ロベルト・ヘイロー時代に敢然と立ち向かった父内国産馬!  メジロブライト

ロベルト・ヘイロー時代に敢然と立ち向かった父内国産馬! メジロブライト

「ロベルト・ヘイロー系」種牡馬全盛の時代に抵抗し続けた「父内国産馬」メジロブライト。クラシック時代の勝ちきれなさ、G1の勝ち星ともに父に似たもどかしいものではあったが、その成績を超えた存在感もまた父譲りのものであった。


メジロブライト

父内国産馬として

種牡馬の時代背景

 日本の競走馬は、今でこそディープインパクト、キングカメハメハやステイゴールドといった日本競馬で活躍した馬が中心的な種牡馬となり、彼らの産駒が活躍しているが、当時は外国から輸入された種牡馬の産駒が大多数を占めていた。このため、JRAは国内における血統の発展を目的として、限定競走の設定など、「父内国産馬」と呼び、優遇してきたくらいである。
 メジロブライトの父は、メジロマックイーンなどと1990年代初めの日本競馬を盛り上げたメジロライアンであったため、メジロブライトは「父内国産馬」に該当した。

父メジロライアン

 父メジロライアンは、中央競馬クラシック三冠競走でいずれも期待されながら、3着、2着、3着と惜敗を続けた。どっしりとした重厚感のある走りでいつもいい走りをするが、同時期にメジロマックイーンという強敵もおり、G1は宝塚記念の1勝だけだった。しかし、その勝ちきれないもどかしさが逆に女性ファンの母性本能をくすぐり、成績で上回るメジロマックイーンよりも人気となった馬である。

競走生活

クラシック戦線は善戦どまり

 前述のとおり、「父内国産馬」は日本競馬の主流ではなかったとはいえ、デビュー戦はなんと6頭立ての6番人気の最低評価。この函館で行われた1800m戦は1000メートル通過が72.0秒と超スローペースで進み、メジロブライトは最後方を進む。直線ヨーイドンの競馬では前有利、最後方は圧倒的に不利な展開ながら、大外から一気に差し切り、能力の片りんを見せつけた。
 その後2着を続けた後、暮れのラジオたんぱ杯3歳ステークス、年明けの共同通信杯を豪快に差し切り連勝。これで一気にクラシック戦線の主役に躍り出た。
 しかし、クラシックレースは甘くなかった。皐月賞、ダービーは彼の特徴である強烈な末脚を繰り出すも、いずれも快速サニーブライアンが逃げ切りを果たし、4着、3着。最も期待された菊花賞もスローの上り勝負となり、マチカネフクキタルの強烈な末脚に屈して3着。奇しくも父メジロライアン同様にクラシックは「善戦」にとどまった。

ステイヤーとして開花

 クラシックを不完全燃焼で終えてむかえた暮れの重賞ステイヤーズステークス。それまでの主戦の松永幹夫騎手からベテラン河内騎手に乗り替わって再スタートの一戦だった。クラシックの主役を担った馬のため、ここでは圧倒的な1番人気。多くのファンが1着を予想していたものの、レースぶりは想像をはるかに上回るものだった。3000メートル以上を走り切った残り数百メートル。多くの馬は脚があがる中、メジロブライトの脚は勢いを増すばかり。直線を向いてどんどん後続を引き離して2着アドマイヤラピスに1.8秒の差をつける大差勝ちを見せた。もちろん、騎手河内の力もあったのだろうが、そのレースぶりは、長距離のタフなレースでこそ実力を発揮する「ステイヤー」としての才能が開花した瞬間であった。
 そこから年明けのAJCC、阪神大賞典と中長距離の重賞の連勝が続き、完全に「本格化」したメジロブライト。迎えた天皇賞(春)は、クラシックでともに戦った宿敵シルクジャスティスとの一騎打ちの様相であった。シルクジャスティスは前年の有馬記念を制しており、1番人気を譲ったが、メジロブライトは連勝中の勢いに加え、得意の長距離戦3200m。十分な余力を残して最後の直線を迎え、堂々と末脚勝負を制し、念願のG1制覇を果たした。

ロベルト・ヘイロー時代に最後まで抵抗し続けた「メジロ」

 天皇賞(春)の結果は、メジロブライトの時代の到来か、と感じさせるものであったが、そう簡単ではなかった。すでに日本のレースの中心は、スタミナよりスピード。スピード馬場でのスローからの末脚勝負が多く、メジロブライトには適したものではなかった。
 続く宝塚記念は、同期で急成長した快速馬サイレンススズカに屈し、暮れの有馬記念では1つ下の世代の怪物グラスワンダーの2着に破れた。サイレンススズカは父サンデーサイレンス、グラスワンダーは父シルヴァーホークと、いずれも「ロベルト系・ヘイロー系」の種牡馬を父に持っていた。この血統の特徴は、当時の日本競馬にマッチした直線の上がり勝負に対応できる鋭い末脚を持っており、父内国産馬のメジロブライトには持ち合わせていない部分であった。
 メジロブライトに残された舞台は長距離戦しかない。前年覇者として迎えた天皇賞(春)。しかし、ここには1つ下の世代のダービー馬スペシャルウイークと皐月賞・菊花賞の2冠馬セイウンスカイが参戦してきており、前年よりも厳しい戦いが予想された。
 淀の2回目の坂をくだってさぁ直線。逃げるセイウンスカイをなんとかとらえた。抜け出したのはスペシャルウイークとメジロブライト。2頭の激しいたたき合い。しかし、わずか届かず、勝ったのはサンデーサイレンス産駒のスペシャルウイークだった。メジロブライトの最も得意とするこの舞台で「ロベルト系・ヘイロー系」相手に必死に抵抗したが、2着がこの馬の限界だった。以後、前年のような輝きを見せることなくターフを去った。
 終わってみればG1が1勝だけというのも父と同じ。
 しかし、「ロベルト・ヘイロー系」種牡馬全盛の時代に抵抗し続けた「父内国産馬」の姿は、父同様に多くの競馬ファンの気持ちをつかんだに違いない。

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競馬 1998年

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