長友佑都  前進しか知らなかったアスリートが東日本大震災 から学んだ境地「心に余裕をもつこと」

長友佑都 前進しか知らなかったアスリートが東日本大震災 から学んだ境地「心に余裕をもつこと」

抜群のスピード、運動量、1対1で絶対に負けない強さを持ち、「僕から努力をとったら何も残らない 」と語る長友佑都は、インテルという超ビッグクラブに入った。人々は「シンデレラストーリー」と称えた。そしてイタリアで日本で大地震と津波が起きたことを知った長友佑都は、傷ついた人たちを勇気づけられたらと必死にプレーしたが、逆に彼らから人間の強さを学ばされた。その後、インテルでお辞儀パフォーマンスを定着させ、キャプテンにまでなった。


チャリティマッチの翌日、長友佑都はイタリアへ戻った。
そしてセリエAで首位を争っていたインテルとACミランが直接対決。
長友佑都はベンチスタートで出場機会がないまま、チームは0対3で敗れた。
続く欧州チャンピオンズリーグ(UCL)決勝トーナメント準々決勝、ホームで行われたシャルケ(ドイツ)戦で、長友佑都は途中から出場したが、インテルは2対5で大敗した。
長友佑都は、インテルに入ってから
「自分らしいプレーができない」
と悩んでいた。
これまでできていたプレーもできなくなっていた。
相手のプレスが速くなっていることもあったが、これまでみえていた場所がみえなくなり、視野が狭くなっていた。
世界一のクラブのプレッシャーは過去に経験したことのないものだった。
レベルの高いチームの中で練習から一瞬も気を抜くことができなかった。
足りない技術は居残り練習して磨いた。
壁を破ろうと思いつく限りの試行錯誤とトライを繰り返した。
それでも
「今のままでは上へはいけない」
という思いは消えなかった。
ACミラン戦、シャルケ戦という重要な連戦中も、数日滞在した日本のことを思い出された。
被災し家や家族、職を失い、未来に大きな不安を抱えながら懸命に生きようとする人をみて、その心が感じられた。
「まずは心があり、考え、行動する。
人は心で動いている。
大切なのは心なんだ」

またインテルにはサッカーで成功した人間が多くいたが、中でもハビエル・サネッティやサミュエル・エトーなどは、恵まれない子供や貧しい人たちを助けるためのボランティア活動を行っていた。
長友佑都は感心させられ、彼らが大きな結果を残せるのは、高い技術やフィジカルだけなく、素晴らしい心を持っていることが、その理由であると思った。
「彼らは自分のことだけを考えて生きているわけじゃない。
その心の余裕、大きさを痛感した。
だからブレないし、何があっても動じない」
これまで長友佑都は常に
「やってやる」
と熱意、集中力、無我夢中、強い思い、信念、努力、継続などをテーマに生きてきた。
しかしいくら頑張り、頑張り続けても、なにかあるとすぐに不安になったり、イライラしたり、カリカリしたりしてしまった。
つまり心に余裕がなかった。
「熱くなりすぎることで余裕がなくなり周りがみえなくなる」
自分が直面していた問題は、走力、1対1の強さ、フィジカルなどではなく、サッカー選手として、人間として乗り越えなければいけない精神的な壁であり、それを打開するには
「心に余裕を持つ」
ことと悟った長友佑都は、サッカーも練習も、日常の生活も、すべてに余裕を持つことを心がけた。
キエーボ戦で先発したときは、今までになかった心に余裕があった。
プレーにもその余裕が影響し、みえなかった場所がみえた。
視野が格段に広がっていた。
1つ1つのプレーに自信が宿り伸び伸びとやれた。
そしてインテルは2対1で勝った。
「いい仕事ができたという達成感より、壁を乗り越えるカギをみつけたという喜びがあった」

日本男児

欧州チャンピオンズリーグ(UCL)決勝トーナメント準々決勝、シャルケ(ドイツ)とのアウェイ戦がドイツのゲルゼンキルヘンで行われた。
インテルは1週間前のホーム戦で2対5で敗れたため、この試合で4点差以上の勝たなければならなかった。
長友佑都を先発で出場し、シャルケの内田篤人との日本人対決も注目された。
長友佑都は、エトーと共に左サイドで高いポジションをとって内田篤人のいる右サイドにプレッシャーをかけた。
内田篤人は基本的にエトーをマークし、とにかく自由にさせないように辛抱強く守りながら、流れや状況によって長友佑都にも対応した。
インテルのボール保持率は63%と攻め続けた。
シャルケは、相手にボールを持たれても引き過ぎないようにラインの高さを維持しゲームをコントロール。
そしてチャンスになるとシンプルなサイド攻撃から前線のフォワードに合わせた。
内田篤人もエトーと長友佑都を封じつつ機をみてスルスルと駆け上がりチャンスに絡んだ。
シャルケは効率よく2点を奪い、インテルはセットプレーからの1点のみで1対2で敗れた。
非常に難しいシチュエーションの中、長友佑都は両チーム最長の距離を走り、ガンガン攻めたが、決定的な仕事はできなかった。
内田篤人はゲーム終盤に左足を痛めたが、チームがすでに3枚の交代札を使っていたので最後まで戦った。
厳しい状況下でもへこたれず立ち向かうタフネス。
コツコツと努力を積み重ねる粘り強さ。
他人のために汗をかく献身的姿勢。
より向上したいと学ぶ勤勉さ。
そして何より他人をリスペクトする思いやりや優しさ。
2人は日本人の強さをヨーロッパにみせつけた。
長友佑都は、負けて悔しかったが悔いはなかった。
「心に余裕を持つこと」の重要性を認識した後は、どんなプッシャーも力に変えることができ、プレッシャーを楽しむことができた。
改めてセリエAや欧州チャンピオンズリーグ(UCL)をインテルのユニフォームを着て戦える幸せを感じた。
5月22日、セリエAのカターニア戦で、長友佑都は2得点目を挙げた。
イタリアのスポーツ紙:ガゼッタ・デッロ・スポルトは
「インテルに欠けていた闘争心に飢えている象徴的存在」
と評した。

6月6日、著書「日本男児」が、オリコン本ランキングでスポーツ選手としては初となる売上1位を獲得。
イタリア語に訳された「Un ragazzo giapponese」も出版された。
7月1日、当初はシーズン終了までのトレードレンタル移籍だったが、5年契約でインテルへ完全移籍。
12月10日のフィオレンティーナ戦、12月13日のジェノア戦で2試合連続ゴール。
12月18日、チェゼーナとのアウェー戦で、試合前にチェゼーナサポーターから「ユウト」コールが起こり、長友佑都はお辞儀で応えた。
12月21日、レッチェ戦では2アシスト。
ESPNSTAR.comは、「2011年度世界のディフェンダートップ5」で長友佑都をランクインさせた。
2011~2012年シーズン、インテルは2度監督を交代した。
交代当初は起用されないこともあった。
しかし最終的に長友佑都はレギュラーを獲得した。
「とてもシンプル。
夢を持叶えるためにトレーニング、努力ができるかだけ」
「技術やフィジカル、戦術眼、さまざまなものが求められるが、1番大切なのはメンタル。
ブレない信念、確固たる自信、大きな心」
(長友佑都)

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