やっぱり昭和のCMは今より怖かった!
今の時代に比べて昭和に放送されていたCMは怖いものが多かった気がしませんか?
誰しも小さい頃に怖かったCMの一つや二つくらいあると思いますが、昭和のCMは特にインパクトが強力だったように思います。
実はそれは気のせいではなく、視聴者の印象に強く残るよう実際に攻めた作りになっていました。とことん怖かったり意味不明で不気味だったり。見た後に「あれなんだったの?」と話題になればCMとして効果は抜群、「印象に残ること」が特に重要でした。
当時は放送コードも今ほど厳しくなく、また多少不愉快なCMが流れてもクレームが入るようなことは稀でした。
しかし、現代では少しでも奇抜なCMが流れると即クレームが入ります。さらにインターネットで炎上する可能性もあり、そうなれば企業側としてはマイナスでしかありません。インパクトよりもそういった視聴者への配慮が求められています。時代とともにトラウマCMも無くなりつつある訳ですね。
そんな貴重になりつつある、代表的な昭和のトラウマCMを集めてみました。さっそく見ていきましょう。
今も昔も個性的!モード学園のCM
東京・大阪・名古屋にあるモード学園。ファッションと美容分野の専修学校です。何の学校かは知らなくても、モード学園の名前を知らない人はいないでしょう。それは間違いなく昔から続くこの個性的なCMの影響力!
最近でもモード学園のCMは目にしますし、やっぱり個性的ではありますが昭和に流れていたCMは個性的なんてものではありません。
子どもが夜中に見たら泣くレベルです。CMの内容もギョッとしますがバックで流れてる音楽も絶妙なんですよね。そして一番最後に出る腕をあげた白黒の女性のイラスト、これがとても印象的です。
政府広報CM・通称「キッチンマザー」
政府広報の覚せい剤撲滅を促すこのCMは「キッチンマザー」の通称でも知られています。1982年に製作され、当時は頻繁に流れていました。昼のワイドショーの合間などによく見た覚えがあります。
淡々とした男性のナレーションと泣きわめく男の子、注射器を持った虚ろな母親が最後は消えていく…という怖すぎる映像が薬物の恐ろしさを十分に伝えてくれます。
このCMがトラウマになった方ももちろん多いと思いますが、「覚せい剤は絶対ダメなんだ!」というメッセージも同じくらい強く残っているので、CMとしては成功ではないでしょうか。
むしろこれくらいインパクトのあるCMを今の時代でも流していいのかもしれませんね。
CMで映るシュガーカットの顔
今もお馴染みの液体甘味料シュガーカット。80年代にもCMが流れていたのですが、CM自体はまったく怖くない明るいものでした。しかしトラウマ率の高さはなかなかのもので、その理由がパッケージに印刷されている謎の女性の顔です。
この顔がとにかく怖かった!という声は多いものの、今見てもそんなに怖くないのが不思議ですね。白黒でパーツしかないという不安定さが、子どもの恐怖心をあおるのでしょうか。
ちなみにこの顔のイラストは実在する女性がモデルで、1973年頃のミス・ハワイの方なのだとか。この商品を使うとミス・ハワイのように美しくなれる、というイメージを込めて採用されたのでしょうね。
都市伝説にもなったクリネックスCM
クリネックスティシューのCMは都市伝説としても有名です。
赤鬼の坊やと女優の松坂慶子さんのほのぼのとしたCMなのですが、なぜか怖い噂がたくさんあります。
なんと「このCMを見たら死ぬ」という噂まで!もしそうなら80年代にテレビを見ていた人はほぼ全滅してますけど…と、当時を知っている方からすればツッコミたくなりますが、そんな噂が広まったのにはいくつかの要因があったようです。
まず流れている音楽が呪いの歌であるという噂。そして赤鬼に扮していた男の子が死亡し、CM関係者も次々に変死したという噂。出演していた女優がノイローゼになり引退したという噂。
結論から言うと、すべてデタラメです。松坂慶子さんなんて今もバリバリと活躍されていますよね。実際は誰も死んでないし、そもそも音楽も呪いの音楽ではありません。Miss Janeの「It's a fine day」というタイトルからも分かる通り明るい曲です。
なぜこんなに怖い噂がたくさん広まったのかはっきりとは分からないのですが、赤鬼の坊やがちょっとリアルで不気味な点、しっかり赤鬼になりすぎている事や、アカペラで歌われている曲が本来は明るい内容なのに物悲しげに聞こえてしまう事などが原因ではないかと思われます。
そもそもティッシュのCMなのに、なぜ赤鬼なんだ!?という気もしますよね。赤鬼坊やのひたすらティッシュを引き出して腕組みした時の表情も心なしか怖く見えます。このCMを見るとなんとなく不安になるのは納得です。
日産の謎のオブジェCM
こちらは80年代後半に「アド街ック天国」の合間に流れていた日産グループのCMです。昔は一社提供のCMって珍しくなかったですが、今では日立の「この木なんの木」のCMくらいしか見かけませんね。
一見明るくてポップなCMなのですが、登場する少々奇抜なオブジェがトラウマに。さらに回転遊具もどことなく不安を誘います。
このオブジェ、実はケニー・シャーフというアメリカの現代芸術家の作品なんです。さらに撮影場所もアメリカのロサンゼルス郊外にある、グリフィスパークという有名な場所なんだとか。なかなかお金がかかっています。
流れている音楽は「世界の恋人」という日産のCMソングで、もともとは1965年に発売された410型ダットサン・ブルーバードのイメージソングでした。とても歴史のある曲なんです。
素晴らしい撮影場所と芸術作品であるオブジェ、歴史のある美しい音楽という最高の組み合わせなのですが、怖く感じた方が多いようですね。このCMも「アド街ック天国」が日産の一社提供ではなくなったことで見なくなってしまいました。
「ピーマンいれんといてやぁ」でお馴染みのCM
80年代後半から放送されていた「ケンミンの焼きビーフン」CM。
不気味過ぎるタッチの男児と女児、そして気だるい「ピーマンいれんといてや」のセリフ。このCMが流れるとダッシュで逃げたという声もよく聞かれます。
ケンミンの焼きビーフンのCMはこれ以外もパンチ力の強いものが多いのですが、商品自体はとても美味しいようですね。しかしこの路線のCMで当時商品は売れたのでしょうか。これを見て「あ、買ってみよう」とは、なかなかならないような気がしてなりません。
しかしCMの流れる数十秒で商品名を覚えてもらうという意味では大成功をおさめたCMです。
トラウマの宝庫?ACジャパンのCM
トラウマになっているCMといえば、ACのCMと答える方が多いのではないでしょうか。
知名度の割にACが一体何なのか知られていないかもしれません。正式名称は「公益社団法人ACジャパン」、以前は「社団法人公共広告機構」という名称でした。公共広告により様々なメディアを通して啓発活動を行っている公益社団法人、というのがACジャパンの概要です。
啓発活動というだけあり、人の心に刺さるCMが多いのが特徴です。刺さりすぎてたまに怖いものも多く、結果トラウマCMも多めになっています。
そんなACのCMでトラウマになったという声が多いものを続けてご紹介しましょう。
「消える砂の像」
「ストップ温暖化」
「ごめんなさいいえるかな?」
「もったいないおばけ」
突然の「しばらくお待ちください」
最後に、CMではありませんが誰もが恐怖を感じたであろう画像で締めくくりましょう。
最近のテレビ放送では滅多にありませんが、昭和では割と頻繁にあった放送中断。それまで賑やかだったテレビが突然ストップ、からの「しばらくお待ちください」画像と静寂…心臓がキュッとなりませんでしたか?
放送が再開するまで「どうしたんだろう?」とわざと明るく話しつつ、怖さを紛らわせたりしました。懐かしいですね。