ワイは猿や!プロゴルファー猿や!

今思い返すとなんであんなに流行ったのかよく分からないアニメ「プロゴルファー猿」。子ども達に「ゴルフはドライバー一本でするもの」という間違った知識を植え付けるほどの大ヒットアニメでした。
ゴルフといえば、日曜日の昼間からお父さんが中継をみるためテレビを独占してしまい、テレビでファミコンをしたい当時の子どもには敵でした。スポーツとしても子どもには無縁で、おじさんがするものという印象でしたよね。子どもにとってゴルフを親しみやすい存在にしてくれたのが、まさに「プロゴルファー猿」でした。
そんな「プロゴルファー猿」には続編の「新プロゴルファー猿」があるのですが、あまり記憶に残っていない方がほとんどではないでしょうか。続編なんてあったっけ?といった感じかもしれませんね。それにはいろいろと理由があるのですが、まずは前作の「プロゴルファー猿」についておさらいしていきましょう。
「プロゴルファー猿」の最終回って?
アニメ「プロゴルファー猿」は1985年4月から1988年3月まで「藤子不二雄ワイド」(後の「藤子不二雄ワールド」)内で放送されていました。毎回15分の放送だったので全143話となり、なかなかの長期放送になっています。
1986年には映画「ドラえもん のび太と鉄人兵団」、1987年には「ドラえもん のび太と竜の騎士」の同時上映として「スーパーGOLFワールドへの挑戦!!」「甲賀秘境!影の忍法ゴルファー参上!」がそれぞれ映画化されています。
原作は藤子不二雄A先生のコミックス
コミックス版の「プロゴルファー猿」とアニメ版では話やキャラクターに違う部分もあります。おっちゃんの娘や飼い犬のゴエモンはアニメのオリジナルキャラだったりします。
とはいえ、コミックス版と同じく主人公の猿丸があらゆる個性的な敵キャラクターとゴルフで対決し、プロを目指すという熱い展開には毎回ワクワクさせられました。学校でごみ箱にごみを投げる時なんかに「旗つつみー!」と叫んだりして、当時は本当に人気でした。
「プロゴルファー猿」の最終回は?
気になる最終回ですが、それは143話「プロテスト最終日18番ホール」。
猿丸はプロになるためテストを受けており、その合格条件が「18ホールを規定の打数内で回りきる事」でした。しかし悪天候もあってテストを受けた全員がスコアを乱します。
そんな時にまたしてもミスターXによる妨害が。なんと、猿丸がアマチュアの規定に違反している!証拠の写真もあるぞ!プロにすべきではない!とゴルフ界のえらい人に迫るのです。
最後の最後で嫌がらせがやたらリアルに…!
しかし、えらい人は猿丸の才能を見込んでその意見を却下。そして猿丸も18番ホールで必殺技「旗つつみ」で見事にホールインワンを決め、無事プロテストに合格したのでした。
期待の続編「新プロゴルファー猿」!…あれ?

前作「プロゴルファー猿」で見事プロになる夢を叶えた猿丸。続編としてすぐにスタートした「新プロゴルファー猿」では、そんな猿丸のプロになった姿や、新たな強敵との熱いゴルフバトルが繰り広げられるのだろうと視聴者は期待しました。
1988年4月から枠も同じでそのまま「新」としてスタートしたので、気付かなかった方も多かったのかもしれないですが、内容がまったく違っていたのです。
まずオープニングからして違い過ぎる!
前作と同じく主題歌を歌うのはアニソン界のアニキこと水木一郎、作曲は小林亜星。しかし歌詞に注目してもらえば分かるように、まるで雰囲気が違います。
「プロゴルファー猿」の主題歌「夢を勝ちとろう」ではゴルフへの情熱、一打にかける強い思い、まさに熱血!!といった言葉が溢れていましたが、「新プロゴルファー猿」の主題歌「マイウェイ猿丸」では、遊ぼうぜ~楽しくさ!おひさまニコニコいい天気~、女の子?ちょっと好きなんだよね(照れ)といった具合。どうした猿丸。
もちろん内容も激変!
主題歌の段階で「なんじゃこりゃ」となった訳ですが、内容もやはり前作とはまったく違っていました。前作でやっとの思いでプロになったのだから、「新プロゴルファー猿」ではプロの話になるのかと思いきや、なんと毎回ちょっとした騒動の起きるアットホームなゴルフアニメになっていたのです。
自然豊かな猿谷に暮らす猿丸一家。学校をさぼり今日もゴルフの練習に精を出す猿丸の元にカントリークラブの支配人から依頼の手紙が。プレイを邪魔する困ったカラスを猿丸のゴルフでなんとかするぞ!
といった感じです。
あれ?ミスターXは?新たなる刺客は?当時の視聴者もさぞポカンとした事でしょう。
内容変更は「藤子不二雄ワイド」ゆえ?
どうしてこんな風に内容が変わったのかというと、どうやら「プロゴルファー猿」が放送されていた「藤子不二雄ワイド」(後の「藤子不二雄ワールド」)が原因のようです。
「藤子不二雄ワイド」では1時間の枠内で「パーマン」「忍者ハットリくん」「エスパー魔美」と「プロゴルファー猿」をそれぞれ3本立てにして放送していました。そのため、視聴者の年齢層が低かったんですね。「プロゴルファー猿」は連載されていた雑誌が「少年サンデー」という事もあり、対象にしている年齢がもう少し高めでした。
そこで「プロゴルファー猿」の放送が終了し、「新プロゴルファー猿」に新しくなるタイミングで「藤子不二雄ワイド」を視聴している年齢層に内容も合わせたようなのですが、これが良くなかった。
もともと短期の予定だったのかは分かりませんが、たった10話で「新プロゴルファー猿」は終了してしまいます。
個人的に、「エスパー魔美」なんてしょっちゅう魔美が全裸になるし、その裸をパパは絵に描くし、年齢層を気にするならそっちじゃないか?と思いもします(笑)
コミックス版「新プロゴルファー猿」はプロで活躍!
原作の方でも「新」は低年齢向けになっているのですが、しっかりプロとしての活躍が描かれています。コロコロだからギャグ路線だったりするのでしょうか。気になりますね。
本物のプロになった猿の活躍を読みたいなら、コミックス版を読みましょう!
ちなみに、1999年には「ビッグコミック」で20年ぶりに新作「サル」が不定期で連載されました。こちらも要チェックです。