誰もが恐れた「ノストラダムスの大予言」とは?20世紀のオカルトブームを振り返る

誰もが恐れた「ノストラダムスの大予言」とは?20世紀のオカルトブームを振り返る

1999年7の月に恐怖の大王がやってくる。この有名なノストラダムスの予言を恐れていた方も多いのではないでしょうか。世紀末を賑わせた終末論・オカルトブームについて振り返ります。


「ノストラダムスの大予言」

1999年7の月に恐怖の大王がやってくる。
ミドルエッジ世代の皆さんは、この有名なノストラダムスの予言を恐れていた方も多いのではないでしょうか。
今回は、世紀末を賑わせた終末論・オカルトブームについて振り返ります。

ノストラダムスの大予言 迫りくる1999年7の月人類滅亡の日

1973年、「ノストラダムスの大予言」大ヒットの影にはオイルショック?

ノストラダムスは、16世紀フランスで活動した占い師です。生前から予言が当たると評判で、国王の公認も受けていました。
日本で有名になったきっかけは、1973年に五島勉さんがノストラダムスの著作を解説した「ノストラダムスの大予言」を出版したことです。
1973年は、小説「日本沈没」が大ヒットしたり、「超能力者」ユリ・ゲラーさんのスプーン曲げが話題になるなど、オカルトや終末論がブームになっていました。
こうした時流に乗り、「大予言」はわずか3か月でミリオンセラーになったのです。

ユリ・ゲラー わが超能力―それでもスプーンは曲がる!

翌1974年には、この本の内容を元にしたホラー映画も製作され、なんと文部省の推薦を受けました。
この頃、オイルショックにより、日本経済は戦後初のマイナス成長を記録し、高度経済成長が終焉しました。
「狂乱物価」と言われる物価の高騰が発生し、物資の買い占め騒動に繋がりました。
省エネルギーのために照明の消灯やエスカレーターの停止が起き、テレビも放送時間を縮めた様子は、まさに終末後の世界のようでした。
こうした社会不安が、当時のオカルトブームを呼んだのかもしれません。

「ムー」の創刊と、80年代の「前世少女」「戦士症候群」

1979年には、五島勉氏による「ノストラダムスの大予言」の続編が発売。その後も数年おきに刊行され、さまざまな解釈が広まりました。
この年には雑誌「ムー」が創刊。現在も続くこの雑誌は、心霊現象を肯定的に扱い、さまざまな都市伝説を紹介したことで、オカルトファンを中心にヒットしました。ノストラダムスに関する記事もしばしば掲載されました。

ムー 1993年4月号 No.149

1980年代には、「前世」や「転生」について扱った作品がヒットした影響で、「ムー」の読者ページは「前世の仲間捜し」として文通相手を募集する人たちであふれました。
「前世」への思い入れから危険な行動に出る人や、「自分はアトランティスの戦士であった」と主張する人も現れたことで、「前世少女」や「戦士症候群」と呼ばれていました。
特に1983年公開の劇場版「幻魔大戦」や、1986年の少女漫画「ぼくの地球を守って」の影響を受けた人が多かったようです。
こうした社会現象を通して、「予言」を恐れる人達がますます増えていったのでしょう。

ぼくの地球を守って 1 (白泉社文庫)

「99年7の月」が近づき、テレビが連日オカルトを取り上げた90年代

このように、ノストラダムスが火種となって広まったオカルトブームは、終末予言まで10年を切った90年代に再び盛り上がります。
このころ、元号は昭和から平成に代わり、バブル景気の崩壊により日本経済は大きく落ち込み、激動の時代を迎えていました。

バブル崩壊のイラスト

そんな中、1990年には週刊少年マガジンで「MMR マガジンミステリー調査班」というマンガが始まりました。
このマンガでは、ノストラダムスの予言が頻繁に登場します。
さまざまな終末論が紹介され、それに対し登場人物が「なんだってー!」と驚く場面が定番でした。
このフレーズは、現在でもインターネット上で流行していますよね。

MMR-マガジンミステリー調査班-(3)

90年代後半には、阪神大震災が発生。

この頃には、テレビのオカルト番組や報道の影響もあり「終末」の到来を予感させる独特の雰囲気がありました。
実はこの時期に特別に犯罪件数が増えていたという記録はないのですが、少年犯罪や大事件がテレビで頻繁に取り上げられました。
また、「特命リサーチ200X」や「アンビリーバボー」といったオカルトを積極的に取り扱うテレビ番組が流行。

特命リサーチ200X―コミックス

「TVタックル」では、超常現象やノストラダムスについて、肯定派と否定派の論戦が繰り広げられました。
否定派としてよく出演していた物理学者の大槻義彦教授は、この番組で有名になりましたよね。
UFO研究家を名乗る韮澤潤一郎氏のユニークな発言に対して、大槻教授が「馬鹿なことを言うんじゃない!」「証拠を見せてくださいよ!」などと否定し、それを司会のビートたけしさんが軽妙なジョークで茶化す流れが定番でした。

科学新聞部コックリさんのたたりの巻 (大槻教授の「怪奇現象」シリーズ)

何事もなく過ぎ去った終末の日

そして、ついに迎えた1999年7月1日。
「7の月」予言を信奉し恐れていた人達は、実際に避難をした人もいたそうです。
そうした熱狂は、真面目な報道番組である「ニュースステーション」でも特集されました。
筆者も、99年7月は何かが起こるのではないかと恐れながら過ごした記憶があります。
しかし、この1ヵ月は、隕石が落ちる事もなく、核戦争が起きることもなく、無事に過ぎ去りました。
コンピュータの「2000年問題」を予言と結びつける説もありましたが、2000年問題の影響も限られたものにすぎず、人類は無事ミレニアムを迎えることができました。
終末予言が外れて、良かったですね。

終末予言が流行した時期には、その裏にオイルショックやバブル崩壊といった社会不安がありました。
また、米ソの軍拡競争から、核戦争に対する現実的な恐怖があったこと、経済成長に伴う公害問題なども、終末予言に現実味を与えていたといいます。
終末予言は、社会情勢や時代を映す鏡だったのかもしれません。

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