②聖司の夢がヴァイオリン職人じゃない!
映画版での聖司は、将来ヴァイオリン職人になるのが夢でしたよね。夢を実現させるため、中学生だというのに単身イタリアへ修業に行く事を決意。その情熱に影響されて、雫は受験直前だというのに本格的に小説を書き始めました。
しかし、原作で聖司が目指しているのは画家!ヴァイオリンはまったく弾きません。幼い頃から絵を描いていて、かなりの腕前という設定です。
聖司はヴァイオリンを弾かないのでもちろん雫が歌うシーンも無く、「カントリーロード」が出てくる事も「コンクリートロード」が出てくる事もありません。なんだか寂しい気もしますね。ちなみに「コンクリートロード」は宮崎監督が作詞したそうです。
③聖司に兄がいる!
映画では聖司に兄弟がいる様子はありませんでしたが、原作では兄がいる設定になっています。しかも割と重要なポジションでしょっちゅう登場するんです。そんなキャラクターをあっさりカットしてしまうジブリ。恐るべし。
兄の名前は天沢航司(こうじ)。そして気になるお顔がこちら!
眼鏡をかけた優しそうな爽やかイケメン。弟とはタイプがまったく違うのが見て取れますね。兄の航司は高校1年生。カメラが趣味のほんわかしたお兄さんなんですが、母校の先生からは「変人」と称される変わり者キャラです。
④雫の姉がまるで別人!しかも…
雫の姉である汐(しほ)は、映画の中では家族一のしっかり者として描かれていました。大学生にもかかわらず忙しい母親に代わって家事全般をこなし、雫の尻を叩いてテキパキと動き回る、ちょっと怖いお姉ちゃんといった感じでした。
原作の汐はそんなイメージとは真逆でおっとりしています。かわいいお嬢さん~といった感じで、年齢も大学生ではなく高校生1年生になっています。
しかも、汐は聖司の兄・航司と恋人同士なんです!
まさに「えーーーーーっ」と言いたくなりますが、実は原作の「耳をすませば」は、雫と聖司・汐と航司の4人を中心とした青春恋愛漫画なんです。「聖司の好きな人がお姉ちゃんなのかもしれない」と雫が勘違いして悩む展開があったり、まさに少女漫画の王道のような作品。映画のように将来の夢について葛藤する姿も現実的には描かれていません。
このあたりが原作と映画版の一番違う所ではないでしょうか。
⑤黒猫がNGなのはなぜ?宮崎監督のこだわりとは
原作では黒猫のムーンとその姉猫のルナが度々登場しています。航司の肩や頭に乗っているあの猫です。映画版でも猫の名前はムーンでしたが、黒猫ではなくずんぐりとした太っちょ猫として描かれていましたよね。
あえて黒猫にしなかったのは、宮崎駿監督のこだわりだったそうです。ジブリで黒猫といえばやっぱり「魔女の宅急便」のジジですよね。宮崎監督は「同じ事は2度やらない」という主義だそうで、黒猫だとジジとかぶってしまうため変更になったのだとか。
姉猫のルナについても、当時ちょうど「美少女戦士セーラームーン」が放送されており、こちらも黒猫のルナとかぶってしまうという事で変更になったそうですよ。
他のキャラクターとかぶらせたくない、という宮崎監督のこだわりが感じられますね。
原作と映画版の違いは他にも!
いかがでしたか?少女漫画らしい作品が原作だった「耳をすませば」。ご紹介した他にも原作には映画と違う所がまだまだあります。特に少女漫画が好きな方にはぜひ一度読んでいただきたい作品です。興味がわいた方は原作の「耳をすませば」も手に取ってみてくださいね。