画業60年のかわいい伝説「花村えい子と漫画 」開催!
少女漫画のパイオニアとして活躍した漫画家、花村えい子の展覧会「画業60年のかわいい伝説 花村えい子と漫画」が、2021年8月7日(土)から9月12日(日)まで、埼玉県 川越市立美術館にて開催されます。2019年7月、福岡県 嘉麻市立織田廣喜美術館(福岡県)にてスタートした巡回展の2会場めとして、作家の出身地での開催となります。
本展覧会では、約140点に及ぶ原画作品を軸に、制作時期を6つの章に分けて展示、描き続けられた漫画の中の“女性像”の推移と少女漫画の歴史に迫るとともに、1959年のデビューから60年以上に及ぶ制作活動の軌跡を辿ります。

2020年12月3日に惜しくもこの世を去った漫画家・花村えい子(享年91歳)。花村が作家として歩んだ道のりは、そのまま少女マンガの歴史と重なります。女性の、女性による女性のための創作として世界でも稀有な表現とされる少女マンガを、黎明期から中心作家の一人として支えました。
その作品は、エンターテインメント性溢れる情緒豊かな作風で人気を博し、多くの人を魅了する繊細な筆致でさまざまな世代の女性たちがそれぞれに抱える葛藤をもいきいきと描がかれています。
時代によって移り変わる世相を鮮やかに掴みつつ、貸本から少女雑誌、学年誌から少女マンガ、そして青年誌・レディースコミックと、あらゆる媒体でクオリティの高い作品を晩年までコンスタントに発表し続け、生涯約550点もの作品を手がけました。長い作家人生の歩みは多岐に亘り、今ではその全仕事を追うことはかなり困難となっています。

イラスト『霧のなかの少女』 (ショウワノート)1967年
会場では、当時の貴重な資料と“カワイイ”をデザインしたカラフルな空間で、漫画とともに生きた
花村えい子の作品と人生について、漫画家たちとの交流も紹介するなど作家の魅力にも迫ります。
また、出身地である川越市での開催で、展覧会直前から地元の施設、ショップとのコラボレーションやイベントも予定され、街中で花村えい子の世界を楽しむ企画が予定されています。(詳細は順次発表)

『落窪物語』 (中央公論社)1997年
【展覧会の見どころ】
《女性アーティストが描く女性像の軌跡》
約140点の原画作品を制作時期に基づいて6つの章に分けて展示。少女漫画の歴史と女性像の推移とともに手がけた作品や作風の変化がわかります。色彩感あふれる表現力と躍動する少女たちの姿から、妖艶で表情豊かな大人の女性まで、繊細なタッチで表現された数々の作品を展示。
《ミニシアターでの上映》
会場では、2本の映像を上映します。
①2019年に収録されたインタビュー:約20分
花村えい子本人へのインタビューを中心に、元少女コミック編集長(小学館)、元Hiミステリー編集長(宙出版)がそれぞれ、ミステリー原作小説を扱う漫画家として先鞭を切った花村とミステリー漫画の誕生秘話を語ります。
後半は、歴代アシスタント達と花村えい子による座談会で、当時の超多忙な制作のようすや食事の話など裏話満載の楽しいトークが繰り広げられます。
②オリジナル「モーションコミック ふたりのふうせん」:約15分
1971年、別冊少女コミック(小学館)で掲載された「ふたりのふうせん」に効果音やコマ割りを生かし“モーションコミック”として編集、新しい作品として生まれ変わりました。
《貸し本漫画本、文房具、着せかえなどの貴重な現物展示》
貸し本や少女漫画誌の掲載誌を始め、少女イラストが製品化された文房具(ノート、スケッチブック、鉛筆など)や雑誌、ノートの付録で当時大人気だった紙製の着せかえの原画など、貴重な品々の展示から当時の少年少女の娯楽や作家の感性あふれるセンスが窺えます。

当時の文房具など
《世代を超えた漫画家達との交流》
ちばてつや、さいとうたかを、わたなべまさこ、辛酸なめ子など、交流のあった漫画家からの画業60周年のお祝いメッセージや瀬戸内寂聴氏からの直筆手紙などが展示されます。
《子供から大人まで楽しめる展示》
大型のBOOK型什器や特製フォトスポット(会場内はすべて撮影可)、ぬり絵コーナーなど、カラフルで立体的な展示会場は、少女漫画の世界を体感でき、誰でも楽しめる空間となっています。

展示風景 嘉麻市立織田廣樹美術館(2019)
【開催概要】
名称:画業60年のかわいい伝説 花村えい子と漫画
会場:川越市立美術館
https://www.city.kawagoe.saitama.jp/artmuseum/
〒350-0053埼玉県川越市郭町2丁目30−1
TEL. 049-228-8080 / FAX. 049-228-7870
※ご来館の際は、最新の開館情報および注意事項を美術館ホームページまたはお電話にてお問い合わせください。
会期:2021年8月7日(土)〜9月12日(日)
休館日 月曜日(8/9は開館)、8/10(火)
時間:9:00〜17:00(入場は16:30まで)
入場料:600円(一般)/300円(大学生・高校生)/中学生以下無料
※団体料金(20名以上)480円(一般)/240円(大学生・高校生)
※身体障害者手帳、精神障害者保健福祉手帳又は療育手帳をご持参の方とその介護者は1名無料
※「川越きものの日」にちなみ、毎月8、18、28日に着物で来館された方は、団体料金を適用
主催:川越市立美術館
企画制作:花村えい子画業60周年記念巡回展実行委員会/有限会社エフ・エム・ジー
協賛:紋蔵庵
協力:埼玉県立川越女子高等学校同窓会、川越氷川神社、株式会社櫻井印刷所、株式会社龜屋、公益財団法人日本漫画家協会、株式会社ウイズアンドウイズ、ONO BRAND DESIGN、図書の家、学校法人専門学校 東洋美術学校、シヤチハタ株式会社、株式会社サクラクレパス、ebookjapan
※ 本展は「さいたま150周年プロジェクト」事業パートナーとして登録されています。
Twitter @eiko_hanamura60
Instagram @eiko_hanamura60
Facebook https://www.facebook.com/eikohanamura60
オフィシャルグッズストア https://eiko60goods.stores.jp/
展覧会特設サイト
花村えい子と漫画 - 画業60年のかわいい伝説
【花村えい子】1929-2020年
1959年、貸し本漫画『虹』(金竜出版社)に「紫の妖精」を描いてデビュー。
1964年『なかよし』(講談社)に「白い花につづく道」で雑誌へ登場後、あっという間に何誌も掛け持ちするような怒涛の漫画家生活が始まる。代表作のひとつ、1966〜67年に『週刊マーガレット』(集英社)に連載された「霧のなかの少女」は大きな反響を呼び、少女漫画の原作としては初めてテレビドラマ化された作品。
大きな瞳にキラキラの星、カラフルな髪の色、おしゃれなファッションと、今日世界の人に愛されている少女漫画のスタイルをいち早く描き、少女の心を捉えて離さなかった作品の数々は、少女漫画の歴史の中でも重要な位置を占めた。
当時は漫画だけでなく、雑誌の付録の着せ替えやぬりえ、ノートの表紙や文房具(色鉛筆や筆箱等)のキャラクターのイラストなどでも広く採用され話題となり、人気に拍車がかかる。

花村えい子 Eiko Hanamura
その後、少女漫画を愛読した読者が大人になっても読める“レディースコミック”の立ち上げに携わり、優れた文芸作品やミステリー小説の原作を漫画として表現、先駆者として新たな世界観を築く。古典を漫画にした「落窪物語」(中央公論社)や、江戸川乱歩、山村美紗、連城三紀彦、内田康夫など数多くのミステリー作品は好評を博し、現在でも重版やコミック誌への再掲載リクエストが絶えないなど、画力だけでなく、表現力、構成力に秀でた漫画家としても評価されている。
晩年は、「源氏物語」(小学館)の発表や絵本の挿絵、CDジャケットのイラスト、書籍の出版、ナレーションの出演、チャリティ作品や国内外への出展と数々の受賞、海外百貨店でのグッズフェア開催・トークイベント出演など、精力的に活動し続けた。