1997年ドラフト1位で新人王獲得!あの黒田博樹より凄かった広島東洋カープ投手 澤崎俊和

1997年ドラフト1位で新人王獲得!あの黒田博樹より凄かった広島東洋カープ投手 澤崎俊和

 元広島東洋カープの投手で、現在は同チームの投手コーチを務める澤崎俊和。ケガという悲運から、輝いた期間が短かったため、彼がドラフト1位として入団し、後にメジャーリーガーとして活躍することとなる同期入団黒田博樹よりも、その才能を期待されていたことを知っている人は多くないかもしれない。


澤崎俊和

現役時代

同期は名選手多数の中、ドラフト1位で入団

澤崎は、千葉県出身で、地元の志学館高校の野球部へ。投手として、2年生の秋にエースとなったが、3年生の夏は県大会の4回戦で敗退し、甲子園には行けなかった。その才能はプロの目に留まったが、本人はプロ入りを望まず青山学院大学に進学した。
青山学院大学で才能が開花した。東都大学リーグでは通算45試合に登板し、18勝9敗 防御率2.09。奪三振は204。最優秀投手に2回、ベストナインに2回選ばれた。4年生春のリーグ戦では最優秀選手と最優秀投手に選ばれ、日米大学野球の代表にも選出されるなど大活躍し、一気にプロの注目を集めることとなる。
 こうして1996年度ドラフト会議では各球団の注目が集まる中、広島東洋カープから1位指名(逆指名)を受けて入団を果たした。この年のカープのドラフト逆指名枠は1位が澤崎で2位があの黒田博樹だった。
 なお、今振り返ってみれば、1996年度ドラフトでは黒田以外にも名選手となった名前も見られ、豊作の年だったと言えるのではないだろうか。この年のドラフトで入団した主な選手を掲げてみたい。
 オリックス2位:谷佳知、巨人1位:入来祐作、巨人4位:鈴木尚広、日本ハム3位:小笠原道大、中日2位:森野将彦、西武2位:森慎二、西武4位:和田一浩、近鉄2位:大塚晶文、ヤクルト2位:岩村明憲、ロッテ4位:小林宏之、ロッテ5位:小坂誠、横浜1位:川村丈夫、ダイエー1位:井口資仁、ダイエー2位:松中信彦、阪神1位:今岡誠

新人王を獲得

 澤崎は、ストレートはもの凄く速いというわけではなかったが、内外角や高低を幅広く使える抜群のコントロールとスライダーを武器としており、その精密さは、カープで213勝を挙げたレジェンドを彷彿とさせることから「北別府2世」と呼ばれた。評価は、同期入団の黒田よりも明らかに高く、将来のエースとして期待されていた。
 その期待通りに1年目の1997年シーズンは12勝を挙げ、錚々たる同期たちの顔ぶれの中、セリーグの新人王を獲得した。なお、カープの投手で新人王を獲得したのは、1982年の津田恒美、1985年の川端順、1986年の長冨浩志、1995年の山内泰幸に続いて、5人目であった。澤崎の付けた背番号14は、同じく新人王を獲得し、炎のストッパーとして活躍しながらも脳腫瘍と闘って亡くなった津田恒美が付けていた番号であり、カープファン達には感慨深いものもあった。

ストッパーに転向、そして怪我、引退

 3年目の1999年シーズンには、達川新監督の下、ストッパーに転向する。背番号14の新たなストッパーは同じく14番を付けた炎のストッパーとは津田とは対照的に冷静な表情で間違いのないコントロールで試合を締めていった。この年、14セーブを挙げ、抑えとしてまずまずの成績を残したが、2000年、2001年と右肘を故障してしまう。
 故障から復帰した後、2003年、2004年は中継ぎで40試合近く登板したが、2005年に再度、故障に見舞われ、シーズン終了後、そのまま現役を引退することとなった。
 通算成績は、180試合に登板し、24勝17敗15セーブ。
 この現役時代10年間のチーム順位は、初年度の3位が最高で、あとは万年Bクラス。長いカープの暗黒時代を支えた一人と言っていいだろう。

引退後は投手コーチ。カープを支えている。

 引退した翌年2006年には投手コーチに就任した。
 初年度は三軍コーチだったが、2007年からは一軍投手コーチを担当。2009年からはまた三軍投手コーチに戻るが、2011年からは二軍投手コーチを担当した。
 澤崎の引退と同じ頃、同期2位入団の黒田がエースとして成長していった。黒田は、カープで絶対的エースとなった後、メジャーリーグではドジャース・ヤンキースでローテーション投手となるなど、日本球界を代表する投手にまで上り詰めた。晩年は20億円超というメジャーからのオファーを蹴ってまで古巣カープに復帰し、日米通算200勝を達成。2016年にはカープの25年ぶりのリーグ優勝を果たしてくれた。そんな黒田を、澤崎は「一番尊敬する投手」と称賛している。
 黒田の存在は精神的支柱となり明らかにカープを強くした。打の新井ととともに、欠かせないベテラン選手であった。しかし、カープの優勝は黒田や新井の力によるものだけではない。二軍のコーチとして、地道に投手を育て上げ、多くの若手投手を一軍の中心選手に引き上げた澤崎の力も大きかった。万年Bクラスをともに耐え忍んだ二人の同期にとって、まさに念願のリーグ優勝だったに違いない。

 2020年からは佐々岡新監督の下、一軍投手コーチに就任した。昨年度連覇が途絶え、特に中崎や今村といった連覇を支えた投手陣が苦しむ中、強いカープの再建という仕事が澤崎に託されている。

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