ダライ粉が鍵?グリコ・森永事件の真犯人とされる『てっちゃん』とは?

ダライ粉が鍵?グリコ・森永事件の真犯人とされる『てっちゃん』とは?

1984年から1985年にかけて発生した、日本初の劇場型犯罪とも言われる「グリコ・森永事件」。その真犯人として『てっちゃん』なる人物がクローズアップされているのをご存じでしょうか?


『グリコ・森永事件』を題材にした動画を製作!!果たして”真相”は...?

冒頭、失礼します。この度、本稿で取り扱う『グリコ・森永事件』を動画化しました。
日本中を震撼させた、昭和を代表する一大ミステリー。風化させない、記録の意味合いも含め、微力ながら動画で発信していこうと考えております。

また、本稿でも登場する『てっちゃん』についても言及しています。
短時間の動画の中で、闇に埋もれてしまった”真相”に少しでも近づけるよう、あまり知られていない情報も盛り込んだ内容となっております。

少しでも多くの方にご覧いただければ幸いです。

1984年に始まった、かい人“21面相”による食品会社への脅迫事件。

1984年から1985年にかけて、日本中を震撼させた「グリコ・森永事件」。江崎グリコや森永製菓、丸大食品など、複数の食品企業が脅迫の対象となり、ターゲットとなった会社の製品がスーパーやコンビニから姿を消すなど、大きな社会問題となりました。犯人は「かい人“21面相”」を名乗り、大胆不敵な犯行を繰り返したことから、この事件は日本における劇場型犯罪の元祖と言われています。また、有名な「キツネ目の男」の似顔絵に見覚えのある方も多いかと思います。

実際に誘拐や毒物混入事件を起こす!

「かい人“21面相”」と名乗る人物から各社に送り付けられた脅迫状。関西弁を使用したどこかユーモラスな雰囲気の文章ではありましたが、その内実は凶悪な犯罪者でした。1984年3月18日には、江崎グリコの社長を実際に誘拐し、身代金として現金10億円などを要求。その1ヶ月後の4月10日にはグリコ本社の工務課試作室で放火が発生するなど、犯行はエスカレートしていきました。そしてグリコ、丸大の次にターゲットにされた森永製菓への脅迫に関連し、青酸ソーダ入りの森永ドロップが実際に発見されたことで、森永の製品は店頭から撤去せざるを得なくなり、数十億円とも言われる大損害を被ることとなります。

江崎グリコ社長の誘拐事件が発生した当時の新聞。

1985年に突如事件は収束、2000年に時効を迎える。

ユーモラスな一面を持ちつつも犯行内容は非常に凶悪、という特徴を持った「かい人“21面相”」でしたが、数億円の現金を要求したかと思えば、それを実際には受け取らず執着もしないという不可解な側面も持ち合わせており、その把握しづらい犯人像に警察は手を焼きました。そして犯人に繋がる有力な手掛かりをつかめないまま、1985年8月12日に「くいもんの 会社 いびるの もお やめや」という犯人からの収束宣言とも取れるメッセージを最後に犯行はストップ。以後15年にわたる捜査もむなしく、2000年2月12日に一連のすべての事件について公訴時効が成立することとなりました。

江崎グリコ社長誘拐事件に際しては、現金10億円に加え金塊100キロも要求しました。

犯行現場に現れた二人の男。

グリコ・森永事件においては、犯人グループの一味と推定される「二人の男」が存在します。一人目は事件の代名詞となっている「キツネ目の男」で、二人目は青酸ソーダ入りの菓子が置かれたコンビニの「防犯カメラに写っていた男」です。ここでは、この「二人の男」について見ていきましょう。

キツネ目の男

まずは「キツネ目の男」。キツネのような釣り目が特徴の男で、年齢は35歳~45歳くらい、身長は175cm~178cmと推定されています。捜査員の間で「F(FOXの頭文字)」の名で呼ばれたその男が初めて目撃されたのは1984年6月28日のことでした。グリコの次に脅迫を受け5000万円を要求された丸大食品の社員に成りすました捜査員が、現金受け渡し場所に指定された高槻駅~京都駅間に向かったところ、不審な動きをしている「F」を発見。尾行したものの途中で気づかれたためか、京都駅で行方をくらませました。当時、捜査方針として「現金授受の現場を押さえる」ことを最優先していたため捜査員が「F」に職質をすることが出来ず、その結果取り逃がしてしまうこととなりました。

次に「F」が目撃されたのは1984年11月14日。ハウス食品への脅迫で現金受け渡し場所に指定された名神高速道路大津サービスエリアにて、現金1億円を積んだ輸送車を凝視する不審な男が捜査員に目撃されました。その男は「F」に酷似しており、男を目撃した捜査員のうちの1人は丸大食品の事件の際も「F」を目撃していたため、この男は同一人物と断定されました。そして翌1985年1月には「F」の似顔絵が一般公開されることとなります。2000年の時効成立までの間、「F」についての情報は9000件以上寄せられましたが、決定打となる有力な情報は結局ありませんでした。

現金の受け渡し場所に指定された大津サービスエリアの現在。

ビデオの男

次に紹介するのは「ビデオの男」。この男は1984年9月に発生した森永製菓への脅迫に関し、青酸ソーダ入りの菓子が発見されたファミリーマート甲子園口店の防犯カメラに写っていた不審な人物であり、「ジャイアンツマークの野球帽」を被っているのが特徴。中肉中背で身長は170cm前後、年齢は20代~30代と推定されています。「キツネ目の男」と同一人物かどうかは不明なものの、体格や推定年齢は異なっており、別人の可能性が指摘されています。

当時は防犯カメラの性能が悪く普及もしていなかった時代であり、映像という観点から犯人に結び付く有力な情報を得るのが難しかったため、「ビデオの男」についても特定に至ることは叶いませんでした。「昭和の時代であったからこそ逃げきれた」と言えるでしょう。

かつての巨人の野球帽。

※画像はイメージです。

謎多きグリコ・森永事件…その犯人像は?

「劇場型犯罪」として日本社会を恐怖に陥れたグリコ・森永事件ですが、その犯人像として様々な説が挙げられました。ここでは、代表的な説をピックアップしてご紹介したいと思います。

元グリコ関係者説

まず挙げられるのは「元グリコ関係者説」です。これは「江崎社長を誘拐した際に、犯人が長女の名前を呼んでいた」「脅迫状で社長の運転手の名前を出していた」「グリコが10億円をすぐに用意できることを知っていた」など、グリコや江崎家の内情に関して犯人が異様に詳しいという点から指摘されているもので、犯人グループの中に内通者がいるのではと囁かれました。また1978年にもグリコに「製品に毒を入れる」という脅迫テープ(53年テープと呼ばれる)が送り付けられていたことから、グリコに怨恨を持つ関係者の存在が指摘されています。

株価操作説

グリコの「株価操作説」も指摘されています。これは1984年1月に700円台であったグリコの株価が、社長の誘拐事件・工場の放火事件を経て5月には600円を割ったことから指摘されているもので、事件を起こして株価を下落させ、さらに事件の収束宣言をして株価を上昇させることで莫大な利益を得た者がいるのではと囁かれました。この説に関連し、警察は「現金の要求はカモフラージュであり、本命は株価操作による利益誘導である」という可能性を踏まえ、事件に関連する企業の株を大量に売買した者がいないか捜査していました。

宮崎学説

また、個人として作家の宮崎学氏が疑われたこともあります。これは宮崎氏の容貌が「キツネ目の男」に似ていることや、アウトロー人脈との関わりがあったことなどから浮かび上がってきたとされる説で、重要参考人「M」としてマークされ警察の任意の事情聴取もあったとのこと。しかしながら、「キツネ目の男」が目撃された日時にアリバイが存在することや、「キツネ目の男」を2度目撃した捜査員が「宮崎犯人説は論外」と一蹴していることから、宮崎氏が犯人という線での捜査は打ち切られることとなりました。

なお、このエピソードは宮崎氏にとって武勇伝的な扱いとなっているようで、後年「突破者 戦後史の陰を駆け抜けた五十年」「グリコ・森永事件 最重要参考人M」などの著作を発表し、事件に対する見解を述べています。

真犯人と噂される『てっちゃん』とは一体誰なのか?

上述のように、様々な犯人像が浮かんでは消えていったグリコ・森永事件。結局犯人の特定は出来ないまま、2000年に一連の事件はすべて時効を迎えることとなりました。しかし、それから7年の歳月が経過した2007年、事件の真犯人としてある人物が急浮上してきました。それが今回ご紹介する「てっちゃん」です。

こちらが「てっちゃん」の姿。

事件当時40代であったという「てっちゃん」。当時の彼を知る者の証言によると、てっちゃんは事件に関与していることをほのめかす発言をしており、事件が話題となっていた当時「被害者に『ダライ粉』が付着したおそれがある」ことを心配していたそうです。これは、江崎グリコ社長誘拐の際に目隠しのため使用された袋が「てっちゃんの当時の仕事であった鉄粉の回収作業で使用していたもの」であり、袋の内部に残ったダライ粉(金属屑)が被害者に付着した可能性を危惧しての発言だったと言います。江崎社長の頭髪からは少量の金属屑が検出されたとの話もあり、当時警察は金属加工業者を当たっていたという証言もあります。

また「西友川西多田店でおもろいことが起こる」という発言も残しています。その数日後には、青酸ソーダ入りの菓子が「防犯ビデオの男」で有名なコンビニにばらまかれ、さらにその店以外に「西友川西多田店にも置かれる」事態が発生しました。この「西友川西多田店」は駅からも遠く地元民でないと足を運ばないような立地であり、土地勘がないとターゲットにしづらいという点で、青酸ソーダ入り菓子が置かれた他の店とは異質な事件現場でした。その場所に土地勘を持っていた「てっちゃん」のような人物が犯人である可能性が高いと言えるでしょう。

このように、犯行に関与している可能性が非常に高い「てっちゃん」ですが、1994年に神戸市で発生した「福徳銀行巨額強奪事件」の犯人としてマークされ、「ミイラ男」と呼ばれる実行犯として捜査対象となりました。そして1997年11月、警察の事情聴取を受けた「てっちゃん」は、その直後に謎の自殺を遂げることとなります。なお福徳銀行の事件についても、2002年に時効が成立し、未解決となりました。

上述の「てっちゃん」についての新証言を引き出したのは、朝日新聞(週刊朝日編集部)の森下香枝氏。2007年には、グリコ・森永事件についての新事実をノンフィクション「グリコ・森永事件『最終報告』 真犯人」として発表しています。「てっちゃん」についての詳細をさらに知りたい方は、こちらの書籍を読んでみることをオススメします。

グリコ・森永事件「最終報告」 真犯人 | 森下 香枝 |本 | 通販 | Amazon

まとめ

「てっちゃん」の死により、事件の真相への扉が再び閉ざされてしまったグリコ・森永事件。2016年には、事件をモチーフとした塩田武士によるサスペンス小説「罪の声」が発表され、2020年10月には小栗旬と星野源のW主演で実写映画が公開されています。事件発生から早36年が経過した今だからこそ、映画を通じて事件を振り返ってみても良いかもしれませんね。

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