「H2」は「タッチ」に並ぶ野球漫画の名作!

夏の高校野球大会、甲子園は今年も白熱していますね。
高校野球の名作漫画といえば、やっぱりあだち充の「タッチ」。そして、「タッチ」に負けず劣らずの人気だった「H2」ではないでしょうか。
「H2」は少年サンデーで1992年から1999年まで連載されていました。単行本は全34巻。シリーズ累計発行部数はなんと5,500万部を超えるという、大人気作品です。
ちなみにタイトルの「H2」は「二人のヒーローと、二人のヒロイン」を意味しています。あと、主要人物の4人とも名前のイニシャルが「H」です。
漫画版は大人気で順調だった「H2」はもちろんアニメ化もされたのですが、なんと打ち切りになってしまいます。さらにその後ドラマ化もされましたがまたまた不評の嵐。一体なぜ?気になる理由を調べる前に「H2」のあらすじや登場人物についてみていきましょう。
「H2」のあらすじ&登場人物
恋と野球!幼なじみの微妙な距離感
幼なじみの比呂とひかりは男女の域をこえた仲、のはずでした。少なくともひかりの中では。
自分よりちっちゃくて弟みたいな存在でしかなかった比呂を、ひかりはある時から意識していることに気付きます。しかし恋人がおり、それが比呂の大親友でもある英雄。英雄を紹介をしたのが比呂というのがまた更に複雑になるポイントです。
比呂とひかりの微妙な距離感、そんな二人の仲がどうしても気になる英雄。さらに比呂のことが大好きな春華も加わり、野球を通してストーリーは展開していきます。
ひかりと春華のどちらを比呂は選ぶのか?読者が一番気になったのがそこですが、あだち先生も結末をどうするか決めずに連載をスタートされたそうで、だからこそ惹き込まれたのかもしれませんね。
さらに野球部のメンツも個性派揃いで、恋愛パートだけでなくもちろん野球パートもしっかり読みごたえがあります。野球部のメンバーの木根なんて、チャラチャラした嫌な奴だと思いきやまさか感動させられるとは。比呂とバッテリーを組む野田も男前な言動が多かったりと、脇を固めるキャラクターたちも魅力的です。
そんなメンバーと甲子園を目指す比呂、そして英雄。気になる恋の行方と甲子園での二人の対決の結果は…?とにかく面白い!もし読んだことがない方にはぜひオススメしたい作品です。
4人の「H」
国見 比呂(くにみ ひろ)
主人公、千川高校野球部。投手・中堅手で右投げ・右打ち。
ひかりと野田とは幼なじみで、ひかり・野田・英雄とは同じ青南中学校出身。
中学時代から有名なピッチャーだったが、肘の故障を宣告され野球部のない千川高校に入学した。しかし誤診だったことが判明し、千川高校で野球部を創設して甲子園出場を目指す。
橘 英雄(たちばな ひでお)
明和第一高校野球部。三塁手で右投げ・右打ち。
天性のスラッガーで1年生から4番バッターを務めるほど。実家は酒屋。比呂の大親友でありライバルでもある。
雨宮 ひかり(あまみや ひかり)
英雄と同じ明和第一高校に通う。弓道部だが夏季限定で野球部のマネージャーもこなす。
中学時代、比呂に紹介されて英雄と付き合うようになる。ミス明和に選ばれるほどの美人、成績も優秀で性格も良く、家事も万能にこなす。英雄とは誰もがうらやむカップルではあるが、そう見られていることに違和感がある。
古賀 春華(こが はるか)
千川高校の野球部マネージャー。古賀商事の社長令嬢。おっちょこちょいだが成績優秀で運動神経も良く、男女問わず人気者。ミス千川の候補にあがるほどの美人。
高校野球の大ファンで野球部の無かった千川高校に野球部を創設させた張本人であり、比呂が再び甲子園を目指すきっかけを作った。
どうしてアニメは打ち切りになったのか?

大人気だった「H2」はアニメ化され1995年6月にテレビ朝日系列で放送がスタートします。毎週木曜日の19時から30分間の放送で翌年の3月に終了となりました。
漫画が連載中だったので最終回が原作と違うのは当然なのですが、アニメはかなり中途半端な所で終わっています。放送期間約1年間で全41話、比呂たちが2年生で甲子園の出場を目指していく、というのがアニメ版の最終回です。
アニメが終了した理由は、視聴率低迷による打ち切りでした。
一部で「原作に忠実だ」という声があるものの、アニメ版の評価はあまり良くありませんでした。まず、声優が棒読み。野球アニメのはずなのに野球のシーンが少なく迫力がない。さらに極めつけは主人公・比呂の凄さや魅力が伝わってこないというものでした。
あだち充作品はアニメ化が難しいと思われます。漫画を読めば分かりますが、あだち充作品は独特の間の取り方をします。キャラクターは一切話さず、景色やセミの鳴き声、雑踏のざわめきだけで心情を表現したりもしますよね。人物のセリフ一つでも、活字で読めば違和感がないのに、声優が演技するには難しいものも多いです。
そういった要因が悪い方でたくさん出てしまったのかもしれません。
あだち作品最強ヒロイン?春華がかわいすぎる!

あだち作品は「あだち充劇場」なんて言葉があるくらい登場人物たちの風貌がそっくりですよね。もちろんヒロインも基本的に見た目は似ていたり「頭脳明晰、運動神経バツグン、家事炊事もこなす、ミス〇〇、男女から人気、めちゃくちゃモテるけど他の男に興味なし」という王道の完璧な設定であったりします。
しかし設定や見た目が似ていても、やはり魅力は様々。そんなあだち作品のヒロインランキングがあるなら間違いなくトップに入るであろうキャラクターが「H2」のヒロイン、古賀春華です。
ひかりも良いのですが、英雄という彼氏がいながら幼なじみの比呂にも煮え切らない態度をとることでイマイチ好感度が上がらないのかもしれません。
対して春華は比呂ひとすじ!好きだという気持ちもはっきり表しますし、傷つくことがあっても笑ってみせたりと健気でもあります。野球部を創設する際もとにかく一生懸命でした。勉強もできるし運動神経もいいしお嬢様だけどおっちょこちょいな点も人気が高いポイントです。
春華のヒロイン力3連打!
「H2」はドラマ版も不評?

「H2」は「H2〜君といた日々」というタイトルで2005年にテレビドラマ化もされています。キャストは以下の通りです。
国見比呂:山田孝之
古賀春華:石原さとみ
橘 英雄:田中幸太朗
雨宮ひかり:市川由衣
なかなか豪華なキャスティングですよね!
当時の視聴率は平均11%ほどと悪くはなかったのですが、残念ながら評判はよくありませんでした。アニメと似ているのですが、まずは野球要素の薄さ。それに加えて肝心の野球シーンでの野球経験者でないのが分かりすぎるフォームのひどさ。さらに質素なCG、真夏の設定であるはずが白い息を吐く出演者などなど、ツッコミ所が多すぎました。
大人気女優の石原さとみさんも、当時は今ほどあか抜けない印象でした。そのため「春華のイメージじゃない!」と厳しい意見が多かったようです。他のキャストも割とイメージと違い過ぎましたよね。山田孝之さんは素晴らしい俳優ですが、国見比呂ではないような気がします。
唯一、ひかり役の市川由衣さんの評価は高かったですね。美人でイメージピッタリでした。