ファミコンで最も売れた麻雀ソフト!なぜ213万本というメガヒットを記録したのか

ファミコンで最も売れた麻雀ソフト!なぜ213万本というメガヒットを記録したのか

ファミコン初期時代に発売されたにも関わらず、国内の麻雀ゲームで最も売れた「麻雀」とはどんなゲームだったのか?売上本数やゲーム性、メガヒットの要因などを詳しく解説しながら振り返ります。


ファミコンソフト「麻雀」の概要

ファミコンソフト「麻雀」は、1983年に任天堂より発売された麻雀ゲームです。



任天堂がファミリーコンピュータを世に出したのが1983年なので、麻雀はまさにファミコン超初期に売り出された最も古いファミコンソフトの一つとなっています。



尚、ファミコン本体と同時発売されたソフトは



・ドンキーコング

・ドンキーコングJR.

・ポパイ



以上3タイトルで、いずれも1983年の7月15日に登場しています。



麻雀は、翌月にあたる1983年8月27日に「五目ならべ 連珠」と同時発売されているため、ソフトの発売時期としては国内で2番目に古い歴史を持つゲームにあたります。






ファミコン「麻雀」は国内で最も売上本数が多い麻雀ゲーム!

ファミコンソフトでは数々の麻雀ゲームが発売されましたが、初期時代に発売された任天堂の「麻雀」を超えるヒット作は現れませんでした。



一体どれだけ売れたのかというと、累計でその数なんと213万本!ダブルミリオンという快挙を成し遂げています。



比較として、ファミコン世代なら誰もが知る「ドラクエ」と「FF(ファイナルファンタジー)」の売上本数を例に挙げると



●ドラゴンクエスト⇒150万本

●FF3⇒140万本

●ドラゴンクエストⅡ⇒240万本



このように、FF3や初代ドラクエをも凌駕して大人気ソフト「ドラクエⅡ」に比肩する程となっています。

(※社会現象にもなったドラクエⅢや続編となるドラクエⅣは300万本越え)



ボードゲームとしてはメジャーではあるものの、ゲームジャンルとしてはニッチな麻雀があのドラクエよりも売れているわけですから、いかに多く売れたのかが判りますよね。

ファミコン「麻雀」のゲーム内容

200万本を超えるヒット作と聞けば、「どれほど面白いゲームなのだろう」とゲーム内容に興味が湧きます。



しかし、実は「麻雀」のゲーム内容は非常にシンプルで、良くも悪くも麻雀がファミコンで打てるだけのシンプルなゲーム性となっています。

ファミコン「麻雀」プレイ動画

ゲームルール詳細

ファミコンソフト「麻雀」のゲームルールを簡単に紹介すると



●持ち点は30,000点

●完全先付ルール(役牌などの後付けはチョンボになる・食いタンあり)

●対人戦は出来ない(コンピュータとの対戦のみ・一人用)

●通常の麻雀とは異なり2人打ち(通常は4人で行う)

●1ゲームは半荘だが、東場・南場共に3~4局が無いため実質東風戦

●プレイヤーが必ず起家(ゲーム開始時に親)

●箱割れ無し(点数が-でもゲームは終了しない)

●チョンボあり(初級のみチョンボが出来ないサポート機能付き)

※他、細かいルールは割愛



このようになっています。



麻雀に馴染みが無い方はピンと来ないかもしれませんが、要は普通の麻雀ルールと基本的にはほとんど変わらないという事です。



ゲームにありがちなプレイヤーが有利になるアイテムなど、ゲーム的な要素は無く純粋に麻雀を楽しめるシンプルなルールで進行していきます。

難易度の種類と違い

ファミコンソフト「麻雀」では、ゲーム開始時に以下の3種類から難易度を選択する事が出来ました。



・初級・・・チョンボ回避サポートあり。比較的甘い配牌となり手を進めやすい

・中級・・・チョンボあり(フリテンなど)。配牌がやや厳しい

・上級・・・チョンボに関するサポートは無し。配牌が厳しくなり12秒以内に打牌しなければならない



プレイヤーの実力に応じて段階的に遊ぶ事で、ゲームをしながら麻雀が上手くなるように配慮された設計ですね。

ファミコンソフト「麻雀」は何故213万本も売れたのか

前置きが長くなりましたが、ここからが本題です。



任天堂が発売した「麻雀」は、ここまでお伝えした通りゲームとして何か大きな特徴やオリジナリティは無く、非常にシンプルで悪い良い方をすれば【ありきたりな麻雀ゲーム】でした。



ゲームの面白さという点だけで見れば、間違いなく後発のファミコンソフトに劣るハズなのにどうして213万本もの売上を記録したのでしょうか。



ここからは、メガヒットを記録した「麻雀」が売上を伸ばした理由について考察して紹介していきます。

麻雀メガヒットの理由①任天堂の販売戦略

ゲーム業界をけん引し、現在も一流ゲーム会社として君臨している任天堂には、販売戦略にある一貫した共通理念があります。



それは【家族で】楽しめるゲームの開発・販売を目指している点で、本体の名称も【ファミリー】コンピュータとなっているのです。



現在のゲーム機(Switchなど)にも、その特徴は顕著に出ていて任天堂は昔から「ゲームは子供だけが楽しむものではない」というスタンスを貫いている事が判ります。



1983年にファミコンが登場した際も、ポパイやドンキーコングなど子供向けタイトルをリリースしていますが、すぐに大人向けに「麻雀」や「五目並べ」などのソフトを開発・販売しています。



ゲーム=子供への悪影響という概念を払拭するために、「ポパイの英語遊び」や「ドンキーコングJR.の算数遊び」など、ゲームを通じて学べるソフトを発売するなど家族みんなが楽しめるゲームを目指している事が伺えます。



この「大人も楽しめる」という販売戦略が刺さり、購買の決定権をもつ当時のお父さん達が子供へのプレゼントとしてファミコンを購入して、【自分用】に麻雀を手に取ったという図式が多く見受けられました。



どうせ買うなら自分も趣味の麻雀を・・というお父さん達の動きを見透かしたような任天堂の販売戦略が爆発的なヒットの裏側には隠されていたのです。


麻雀メガヒットの理由②喫茶店ブームの影響

1970年代~1980年代は、まさに喫茶店ブーム真っただ中でした。



皆様の中にも、喫茶店に入り浸りアーケードゲームに熱中したという思い出を持つ方は多いのではないでしょうか。



有名なインベーダーゲームを始め、当時の喫茶店では様々なゲーム機が置いてあり、コーヒーを飲みながら麻雀ゲームをプレイした大人が数多く居た事も売上が伸びた要因になっています。



喫茶店に設置されていた麻雀ゲームが、「2人打ち」だったこともあり本来4人で打つ麻雀が2人プレイでも違和感なく受け入れられたと考えられます。



喫茶店で小銭を大量に準備してプレイしていた大人からすると、自宅で好きなだけ麻雀が楽しめるソフトはさぞ魅力的に見えたことでしょう。

麻雀メガヒットの理由③1970年代に起きた麻雀ブーム



麻雀が213万本を売り上げた背景として、忘れてはいけないのが1970年頃から起きた麻雀ブームです。



1960年代に有名な麻雀小説「麻雀放浪記」が登場し、徐々に麻雀を楽しむ人が増え始めていました。



小島武夫氏らによる「麻雀新撰組」の設立や、それに伴うプロ雀士の登場で麻雀人気が高まり、麻雀雑誌が創刊されるなど1970年代はまさに社会的に麻雀が認知され熱狂した時代でした。



こうした時代を駆け抜けた世代が、ファミコンが登場する1980年代には家庭を持っていたり経済力も安定した購買層になっていた事になります。



当然、麻雀ファンだった彼らはファミコンという目新しさも手伝って次々とファミコンソフト「麻雀」を手に取った訳です。



1970年代から続いた麻雀ブームの後押しもあり、幅広い年齢層の麻雀ファンを取り込んだ事が「麻雀」のメガヒットを引き起こしたのです。

まとめ

ファミコンで最も売上本数が多かった麻雀ゲームとして君臨した任天堂の「麻雀」。



その売上記録の裏には、任天堂が父親層をターゲットにした戦略や喫茶店・麻雀がブームだったという社会情勢などが関係していたと考えられます。



その後、ファミコンのみならず様々なハードで麻雀ゲームが世に登場しますが、PCの普及などもあり売上をここまで伸ばす麻雀ゲームが登場する事はありませんでした。



以上、ファミコンソフト「麻雀」に関する情報をお届けしました。



最後までお読みいただきありがとうございました。

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