マルチに活躍された漫画家・夏目房之介さん

夏目房之介さんのプロフィール
夏目房之介さんの経歴
生い立ち
母親の夏目嘉米子さんはハーブ奏者で、明治・大正時代の珍品コレクターとして知られる三田平凡寺さんの末娘です。夏目房之介さんにとって祖父といえば、面識がない夏目漱石さんではなく、可愛がってくれた三田平凡寺さんなのだといいます。
教育熱心な母親・夏目嘉米子さんの意向で慶應義塾幼稚舎を受験しますが、失敗し、公立小学校に通った夏目房之介さん。当時から漫画を描くのが好きで没頭していたそうです。中学校から数々の著名人を生んだ私立の中高一貫校の青山学院に入学。高等部に在学中は美大に進学することも考えたそうですが、結局は、青山学院大学・文学部史学科に進学して中国史を専攻しました。
大学在学中は実家を出て、恋人と同棲生活を送っていたのだそうです。新宿や渋谷などのジャズ喫茶に通い、吉本隆明さん・大江健三郎さん・ドエストエフスキーさんなどの作品を愛読していたと言います。
イラストレーターとして
1973年、大学卒業後は同棲していた恋人と結婚。杉並区にあった出版社『エルム社』への就職も決まり、切手のことを専門的に扱った雑誌『週刊切手マガジン』の編集などに携わっています。
1978年に漫画家・ライターとして活躍していた、しとうきねおさんと共に著書『ひまつぶし哄笑読本』を刊行。この仕事を通じ、しとうきねおさんの持つパロディ精神から大きな影響を受けました。
このころ、夏目漱石さんの孫が漫画を描いているという話を聞きつけた『週刊朝日』から取材を受ける機会があり、その縁から『週刊朝日』のイラストも担当するようになります。1982年には『學問』と銘打ち、夏目房之介さんを中心とした漫画コラムの連載がスタート。この連載が夏目房之介さんの名前を世に知らしめ、漫画コラムニストとしての地位を確固たるものにしました。
1986年、TBS系列のクイズ番組『クイズダービー』の担当ディレクターが夏目房之介さんのファンだったこともあり、テレビ出演も果たしました。1988年にはNHK教育テレビの『土曜倶楽部』にレギュラー出演。番組内のコーナー『夏目房之介の講座』を担当すると、その後も、しばしばNHKの番組に出演するようになりました。
漫画家・漫画評論
1981年、朝日ソノラマが発行していた月刊誌『マンガ少年』にて、『スペースドリフターズ』の連載をスタート。しかし、掲載誌の休刊によって、連載5回で終了を余儀なくされます。1984年には恋愛をテーマにした短編漫画集『粋なトラブル』を出版して、漫画家としても功績を残しています。
夏目房之介さんの漫画評論は、従来のストーリーやテーマに着目したものとは一線を画し、コマ割りや描線を分析するといった手法を採用。漫画の表現方法を掘り下げ、その技法を明るみにした漫画評論は多くの漫画家や批評家にも影響を与えました。
その集大成といえるのが、1995年に発売され、夏目房之介さんが積極的に制作に携わった別冊宝島EX『マンガの読み方』です。さらに、1996年にはNHKの番組『NHK人間大学』においては、3ヵ月に渡るシリーズが組まれ、漫画の面白さや表現・文法の解説を担当されました。
夏目房之介さんの華麗なる親族
祖父や父親・母親のことは経歴でも触れましたが、その他の親族も著名な人物ばかり。そんな華麗なる親族についても、Wikipediaからの引用にて紹介させていただきます。
曹操たる顔ぶれに、改めて夏目漱石さんの血筋の凄さを実感しますよね。
夏目房之介さんの主な代表作品
文庫本
『ひまつぶし哄笑読本』
内容&あらすじ
『手塚治虫はどこにいる』
内容&あらすじ
『マンガはなぜ面白いのか―その表現と文法』
内容&あらすじ
ストーリーの面白さはもちろんのこと、描線、吹き出し、コマの構成や動きなど、マンガ家が考えだすアイディアの数々を紹介し、実は複雑な構造をもつマンガ表現を明快に解き明かす。
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『マンガと「戦争」』
内容&あらすじ
コミック
『ザ・パロディ』
内容&あらすじ
『鉄人28号』『仮面ライダー』など名作コンテンツを扱ったパロディ漫画集。
『粋なトラブル』
内容&あらすじ
BARボギーハウスの常連の恋愛模様を綴った連作を中心とした、「シティ感覚」の恋愛マンガ集です。
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最近の夏目房之介さんの活動ぶり
70歳の節目を超え、現在もまだまだ活躍している夏目房之介さん。SNSを積極的に使いこなし、Twitterも小まめに更新しています。
一日にいくつもツイートされており、積極的に自身の感性やおすすめ作品を発信していることに驚きが隠せないです。漫画家としては、新しい作品に挑戦しているといった様子は見られません。しかし、漫画コラムリストとしては、まだまだ私たちに新しい発見をもたらしてくれるのかもしれません。
これからの益々の活躍ぶりに期待して、記事を締め括りたいと思います。この機会にぜひ夏目房之介さんの漫画や著書をご覧になってみてください。