富野喜幸
富野由悠季、1941年生まれ。アニメ好きの間では知らない者はいないと言われるアニメ監督にして演出、脚本家です。そのキャリアは日本初の30分テレビアニメ「鉄腕アトム」の制作から続いていますので、生き神様のような存在ですね。
因みに、宮崎駿や りんたろう と同年だそうです。1941年はアニメ監督の当たり年だったんですねぇ。
長いキヤリアを誇る富野由悠季。当然多くの作品を残しています。

富野 喜幸(富野由悠季)
中でも富野喜幸(1982年より富野由悠季のペンネームを使うようになっています)名義で携わっていた「富野異色ロボットアニメ三部作」といわれる3作品は金字塔も金字塔。ファンには勿論のこと、同業者にも多大な影響を与え愛され続けています。
そうは言っても、アニメにあまり興味をお持ちでない方は「全く知らん」ですよね?しかし、それは勿体ない。是非知って頂きたい!ということで「富野異色ロボットアニメ三部作」ご紹介します。
無敵超人ザンボット3
富野喜幸は「皆殺しの富野」という異名を持つほど、作品の終盤になると主要な登場人物をバンバン死亡させることでも知られています。これは、子供たちに夢を与えるのがアニメとされていた当時としては、かなりタブーだったわけです。
富野異色ロボットアニメ三部作、最初の作品「無敵超人ザンボット3」もまさにそれです。「異色」の名に恥じません!主要な登場人物亡くなります。
また、サブキャラクターとはいえレギュラーが「人間爆弾」なるものの犠牲となっていきます。「人間爆弾」。もう、名前からしてコワイですよね。体内に時限爆弾を埋め込まれ、街中で爆発されるという恐ろしいものです。絶望的なのが爆弾を取り出す方法が無いってことなんですよ。

無敵超人ザンボット3
仲間たちが次々と死んでいくだけでなく、「無敵超人ザンボット3」には他にも地球の為に戦う主人公たちが一般市民から迫害される等なかなか辛い設定がなされています。
これは子供に見せるのは考えものかもですね。
物語は、主人公と謎の宇宙人「ガイゾック」との戦いが描かれるのですが、これがまた一筋縄ではいかないんです。
とまぁ、こんな感じなのですが、ツライ内容ですよね。
「無敵超人ザンボット3」は、サンライズのオリジナル作品第1作であり、名古屋テレビの制作です。
実は、富野異色ロボットアニメ三部作は、全てそうなんですよ。
無敵鋼人ダイターン3
三部作の2作品目。「無敵超人」の次は「無敵鋼人」です。どっちにしても「無敵」なんですが、確かに強いです。そう、「無敵鋼人ダイターン3」です。
前作の「無敵超人ザンボット3」がリアル路線かつシリアスで悲劇的な作品だったのに対し、「無敵鋼人ダイターン3」は番組名こそ似ていますが、内容は全く逆といっていい作品。コミカルなんです。ギャグだのコメディだのが満載といった塩梅です。

無敵鋼人ダイターン3
当時全国的に人気だったのが、「仮面ライダー」と「ビューティ・ペア」。ということでロボットアニメでありながらも「無敵鋼人ダイターン3」は、仮面ライダー的なアクションと女の子の二人組が活躍するTVアニメーションとして企画されたと言います。
そこに持ってきて映画「スター・ウォーズ」が世界的に大ヒットしたことで、その影響を大きく受けた作品にもなっているんです。
「無敵超人ザンボット3」は大ヒットし、「無敵鋼人ダイターン3」は更に大ヒットしました。結果、この2作品の成功よって次回作はクリエイター側に高い自由度をもたらしたと言われています。
そう、機は熟したというか、満を持してというのか、三部作の最後を飾る作品は最高の舞台を用意されて製作が開始されたのです。
機動戦士ガンダム
三作目は、説明不要の名作です。アニメファンでなくとも、その存在を知らない人は居ないのではないかと思われる「機動戦士ガンダム」です。
「機動戦士ガンダム」は、ロボットものとしては最初のジュブナイルアニメといわれています。ジュブナイルとは、子供と大人の間の世代という意味で、そう、ヤングアダルトの事です。つまり「機動戦士ガンダム」は、従来より対象年齢を引き上げた作品となっているのです。

機動戦士ガンダム
機動戦士ガンダム|作品紹介|サンライズ
富野異色ロボットアニメ三部作というものの、ご存じのように「ガンダム」はロボットではありません。モビルスーツと呼ばれる架空の兵器の分類のひとつです。スーツなんですね。
とはいえ、このスーツ (SUIT)は、サラリーマンがよく着ている一着買うと替えパンツが付いてくるといった例の服ではありません。"Space Utility Instruments Tactical"の略とされていて、「戦術汎用宇宙機器」というわけです。
ご存じのように「機動戦士ガンダム」は大ヒットし、日本中で大ブームとなります。要因は、リアル志向であるとか、作品のクオリティが高いとか、キャラクターが素晴らしいとか色々と分析されていますが、一説によると、これは「ガンダム」ブームではなく、「ガンプラ」ブームだったとも言われています。
なるほどぉ。言われてみれば確かにと思ったりしますね。
異色ロボットアニメ三部作のスポンサーには「超合金」で有名な玩具メーカーのクローバーがメインですし、「ガンプラ」においてはバンダイが頑張りましたね。
玩具メーカーにとってアニメは飯のタネであると同時に、アニメにとっても玩具メーカーなくしては成り立たないんですね。
今後も二人三脚で良い作品を作り続けて頂きたいものです。