詩人の血について
詩人の血は1986年、岡山県で結成されたバンドです。
ちょっとおどろおどろしさを感じるバンド名は、フランスの芸術家ジャン・コクトーの短編
映画「詩人の血(原題: Le Sang d'un poète)から取りました。
メンバーはボーカルの辻睦詞(ものすごいロン毛のおじさん)、ギターの渡辺善太郎(通称・
善ちゃん)に途中から加入したキーボードの中武敬文の 3 人です。
1989 年シングル「青空ドライブ」とアルバム「What if・・・」の同時リリースでメジャーデビュー。
80年代末期~90年代前半といえばフリッパーズ・ギターやピチカート・ファイブなど
「渋谷系」がちょっとしたブームを起こしていました。
彼らは80年代のニューウェーブ、アコースティックなギターポップや60年代のポップス、はたまた古いフランスの映画の音楽 etc…から影響を受け、自分達のオシャレなポップスを作り上げました。
前述したバンド名の由来から見ても分かるように、「詩人の血」も打ち込みをベースにアコースティック系の音楽や当時のダンスミュージックを取り入れたオシャレなポップスで、その上に「渋谷系」のバンドにはあまりなかった文学的な歌詞、変態チックな PV などの特色を出してきました。
しかしそういったアクの強さが受け入れらなかったのか、ルックスがイマイチだったのか(失礼)「渋谷系」の枠に入れてもらえず、特にヒットした曲もなく 1994 年に解散。
今回は詩人の血の名曲を振り返り、フリッパーズ・ギターやピチカート・ファイブに匹敵す
るバンドであった事を声高に主張していきたいと思います。
曲紹介
D ay by Day
「W hat if 」収録。
キーボードを中心とした美しいバラード調の曲ですが、意味深な英語詞から始まり、サビの日本語詞も「彼に名前を付けたのは何故?」という謎めいた雰囲気を醸し出しています。
PV も謎ですね。
バレンタイン
「W hat if 」 収録。
アルバムの中では明るくキャッチ―ですが、A メロの最後のリズミカルな歌いまわしが独
特。…あまりバレンタインの曲っぽくありませんよね(苦笑)
ドイツク
アルバム「とうめい」収録。
ハウスのリズムに合わせて「ギャンブルに狂った男」を岡山弁で歌い上げるという曲です。
その岡山弁の響きと歌詞の意味にひたすら圧倒されますよね。
上記の曲の様に「とうめい」は前作の延長路線にハウスなどのダンスミュージックを取り入れたサウンドになっており、この路線は次作「 c ello phone 」でさらに押し進められます。
きれいだネ
「とうめい」収録。
「美人だけど話ものすごくバカっぽい」という歌詞を爽やかなメロディで歌い上げる「これはちょっと…」ってなるような曲です。
ポリティカル・コネクトレスが進んだ今なら余計に…
愛で遊んでる
アルバム「c ello phone 」収録。
「メイキンラブ~」というC M ソング みたい なサビから始まる、 ソングライティングのセンスがずば抜けてもそれを素直に出さない 彼らにしては親しみやすいナンバー。
あまりにもストレートな曲なので「タイアップが欲しかったのかな?」と勘繰りたくなります。
結局それっぽいタイアップはありませんでしたが…
春のまま
アルバム「花と夢」(少女漫画じゃないよ)収録。
「青空ドライブ」と同様アコースティック路線で、タイトル通り春のウキウキとした空気を感じさせる曲ですね。
「花と夢」は前2作のモダンな打ち込み路線を経て、ストリングスの導入など生楽器の比率が上がり、割と毒っ気のあるスタイルからポエミーでノベルティックな感じになりました。
この生楽器を中心としたスタイルは次作にも引き継がれました。
恋はいつか
「ウチらだってピチカートやフリッパーズみたいな曲や小野リサみたいなオシャレなボサノバができるんだぞ!」と思ったかどうかは知りませんが 笑 、実質的なラストアルバム 「 i love 'LOVE GENERATION' 」 はストレートに渋谷系を意識した作風になりました。
で、そのアルバムに収録された曲なのですが小物雑貨店の BGM に流れていそうな位今ま
で以上にオシャレというか…
ここまで来ると「オリジナル・ラブ」みたいって思いますね笑 。
この曲はビオレとのC M タイアップも取れました。
ファンだけではなくメンバーも関係者も「やっとか!」と思ったのではないでしょうか。(笑)
解散後辻と渡辺はO h! Penelope を結成しましたが音楽性はこのアルバムの延長線上にあり
ます。
いかがでしたか。
詩人の血は他にも「シャララダ・シャララダ」や「アゲハ」「Why do I do so? 」等々今回紹介しきれなかった曲 に も魅力があります。現在o h!Penelope のアルバム含め i tunes や s potfiy で配信されていますので よろしければ是非聴いてみてください。