その血統は地味でも負けない世紀末覇王・テイエムオペラオー

その血統は地味でも負けない世紀末覇王・テイエムオペラオー

テイエムオペラオー。競馬歴の長いファンの方は当然ご存知でしょう。2000年には年間無敗記録を達成し、無類の強さを誇った名馬です。2017年、アメリカのアロゲートに抜かれるまで獲得賞金の世界記録を保持していました。しかしながらその血統は地味でここまで活躍するとは誰も想像していませんでした。今回はテイエムオペラオーをご紹介します。


購入価格はわずか1000万円

競馬はブラッドスポーツだと言われることがありますが、競走馬はその血統を大変重要視されます。セリ市においても血統の良い馬は1億や2億、中には5億を超えるような高値で取引きされるこがあります。もちろん馬体の良さなど他にも重要な要素はありますが、サラブレッドにとって血統はとても重要です。

しかしながら血統が良く高値で取引きされた馬が必ずしも名馬になるとは限りません。まあそこが競馬の面白いところでもあります。血統が地味でも名馬と呼ばれる馬はいます。今回ご紹介するテイエムオペラオーはまさにそんな名馬の中の1頭です。

テイエムオペラオーは父・オペラハウス、母・ワンスウエドとの間に産まれた栗毛の牡馬です。1996年3月13日に北海道浦河町の杵臼牧場で誕生し、1997年10月静内で行われたセリ市に出されます。兄弟馬の勝ち上がり率こそ高かったものの特に目立った活躍馬はおらず、血統も地味だったため、セリ市ではスタート価格の1000万円で購入されました。

地味なスタートからまさかの皐月賞制覇

テイエムの冠名で知られる馬主の竹園正継にわずか1000万円という価格で落札されたテイエムオペラオーは、栗東の岩元市三厩舎に入厩します。デビューは1998年8月15日の京都競馬場、芝1600mのレースでした。鞍上は引退までの全レースで手綱を取ることになる和田竜二。1番人気で臨んだレースでしたが、勝馬から6馬身離された2着。

骨折により2歳シーズンを休養に充て勝ち上がったのは3戦目でした。2月の京都競馬場・ダート1800m。単勝1.8倍の1番人気に支持され、2着馬に5馬身差を付けての快勝。しかしまさかオペラオーがここから4連勝で皐月賞を制するとは誰も想像していませんでした。

惜敗続きでオーナー激怒

未勝利戦からの4連勝で皐月賞を制したテイエムオペラオー。しかしこの後なかなか勝ち切ることができません。皐月賞後に臨んだ大一番、日本ダービーではナリタトップロード・アドマイヤベガと並んで3強と呼ばれますが、人気も3番目で2頭の後塵を拝し3着に敗れます。

秋の始動戦に選んだ京都大賞典も3着と惜敗して臨んだ菊花賞。ダービー馬・アドマイヤベガに次ぐ2番人気でレースを迎えます。レースは最後の直線で猛烈に追い込むも3番人気のナリタトップロードをクビ差捉え切れず2着に惜敗。3冠レースを3強と呼ばれた馬たちが1冠づつ分け合う形になりました。

悔しいレースが続き、菊花賞後にオーナーである竹園の怒りが爆発。騎手を代えろと調教師の岩元に迫ります。しかし、岩元は弟子の和田竜二を何とか一人前の騎手に育てたいという強い思いからこれを拒否。「どうしても乗り替わりというなら転厩してもらうしかない」と言い切り竹園を説得します。幼馴染みでもあった岩元の説得に折れた竹園は渋々和田竜二の続投を了承。コンビ継続となったのです。

快進撃開始

コンビ継続が決まったものの、続くステイヤーズステークスと有馬記念はまたも惜敗。迎えた2000年。オーナーの竹園から「今年は全勝しろ」と言われていた和田竜二と岩元市三には相当なプレッシャーがあったに違いありません。

しかしその思いを知ってか知らずか、ここからオペラオーの快進撃が始まります。年明け初戦の京都記念をライバル・ナリタトップロードをクビ差競り落として惜敗にピリオドを打ちます。この勝利を皮切りに阪神大賞典・天皇賞(春)・宝塚記念と連勝を続けます。いずれのレースも着差はわずかですが、どこまで走ってもその差は変わらないというような絶対王者的な強さをオペラオーは身に付けていました。

秋の初戦を京都大賞典に選んだオペラオー。このレースでもライバル・ナリタトップロードをアタマ差競り落としてその年の5連勝を決め、秋の古馬中長距離GI3戦に挑みます。

府中の魔物もおかまいなし

秋の古馬中長距離GIロード1戦目は天皇賞(秋)。もちろんこの日もオペラオーは単勝2.4倍の圧倒的1番人気。このレースに勝てば天皇賞春秋連覇となる大事な1戦です。しかしこの頃天皇賞(秋)は12年連続で1番人気が敗れており、「府中の杜には魔物が棲んでいる」と言われていました。

オグリキャップ・メジロマックイーン・トウカイテイオー・ビワハヤヒデ・サイレンススズカなど錚々たるメンバーがこの天皇賞(秋)で1番人気に支持されながら敗れていたのです。メジロマックイーンは独走状態で1着入線するもスタート直後の進路妨害により18着に降着。サイレンススズカに至ってはレース中に故障を発症しそのまま予後不良で安楽死処分となってしまったのです。府中の杜には本当に魔物が棲んでいるとファンの間ではそう思われていました。

しかしオペラオーはこの日も負けませんでした。2着のメイショウドトウに2馬身半の差を付けて快勝して見せたのです。府中の杜に棲む魔物も世紀末覇王・テイエムオペラオーにはかなわなかったようです。

年間無敗・重賞8連勝達成

続く秋の古馬中長距離GIの2戦目・ジャパンカップも勝利したオペラオーは、暮れの大一番、有馬記念に臨みます。7連勝中で向かうところ敵なし状態のオペラオーはこの日も単勝1.7倍の圧倒的1番人気。しかしこの日のレースはとても厳しいものとなりました。

レースはスタート直後から馬群に包まれてしまい、最後の直線を向いても前が開きません。いよいよ負けてしまうのかと思われましたが、馬群を縫うように突き抜けてゴール前ハナ差でメイショウドトウを差し切ります。本当に奇跡のような勝利でした。

この勝利で年間無敗・重賞8連勝・GI5連勝を達成します。また、この年から始まった秋季GI3競走(天皇賞(秋)・ジャパンカップ・有馬記念)完全制覇による1億円の特別報奨金も手にします。それに加えて史上4頭目となる満票での年度代表馬に選出されたのです。

気がつけばいつもアイツが

年が明けて2001年。1月に主戦の和田竜二が落馬・骨折したため、始動戦が4月の産経大阪杯になります。この年も連勝街道を驀進すると見られていましたが、大幅な調整の遅れにより4着に敗れてしまいます。重賞の連勝記録も8でストップしてしまいました。

続く天皇賞(春)は圧倒的1番人気に応えて快勝し、GI連勝記録を6に伸ばします。この勝利によりGI7勝目。皇帝・シンボリルドルフを超えるGI8勝目はもう確実と思われていました。オペラオーはこの勝利で天皇賞は3勝目。今現在も天皇賞を3勝以上した馬はこのテイエムオペラオーとキタサンブラックのわずか2頭です。

この天皇賞(春)の2着馬はメイショウドトウ。気づけば前年の宝塚記念からこの天皇賞(春)までGIレースで5戦続けてこの2頭のワンツーフィニッシュで決まっていました。オペラオーからするといつも気づけばとなりにメイショウドトウがいたわけです。

そして迎えた春のグランプリレース・宝塚記念。この日も単勝1.5倍の圧倒的支持を受けたオペラオーはGI8勝目確実と目されていました。しかしこの日もアイツがいたのです。永遠のライバル・メイショウドトウ。メイショウドトウは2番人気でこの2頭の一騎討ちムードが漂っている中レースはスタート。レースも2頭の一騎討ちとなりますが、オペラオーは先に抜け出したメイショウドトウを捉えることができず、ついに先着を許してしまいます。

しかしまたしてもこの2頭のワンツーフィニッシュ。出走したGIレースで実に6戦続けて同じ馬同士のワンツーフィニッシュとなりました。後にも先にもこんな珍しい記録はないのではないでしょうか。

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