必殺シリーズ 1976年1月~81年1月
1972年に「必殺仕掛人」から始まった必殺シリーズ。その後、「必殺仕置人」、「助け人走る」、「暗闇仕留人」、「必殺必中仕事屋稼業」、「必殺仕置屋稼業」と70年代前半を駆け抜けました。
必殺シリーズといえば、なんと言っても藤田まこと演じる中村主水ですよね。
中村主水
ところが、70年代前半の必殺シリーズ6作品の内、中村主水が出てくるのは半分の3作品なんです。しかも中心的存在となると1975年の「必殺仕置屋稼業」のみ。これがいわゆる「主水シリーズ」の実質的な1作目となります。意外な感じですよねぇ。それでは70年代後半はどうなっていたのでしょう?順にご紹介します。
必殺仕業人
70年代後半、一発目は1976年1月から放送が開始された「必殺仕業人」です。前年、日本中で大ブーム、大ヒットとなった曲があります。ダウン・タウン・ブギウギ・バンドの「港のヨーコ・ヨコハマ・ヨコスカ 」です。そう、「あんた、あの娘のなんなのさ」の歌詞で有名なあの曲です。で、「必殺仕業人」はこの人気にあやかったんですね。各タイトルが「あんた、〇〇〇をどう思う」で統一されており、ナレーターはダウン・タウン・ブギウギ・バンドの宇崎竜童が務めています。
必殺仕業人
しかし、一番の驚きはダウン・タウン・ブギウギ・バンドよりも、仕業人のひとり赤井剣之介役に 中村敦夫を起用したことです。中村敦夫といえば、「必殺仕掛人」時代のライバル番組でこれまた一世を風靡した時代劇「木枯らし紋次郎」の主演だったんですからね。朝日放送も思い切ったことをしたもんです!そしてこのキャスティングは大成功を収めました。
「必殺仕業人」は前作でも好評だった中村主水を中心に据えています。しかも、前作「必殺仕置屋稼業」からの続きとなっているんですよ。哀れ前作の最終回で降格処分を受けた中村主水は最下位の地位である小伝馬町牢屋敷の牢屋見廻り同心に身を落としているところからスタートします。
必殺からくり人 ~ 必殺からくり人・血風編
「必殺仕業人」が7月23日で終了した後、間髪を入れずに翌週にあたる1976年7月30日から「必殺からくり人」がスタート。ここでは中村主水が外れ、シリーズ3度目となる緒形拳、森田健作等が活躍することになります。が、特筆すべきは、花乃屋仇吉役で山田五十鈴が必殺シリーズ初登場となることですね。
必殺からくり人 - 必殺からくり人・血風編
「必殺からくり人」は10月22日で終了し、次作には中村主水を中心とした「新・必殺仕置人」が予定されていたのですが、藤田まこと、更には中村せん役の菅井きんとの交渉が難航してしまい、急遽「必殺からくり人・血風編」が制作されることになりました。
新・必殺仕置人
シリーズ最高傑作と評されることのある「必殺仕置人」、その続編として制作された「新・必殺仕置人」もまた評価の高い作品です。藤田まこととも菅井きんとも無事に交渉がまとまり、「新・必殺仕置人」は1977年1月21日~11月4日まで実に全41話という人気番組となりました。
新 必殺仕置人
人気の秘密に山崎努演じる人気の高かったキャラクター念仏の鉄を再登場させたことが挙げられるでしょう。やっぱりいいですもんね、念仏の鉄のレントゲン映像を使った殺しのシーン。
シリーズ第10作目というひとつの区切りとなった「新必殺仕置人」。やはり山崎努の念仏の鉄は最高です。が、残念ながらこの作品が最後となってしまいます。
最終回はかなり悲惨で、中村嘉葎雄演じる巳代松は拷問の末に廃人となり、その巳代松を救おうとして鉄は商売道具の右手を黒焦げに焼かれてしまうのです。二人の最後の仕事を見届けた中村主水は、一人、江戸の町に残るという、なんともやるせないラストです。