わたしとわたし ふたりのロッテについて
1991年11月9日から1992年9月5日まで放送されていたテレビアニメで「三井不動産アニメワールド」最後の作品です。
原作は1949年に発表されたドイツ人作家エーリッヒ・ケストナーの小説「ふたりのロッテ(Das doppelte Lottchen)」。
夏休みの7月から二人の誕生日の10月までのストーリーで全29話です。
物語はオーストリアのゼービュール村にある「子どもの家」からはじまります。
毎年夏休みを「子どもの家」で過ごすウイーンの少女ルイーゼ・パルフィーは、同じく夏休みを過ごすためにミュンヘンからきたロッテ・ケルナーと出会います。
はじめて顔を合わせ、戸惑う二人。
それもそのはず、自分とそっくりな女の子が目の前にいるのです。
ルイーゼは気が強くてお転婆な女の子。
ロッテは穏やかで優しい女の子。
性格はまったく対照的な二人でしたが、思いやりがって芯が強いところはそっくりでした。
最初はロッテに敵意を向けていたルイーゼでしたが、やがて心を開いていきます。
ウイーンとミュンヘンでそれぞれ別々に育った二人ですが、共通点も多くありました。
ルイーゼにはお父さんしか、ロッテにはお母さんしかいません。
すっかり仲良くなった二人は、友達や先生をだまそうといたずらを思いつきます。
同じ髪形に同じエプロンをつけて並ぶと誰も見分けがつきませんでした。
いたずらは大成功。
思い出を残すために同じ格好で写真を撮りにいきます。
その帰り道、お互い生まれた場所も誕生日も同じだと知るのです。
二人は自分たちは別れ別れになった双子だと確信しました。
お父さんってどんな人?
お母さんに会ってみたい。
二人はお父さんのこと、お母さんのこと、住んでいる環境、たくさんの事を話しました。
そしてある計画を思いつくのです。
入れ替わって相手の家に帰る。
誰にも知られてはいけない、秘密の計画。
一緒に撮った写真は夜の湖へ捨てました。
この秘密は絶対に知られてはいけないのです。
次の日から夏休みが終わって帰る日になるまでの間、ロッテとルイーゼは上手に入れ替わるため、お互いの情報を共有しました。
まじめで勉強ができ、お料理も得意。
でも運動は苦手なロッテ。
明るくて勉強やお料理は苦手。
でも運動神経抜群のルイーゼ。
髪形や服、何もかもを入れ替えて。
遠く離れたウイーンとミュンヘンで、少女たちの秘密の大冒険がはじまるのでした。
主題歌について
オープニングエンディング共に、当時絶対的な人気でトップアイドルだったWink。
大人っぽいメロディーと歌詞で、子供向けアニメの主題歌とは思えないほどインパクトがありました。
オープニングテーマ「イマージュな関係」
作詞 - 及川眠子 / 作曲 - 松本俊明 / 編曲 - 門倉聡 / 歌 - Wink
エンディングテーマ「追憶のヒロイン」
作詞 - 及川眠子 / 作曲 - 門倉有希 / 編曲 - 門倉聡 / 歌 - Wink
主な登場人物

ロッテ・ケルナー
ミュンヘン育ち。
双子の妹で母親と二人で暮らしている。
真面目でしっかり者、三つ編みとエプロンがトレードマーク。
働いて帰りの遅い母親の代わりに家事全般をこなし、「小さな主婦さん」と呼ばれている。
寂しがりやな一面があり、「こどもの家」に母親の写真をもってきていた。
料理が好きで、ピアノや勉強も得意。
苦手なものは、オムレツと運動と高い所。
ルイーゼ・パルフィー
ウイーン育ち。
双子の姉で父親と二人暮らしだが、家事や世話は家政婦のレージがやってくれる。
明るくお転婆でいたずら好き。
また短気で口より先に出がでてしまうことも。
繊細で傷つきやすい一面もある。
料理や勉強が嫌いで、父親が音楽家であるにも関わらずピアノも苦手。
運動や高い所が得意。
ルートヴィッヒ・パルフィー
ロッテとルイーゼの父親で有名な音楽家。
温厚な性格で普段は優しく、娘のルイーゼを溺愛している。
一度怒ると冷静になるまで時間が必要で、演奏会を中止したこともあるほどだ。
ルイーゼロッテ・ケルナー
ロッテとルイーゼの母親で新聞記者。
穏やかで優しい性格だが、仕事となると厳しく真面目で手を抜かない。
そのため帰りが遅くなったり、ロッテに寂しい思いをさせてしまう。
ロッテをとても大事に思っており、いつも気にかけている。
レージ
パルフィー家の家政婦。
ルイーゼ曰はく、「嘘つきで意地汚い」
ただ、心根は優しく家事もそれなりにこなしている。
ペペール
パルフィー家の愛犬。
ロッテとルイーゼが入れ替わっていることに最初に気づいた。
トルーデ
ルイーゼの友人。
茶髪で三つ編みと赤いリボンが特徴。
ロッテとルイーゼの入れ替わりを疑うが、ある事件で疑いがはれる。
クリスチーネ
ルイーゼの友人。
金髪にピンクのリボンが特徴。
思ったことをはっきり言う性格で、ルイーゼと気があう。
トラブルメーカーな一面も。
シュテイフィー
ルイーゼの友人。
ぽっちゃりした体型で運動が苦手。
争いを好まず、ルイーゼがロッテを嫌っていた時にも、ロッテに酷いことをしないように諭していた。
ハンス
ロッテの友人。
明るく優しい性格で、ロッテの味方。
ウイーンで大道芸人として旅をしている。
ピアニストになりたかったが貧しい家庭で叶わなかった。
ロッテとルイーゼの父親で音楽家のパルフィー氏を尊敬している。
イルゼ・メルク
ロッテの友人。
アンニーにいじめられている。
ニーナ
ロッテの友人。
「こどもの家」に行くバスの中で仲良くなった。
正義感がとても強く、曲がったことが大嫌い。
アンニー・ハーバーゼッツァー
ロッテのクラスメイト。
いつもマリアとミリアを従えている。
お金持ちの父親に甘やかされており、わがまま。
イレーネ・ゲルラハ
パルフィー氏が婚約した女性。
パルフィー氏がルイーゼを溺愛していることに嫉妬し、再婚後はルイーゼを家から追い出すつもりだった。
結果的には再婚せず、パルフィー氏と別れた。
ドクトル・ベルナウ
ロッテとルイーゼの母親ケルナー夫人が働く新聞社の編集長。
仕事のことでケルナー夫人とはよく言い争いをしているが、彼女に恋愛感情を抱いており、とても大切に想っていた。
気さくな性格で、ロッテとルイーゼから慕われている。
わたしとわたし ふたりのロッテの魅力
この作品以前にも双子が主人公のアニメ作品はありました。
性格が正反対なのはお約束、ちょっとした事件やわくわくする冒険、双子というだけで話題は豊富です。
「わたしとわたし ふたりのロッテ」の魅力はこれまでにない展開、先が見えない面白さにあります。
双子とは一緒に生まれ育つのが当たり前、一番の親友のようにお互い何でも知っている。
そういう作品が多いと思いますが、この作品は最初から違いました。
離れ離れに育った双子の姉妹、お互いの存在も知りません。
出会ってからしばらく双子であることを知らずに過ごす場面も新鮮です。
その後の展開は誰も予想していないものでした。
違う環境で過ごしていた少女達が入れ替わって生活するというのです。
会ったことないもう片方の親や友人、知らない家での生活、普通は入れ替わろうなんて思わないと思います。
だからこそ視聴者は期待に胸を膨らませました。
入れ替わったてからも冒険や事件が次々と、飽きる暇がありません。
何かおかしいと思いつつ疑わない両親。
原作が海外の作品なので愛情表現もストレートで大人になってからみると優しい気持ちになれます。
最近こういった作品は少ないですね。