【THE BLUE HEARTS】が残したオリジナルアルバム8作を振り返る
THE BLUE HEARTSが残した8枚のアルバムは、個人的には前期と後期がある様に思います。前半は私が中学生の頃に散々聴いた曲が多く、その後少しTHE BLUE HEARTSから距離を取った時期がありました。その間にリリースされた後半アルバムにも名曲が沢山含まれていたことを後々知ることになります。後半のアルバムもリアルタイムで聴いていれば良かったなぁという思いも含めて振り返ってみたいと思います。
1st 『THE BLUE HEARTS』
『THE BLUE HEARTS』は1987年5月にリリースされたTHE BLUE HEARTSのファーストアルバムです。

このアルバムを初めて聴いた時の衝撃は、今でも鮮明に覚えています。
頭をハンマーで殴られた様な衝撃でした。
当時中学生の私は、テープが擦り切れるのではないかと思うくらい、何度も何度も聴いていました。
代表曲に「リンダリンダ」を挙げていますが、はっきり言ってベストアルバムの様な仕上がりになっています。勢いがハンパではありません。「少年の詩」なんて一生忘れられないと思います。
セルフ・プロデュース、セルフタイトルとなったこのアルバムは、収録時間も少なく、日本のパンクロック史上類を見ない名作だと思います。
代表曲 「リンダリンダ」
2nd 『YOUNG AND PRETTY』
『YOUNG AND PRETTY』は1987年11月にリリースされたTHE BLUE HEARTSのセカンドアルバムです。

収録曲の約半分は、アマチュア時代からの曲となっているこのアルバムは、前作との違いはプロデューサーに佐久間正英さんを起用したこと、マーシーがメインボーカルを務める曲が初収録されたこと、ヒロトのブルースハープの使用曲が多いこと、そしてキーボードの導入などがありました。
このアルバムを収録するにあたって、プロデューサーに佐久間正英さんからなかなかOKが出なかった為、レコーディングが相当難航したそうです。ヒロトは「ブルーハーツのレコードなんだから、等身大の技術でええんじゃないの」とこぼしたとか。自分たちの技術不足を思い知ったアルバムだったそうです。
ストレートで非常に良い曲が多かったと思います。インディーズから継承された曲には、若さの塊みたいなものが詰め込まれていた様に思うんですよね。「チューインガムをかみながら」は、その良さに気が気が付くのに時間がかかりましたが、今では名曲中の名曲だなぁと思います。
代表曲 「キスしてほしい」
3rd 『TRAIN-TRAIN』
『TRAIN-TRAIN』は1988年11月にリリースしたTHE BLUE HEARTSのサードアルバムです。

ヒロトとマーシーの共作である「メリーゴーランド」、河ちゃんのクレジットが入った「風船爆弾(バンバンバン)」などがあり、前作までのパンク中心からブルース、フォーク、カントリー等のルーツ・ミュージックを反映させた多彩な楽曲群となっていました。
また、このアルバムは作詞クレジットの数でヒロトがマーシーを上回る唯一のアルバムでもあります。
「僕の右手」「青空」と、THE BLUE HEARTSの歴史を語る上でどうしても外せない名曲が入っているこのアルバム。そして「TRAIN-TRAIN」という後世に語り継がれていく名曲が収録されているこのアルバムは、まさにブルーハーツのアルバムとしては最高の作品だったのではないでしょうか。THE BLUE HEARTSの全てのアルバム中で、最も知名度を上げたアルバムであったと思います。
代表曲 「TRAIN-TRAIN」
4th 『BUST WASTE HIP』
『BUST WASTE HIP』は1990年9月にリリースされたTHE BLUE HEARTSの4枚目のアルバムです。

このアルバムは初回限定版のプラケース入りで買ったのをよく覚えています。懐かしいですねぇ
『TRAIN-TRAIN』の評価が非常に良かった為、バンド初のオリコンチャート1位を獲得したアルバムとなりました。
マーシーはこのアルバムについて「ブルーハーツの予定調和を打開しようとしていた時期」と語っており、前作と比べて硬質なロック、ブルース、ソウルミュージック、R&Bの色が濃くなり、歌詞はストレートなものから抽象的なもの、 意味性を無視したものが増えていました。
なんといってもこのアルバムにはTHE BLUE HEARTSの代表曲となった「情熱の薔薇」が収録されており、変化をし続けた前半の締めくくりのアルバムとして納得の作品だったと思います。
代表曲 「情熱の薔薇」
5th 『HIGH KICKS』
『HIGH KICKS』は1991年11月にリリースされたTHE BLUE HEARTSの5枚目のアルバムです。

個人的にはあまり馴染みのないアルバムですが、「TOO MUCH PAIN」は流石に聴きました。
このアルバムは、インディーズ時代から演奏されていたこの曲がメジャーデビューから4年経って初音源化され収録されています。
ヒロトは「今までと違う方に、すごく力の抜けたリラックスした自分を置いてみようとした」
マーシーは「反逆的なメッセージをモロに出すより、ポップ形式にして今までロックを聴いたことのない人に届く方が、有効なんじゃないか」
と語っていました。
改めて聴いてみる必要があるかもしれませんね。
代表曲 「TOO MUCH PAIN」
6th 『STICK OUT』
『STICK OUT』は1993年2月にリリースされたTHE BLUE HEARTSの6枚目のアルバムです。

これぞTHE BLUE HEARTS後期の名盤だと思うんですよね!
「夢」「月の爆撃機」「1000のバイオリン」を聴いた時、昔からのTHE BLUE HEARTSファンにとっては涙ものだったのではないでしょうか?「1000のバイオリン」はTHE BLUE HEARTSのキャリアの集大成だった様に感じるんですよね。
バンドに窮屈さを感じていたヒロトが、THE BLUE HEARTSというバンドの在り方を見せたい、バンドを再スタートさせたいという意向のもと、今作と次作『DUG OUT』が制作なされました。その為、この『STICK OUT』と次のアルバム『DUG OUT』は気分によって聞き分けられるように曲調を分けたアルバムであり、製作段階では同時期に進められたものでした。
代表曲 「1000のバイオリン」
7th 『DUG OUT』

前作『STICK OUT』とは対照的にスロー&ミディアムの楽曲が集められているこのアルバムは、ヒロト曰く「前作STICK OUT(凸)と本作DUG OUT(凹)は2つで1つのアルバム」だそうです。
THE BLUE HEARTSというバンドの在り方を見せたい、バンドを再スタートさせたいというヒロトの意向のもと、今作と前作『STICK OUT』が制作されたが2作出来上がった時に、バンドのこれからの可能性よりも頑張ってもこれが限界かな、とヒロトは感じたそうです。
確かにリスナーである我々も、THE BLUE HEARTSはもう・・・って感じていたところはあったと思います。
改めて聴き直してみると、味わいのある曲が多かったと思います。
代表曲 「夕暮れ」
8th 『PAN』
『PAN』は1995年7月にリリースされたTHE BLUE HEARTSのラストアルバムでした。

ビートルズの『ホワイト・アルバム』を参考にメンバー1人ひとりが別々で、それぞれの友人とともにレコーディングを行ったアルバムであり、要するにメンバーがそれぞれ楽曲を持ち寄った作品になっています。
ヒロトいわく「レコード会社との契約が残っていたため、仕方なく作った」というこのアルバムは、解散後に発表されたため、先行シングル及びリカットシングルが一切無い作品でした。
聴いたことありますが、なんだか皆の方向性も違っていたことからまとまりのないアルバムであったという印象があります。まぁ解散後にリリースした作品ですから、メンバーとしても力が入らなかったのかなぁと思いました。
そんな中でも「ヒューストン・ブルース」は、後に一時期だけ結成されたヒューストンズのテーマ曲にもなり、個人的には↑THE HIGH-LOWS↓の布石とも言える曲だなぁと感じました。
尚、下記動画はヒューストンズで演奏された「ヒューストン・ブルース」です。
代表曲 「ヒューストン・ブルース」
オリジナルアルバム8作を振り返ってみて
THE BLUE HEARTSのオリジナルアルバム8作を振り返ってみていかがだったでしょうか?
皆さんにとって、思い出深いアルバムはどれでしたか?
個人的にはファースト、セカンド、サードがリアルタイムの学生時代だったので、やはり特別な思い入れがあります。
THE BLUE HEARTSは10年のキャリアの中で多くの名曲を残したと同時に、その音楽性に変化もあったと思います。
きっと本当のファンとは、バンドがどの様に変化していっても、それを受け止めファンであり続けるものなのだろうなぁと思いました。
途中で離れてしまった私は、些か勿体ないことをしたとは思いますが、音楽の良いところは残ること。なので、改めてTHE BLUE HEARTSを聴き直してみたいと思いました。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。