張感が生まれ、そこにストーリーに惹き込まれてしまう魅力があるのだと思います。
OVA版『ポストの中の明日』のまとめ
超能力をテーマにしながら、『エスパー魔美』とは異なるテイストを打ち出したOVA版『ポストの中の明日』。未来を変えるという発想においては、『ドラえもん』とも違うニュアンスを感じます。しかし、登場人物においては『ドラえもん』のそれをほぼ踏襲していて、藤子-F-不二雄さんの個性を強く感じさせるものとなっています。
すでにお馴染みともいえるような人物構成に、逆に安心感にも近い感覚をもつのは私だけでしょうか。記事内には本編動画を掲載していますので、この機会にぜひご覧になって、その面白さをご自身の目で確かめてみてくださいね。