アニメや特撮とのタイアップから生まれた「プロレスラー」動画を製作!!
本稿で特集する、アニメや特撮とのタイアップがきっかけとなり生まれた「プロレスラー」をこの機会に動画化してみました!
懐かしいプロレスラーの活躍を是非とも御覧ください!!
タイガーマスク
まずご紹介するのは「タイガーマスク」。これは1981年から1982年にかけて放送されたテレビアニメ「タイガーマスク二世」のタイアップ企画として登場した覆面レスラーであり、現在に至るまで初代~5代目と、中の人を入れ替えながら活躍を続けています。ここでは、特に人気の高い「初代タイガーマスク」及び「2代目タイガーマスク」について掘り下げてみましょう。

初代
1981年4月、蔵前国技館におけるダイナマイト・キッド戦で鮮烈なデビューを果たした「初代」タイガーマスク。その正体は「サトル・サヤマ」「サミー・リー」といったリングネームで当時海外で活躍していた佐山聡であり、新日本プロレスの熱心な誘いを受け帰国した佐山は、アニメから飛び出した現実のヒーロー「タイガーマスク」として、海外で培ったルチャリブレ(メキシコ式プロレス)を駆使した新時代のプロレスを披露。一躍人気レスラーの仲間入りを果たしました。

佐山の人気を後押しした要素のひとつとして、テレビ朝日のアナウンサーであった古舘伊知郎の実況があります。当時古舘が実況を担当していたプロレス番組「ワールドプロレスリング」にて、佐山のプレイスタイルについて「四次元殺法」「超立体殺法」といった言葉を多用したことで、巷では空前のタイガーマスクブームが起こり、前述のワールドプロレスリングは平均視聴率が20%を超え、小学生の間ではタイガーマスクごっこが流行しました。

プロレス全体の人気を牽引した「初代」タイガーマスクですが、その終わりは突然訪れました。1983年、漫画「タイガーマスク」の原作者・梶原一騎が逮捕される事件が発生し、その結果タイガーマスクの改名問題が浮上。そんな中、佐山は新日本プロレスとの契約解除を申し入れ、マスクを脱ぎその正体を明らかにすることとなりました。こうして、人気絶頂の中「初代」タイガーマスクは表舞台から姿を消すこととなったのです。

その後の佐山ですが、総合格闘技「シューティング(修斗)」の普及に携わる傍ら「初代タイガーマスク」と再び名乗っての現役復帰などプロレスを中心に活動を展開していたものの、2015年には狭心症と診断され、2020年8月現在パーキンソン病の疑いで歩行が困難な状況が続いています。現在はリハビリを続けているとのことで、一日も早い復帰が待たれています。
2代目
佐山がマスクを脱いだ翌年の1984年8月、今度は全日本プロレスで「2代目」タイガーマスクが登場しました。この2代目の正体は当時「カミカゼ・ミサワ」としてメキシコに遠征していた三沢光晴であり、ジャイアント馬場の命を受け、田園コロシアム大会でのラ・フィエラ戦でデビューを飾りました。

デビュー当初はジュニアヘビー級だった三沢ですが、1985年にはヘビー級へと転向。さらに翌1986年にはアメリカに遠征するなど、国内外で活躍の幅を広げていきました。しかしその一方で、「初代」が展開した空中技を多用する「四次元殺法」と、三沢が目指した「寝技のプロレス」との方向性の違いに苦しみ、故障により長期休養を余儀なくされた時期も。また、1988年に行った結婚の記者会見の席で「正体を明かす」という異例の行動を取り、しかもその後「2代目」としての活動を続行するなど覆面レスラーの前例に囚われない言動を展開しました。

そして1990年、三沢は「マスクマンが上を狙うのは限界がある」として、マスクを脱ぎ捨てリングネーム「三沢光晴」として再出発を切ることとなりました。その後の三沢ですが、1990年に川田利明、小橋健太らとともに「超世代軍」を結成、全日本プロレスの中心人物として活躍し「プロレス四天王」の一人として90年代のトップレスラーとして君臨しました。さらに1999年にジャイアント馬場が死去すると、その跡を継いで全日本プロレスの社長に就任。翌2000年に社長を解任された直後には「プロレスリング・ノア」を設立し、「ノアだけはガチ(ガチンコ勝負を行っている)」がネットスラングとして流行するなど存在感を示していました。

プロレスリング・ノアの社長、そして現役のプロレスラーとしてその後も活躍を続けた三沢ですが、2009年6月、広島で行われた試合中に受けたバックドロップが元で頭部を強打し、帰らぬ人となってしまいました。死因についてですが、バックドロップ自体は受け身が取れていたため、選手兼社長としての「過労」が遠因ではないかとも推測されています。晩年、「選手としては休んだらどうか」と言われた際に「地方にはタイガーマスクだった三沢、超世代軍で鶴田と戦っていた三沢を見に来てくれる客がいる(だから自分が試合に出ないわけにはいかない)」と語っていた三沢。自身の命をかけて「2代目」タイガーマスクとしての生涯を全うしたと言えるでしょう。
獣神サンダー・ライガー
次にご紹介するのは「獣神サンダー・ライガー」。アニメ「獣神ライガー」のタイアップ企画として1989年4月にデビューした覆面レスラーであり、その正体は山田恵一というのが公然の秘密であるものの、ギミック上ではあくまで「正体不明」ということになっていました。


派手な恰好で一躍プロレスファンの注目を浴びた獣神サンダー・ライガー。その経歴はアニメと連動しており、デビュー当初は「獣神ファイヤー・ライガー」と名乗っていたもののアニメの展開に合わせて翌1990年には「獣神サンダー・ライガー」へと改名するなどの変更が行われています。また、テレビ中継における実況が「山田がサンダー・ライガーの正体である」ことが前提として行われることが多々あり、「骨法炸裂!やはり山田か」といった発言が飛び出したりもしていました。さらに、試合中にマスクをはがされたこともあります。


そんなユニークな覆面レスラーである獣神サンダー・ライガーですが、好敵手として挙げられるのは初代タイガーマスクのライバル「虎ハンター」として知られる小林邦昭です。小林はサンダー・ライガーのデビュー戦で対決したほか、2000年に行われた自身の引退試合をサンダー・ライガーとの対決で締めくくるなど、サンダー・ライガーの象徴的な相手として印象に残る人物でした。
その独特なキャラクター性からメディア露出も多かった獣神サンダー・ライガー。近年ではバラエティ番組「水曜日のダウンタウン」に度々出演しており、「ライガー選手がロメロスペシャル『整体中にやられても気がつかない説』」では、ノリノリで技をかける様子が視聴者の笑いを誘っていました。長年にわたり覆面レスラーの代表格として君臨してきたサンダー・ライガーでしたが、2020年1月にはついに現役を引退。その直後の同年3月には、WWE殿堂入りが発表されています。
ウルトラマンロビン
円谷プロ唯一の公認レスラーとして著名な「ウルトラマンロビン」。ウルトラマンロビンとはイギリスに渡り活躍していたプロレスラー・尾内淳の変身後の姿であり、1990年に尾内が帰国後、円谷プロ公認覆面レスラー「ウルトラマンロビン」と名乗り、「1・2・3 ディスティニー!」の決めゼリフで観衆を沸かせ始めました。

ウルトラマンロビンという名称ですが、これには円谷プロから「使用条件」が付されており、「(出来るだけ)試合には絶対負けるな」「汚い試合や卑怯なことはするな」という縛りプレイを要求されています。また「ロビン」は、元々イギリスで活動していた尾内の経歴から来ており、「ロビン・フッド」が元ネタとのこと。

ウルトラマンロビンの試合には、円谷プロに関連する怪獣が登場するなどしていました。これについては、当初は怪獣の版権について許可を貰っていたものの、2012年の円谷プロの経営体制刷新により版権切れが発生。以降は版権絡みの怪獣などを登場させないことで、ウルトラマンロビンとしての活動を継続させることとなりました。また近年は、みちのくプロレスが毎年末に後楽園ホールで開催する興行「宇宙大戦争」へも参戦しています。さらに、そのビジュアルを活かして保育園で「ちびっこプロレス教室」を開催するなど、正義の味方としての社会貢献にも余念がありません。

「ブリザードYuki」
女子プロの世界でも、漫画とのタイアップから生まれたレスラーが存在します。それは1994年から1995年にかけて月刊少年エースで連載された漫画「ブリザードYuki」と同名のレスラー・ブリザードYukiで、その正体は170cmと長身で空手の経験もある長谷川咲恵でした。

長谷川が扮したブリザードYukiですが、1994年に対吉田万里子戦でデビューを飾ったものの、キャラクターレスラーという特殊な役どころが長谷川本人にとって負担となり、不本意な試合を続ける結果に。そんな長谷川へのテコ入れとしてライバル・ブラックブリザードを登場させるといった対応も取られたのですが、結局数試合をこなした後にブリザードYukiというキャラクターは封印、長谷川自身も引退することとなりました。その一方で、2002年には「2代目ブリザードYuki」として西尾美香が覆面レスラーとなったこともあります。

「ブリザードYuki」ですが、作品全体としてメディアミックスの戦略が取られており、漫画、実在の覆面レスラーの他にスーパーファミコンとコラボしたゲーム「美少女レスラー列伝 ブリザードYuki乱入!!」が1996年に発売されています。これはプロレスを題材としたキャラクター育成ゲームであり、アクション要素が少なく格闘ゲームが苦手な人でも楽しめる内容となっていました。

まとめ
以上、5人の覆面レスラーについてご紹介してきましたが、これ以外にも永井豪がデザインし映画化もされた覆面レスラー「兜王ビートル(正体は南条隼人)」や、仮面ライダーのようなマスクで活躍する覆面レスラー「ホッパーキング(現在はスーパーライダー、正体は渡部優一)」などがいます。著作権的にグレーなものが散見されるものの、きちんと使用許可を得ているケースが多く、例えば「ホッパーキング」については著作権者の東映から許可を得て試合に臨んでいます。

「ウルトラマン」「仮面ライダー」に代表される特撮や、正義のヒーローが活躍する漫画・アニメなどの作品は現在も根強い人気があり、今後もそれらとコラボした覆面レスラーが登場することが予想されます。令和の時代にどのような覆面レスラーが新たに誕生するのかにも、注目したいところですね!

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