『はじめの一歩』とは?
はじめの一歩
幕ノ内一歩VS真田一樹
圧倒的な強さを誇ったチャンピオン・千堂から日本タイトルを奪った一歩でしたが、その直後にチャンピオンカーニバルが開催され、チャンピオンは最強の挑戦者を迎え撃たねばなりません。
一歩は日本タイトルの初防衛戦として、一位にランキングされたばかりの真田との試合が決まるのでした。
そして、今回の試合では、一歩と真田の対決という要素の他にも、お互いのトレーナーである鴨川会長と浜団吉の愛弟子対決といった意味合いを持っていました。両者はボクサーとして現役で活躍していたころからのライバル同士で、愛弟子たちの試合を通じて、昔からの因縁に決着をつけたいと考えていました。
幕ノ内一歩
千堂を倒して念願の日本タイトルを手に入れた一歩でしたが、王座に着いたばかりのため、精神的にも成熟したチャンピオンとは言えません。実力で勝ち取った日本タイトルではありますが、チャンピオンとしての自覚は薄いです。
一歩の強さとは
得意なパンチは、リバーブロー・ガゼルパンチ・デンプシーロール。そして、これまでの数々の激戦で見せてきた『勇気』こそ、幕ノ内一歩の最強の武器といえるでしょう。
敗戦も経験して、ボクシングが好きというだけではなく、「負けたくない」という勝負へのこだわりも持つようになりました。
試合にかける意気込み
試合前日までは日本チャンピオンとしてリングに上がることに対してプレッシャーを感じていませんでした。しかし、釣り船『幕ノ内』の常連客の応援を受け、ファンや周囲からの期待に応えなければならないという気持ちが強くなり、試合当日には一気に重圧を感じて、初防衛を白星で飾ることを強く意識するようになりました。
真田一樹
現役プロボクサーながら、医学生としての顔も持つ特異な存在です。過去にはジュニアフェザー級の日本チャンピオンになったほどの逸材。自分の強さを試したくて、更なる強敵を求め、日本タイトルを返上してまでも上の階級に挑戦することを決めました。
飛燕
真田のトレーナーである浜団吉に授けられたテクニックで、通常はパンチを放つと、拳を元の位置に戻してから次のパンチを打つ動作に映りますが、飛燕は元の位置まで拳を戻さずに手首のスナップを利かせて打つパンチとなります。左の連打を前提としたテクニックで、ジャブやストレートからフック・アッパーにつなげるといったように多彩なバリエーションをもつことも特徴といえるでしょう。
2羽目の燕
正式名称は燕返し。飛燕は牽制しながらダメージを与える特性があるのに比べ、こちらのパンチは対戦相手の意識を絶つブローとなります。一見するとダブルの右アッパーですが、二発目のアッパーは拳の向きを変えてブロックにねじ込むように打ちます。
ボクシングのグローブは横は約17cm・縦は約10cmとなっており、拳の向きを変えることで、対戦相手のブロックをすり抜けてしまうパンチです。
日本タイトル・初防衛戦
試合直前、鴨川会長はガチガチに入れ込んでいた一歩に、試合のリズムを掴むため、真田の一発目のパンチをかわすように指示を出します。そして、試合開始のゴングが鳴ると、一歩は鴨川会長の指示通りに真田のパンチをかわすことを意識して、さらに固くなってしまいます。
真田は初っ端からジャブで牽制することはせず、右ストレートを打ちました。意表をつかれた一歩はパンチをかわせず貰ってしまいます。真田は一歩が初防衛戦で固くなっていたことを見抜いていて、思い切り大砲を打ち込んできたのです。その後も真田は連打を叩き込んできますが、一歩の動きを医学的見地から察して、反撃してくることを見切って深追いするようなせず、軽々と一歩のアッパーをかわしてみせるのでした。
飛燕に苦戦する一歩
第2ラウンドに突入すると、一歩は得意のデンプシーロールを繰り出し、真田優勢の流れを変えようとします。しかし、真田は一歩が戦った日本タイトルマッチを研究しており、対戦相手の千堂がみせたデンプシーロール対策と同じように、体当たりするように一歩に突っ込むことでデンプシーロールを技に入る前に止めてしまうのでした。
そして、真田は一歩にペースを掴ませないため、飛燕で攻勢に出て、一歩は真田の多彩なパンチをブロックするだけになっていきます。
いよいよリングに2羽目の燕が舞う
しかし、これで真田は一歩を仕留め切ることはできず、二度目の燕返しを繰り出すことになります。二度の直撃を受けてしまった一歩は堪えきれずにとうとうダウン。真田は一歩の頭部を縦に揺すったパンチの手応えから勝利を確信するのでした。
ところが一歩はセコンドの鴨川会長の声に反応して、意識は朦朧としながらもダウンから立ち上がってみせました。ここで第2ラウンドが終了して、一歩は辛うじて生き延びることができました。
1分間のインターバルで、鴨川会長は真田の燕返しを破るための攻略法を伝え、第3ラウンドに突入するのですが、一歩はまだ意識がハッキリとしていませんでした。そして、真田は出し惜しみをせず、三度目となる燕返しを仕掛けてきて、今度こそ一歩を仕留めようとします。
絶体絶命のピンチを迎えた一歩ですが、間一髪のところでピーカーブーからクロスアームブロックに切り替え、ガードをすり抜けるはずの真田のダブルアッパーを見事に止めてみせるのでした。
いよいよ一歩の反撃
真田は飛燕・燕返しといったテクニックが一歩に通用しなくなり、圧倒的に不利な展開を迎えますが、第3ラウンド終了後のインターバルで、浜団吉は真田に形勢を逆転するための策を伝えます。
第4ラウンドは超接近戦の展開となりましたが、真田は一歩のパンチの内側に入り込んでボディーの急所を的確に叩きます。この攻撃は医学に携わる真田ならではといえるもので、一歩の動きは真田のボディー攻めでみるみる勢いを失っていきました。
第4ラウンド終了間際には、一歩は立っているだけでも必死といったところまで追い詰められました。
玉砕覚悟の特攻
しかし、燃え尽きる前のろうそくである一歩を前に、真田は冷静さを保って、ボディーに強烈な一撃を入れます。これまでボディーを攻められ、体力を失った一歩にとって致命的な攻撃でしたが、歯を食いしばって精神力で踏ん張ってみませます。
そして、一歩は僅かに残された体力の全てをつぎ込み、もっとも破壊力のある技・デンプシーロールを仕掛けて最後の勝負に出ます。これを読んでいた真田は、序盤で見せた展開と同じように体ごと一歩にぶつかっていって、デンプシーロールは始まる前に技を止めようとするのでした。ところが、真田のボディーには一歩の右拳が深々と突き刺さり、真田の体をくの字に曲げます。一歩も真田がデンプシーロールを止めにくることを予想して、咄嗟にリバーブローに切り替えたのです。さらに、一歩の攻撃は続いて、ガゼルパンチで真田の顔面を跳ね上げます。
これは日本タイトルマッチで見せた一歩のフィニッシュパターンで、ここから一歩はデンプシーロールで連打をかけます。しかし、強打のパンチをもらい続ける真田は、ボクサーとしての意地で耐え続け、とうとう残りの僅かな体力だった一歩の攻撃が止まってしまうのでした。
しかし、一歩のデンプシーロールを最後まで耐えきった真田は、そこで満足してしまい、反撃しようと拳を突き出しますが、そのままリングに崩れ落ちてしまいます。
レフリーは真田の様子をみて続行不能と判断。こうして一歩は日本チャンピオンとして、見事に初防衛を成功させました。
幕ノ内一歩VS真田一樹 戦のまとめ
一歩の対戦相手だった真田は医学生ということもあって、クールさを強みにしたボクサーだったと思います。物怖じせず一歩の破壊力に立ち向かっていった姿は、対戦相手ながら心に響くものがあります。
そして、デンプシーロールに耐えきった真田が見せた強さは、それまでの真田らしいものではなく、ボクサーや男としての意地が感じられて、そのギャップが強く印象に残ります。
下の階級では日本タイトルを獲得して、一歩をここまで追い詰めたという実績を考えれば、凄い才能をもったボクサーのはずですが、潔く引退して医学の道に進んでいく決断をしたという結末も格好良いです。
ぜひこの機会に『はじめの一歩』一歩VS真田戦を見て、熱い気持ちになってくださいね。