ジブリ映画で大人気!「耳をすませば」

ジブリでどの作品が好きか?と聞かれた時に「耳をすませば」をあげる方も多いことでしょう。糸井重里氏によるキャッチコピー「好きな人が、できました」はあまりにも有名ですよね。甘酸っぱい青春ストーリー、恋したり将来について悩んだり、誰もが通る中学生時代の一コマ。観終わったあと清々しい気持ちになる視聴者がいる一方、主人公たちのあまりのリア充ぶりに鬱になる視聴者が多いのも特徴的な作品です。
「耳をすませば」あらすじ
「耳をすませば」の原作はあまり知られていない?

「耳をすませば」はジブリのオリジナル作品だと思っている方がほとんどのようですが、原作者は人気少女漫画家の柊あおい先生です。少女漫画雑誌「りぼん」に1989年8月号~11月号にかけて掲載されました。当時「りぼん」を愛読していた方にとっては、映画版よりこちらの漫画版の方が断然思い出深いでしょう。
しかし、残念なことに人気はいま一つだったようですね。たしかに柊あおい先生のヒット作で思い出すのは「耳をすませば」よりも、「星の瞳のシルエット」や「銀色のハーモニー」かもしれません。
当時は「りぼん」黄金期!

ちなみに「耳をすませば」が掲載された頃の「りぼん」はまさに黄金期でした。「ときめきトゥナイト」「ちびまる子ちゃん」「こいつら100%伝説」少し後には「姫ちゃんのリボン」など、誰もが知っている作品が毎号掲載されていました。
当時の小学生女子は圧倒的に「りぼん派」が多く、ほとんどのクラスメイトが読んでいましたね。友達と交換する手紙はもちろんりぼんの付録!今思い出してもどれも凝ったデザインでかわいかったと思います!
映画版と原作では設定が違う!?
「耳をすませば」の原作が少女漫画であるという事が分かりましたが、映画版と原作の漫画版ではかなり設定に違いがあるんです。映画をみてから漫画を読んで驚いた方も多いのだとか。やはり映画版はジブリという事もあり、宮崎駿ワールドな仕上がりになっているみたいですね。
では、どんな違いがあるのかどんどん見ていきましょう!
①雫たちの学年が違う!
映画では雫や聖司は中学3年生。将来の夢や進路について悩み葛藤するシーンが度々出てきましたよね。受験前の不安や焦りが印象的に表現されていました。一方、原作の雫たちは中学1年生です。
原作の「耳をすませば」には「耳をすませば 幸せな時間」というその後を描いた作品もあり、こちらでは雫たちも中学3年生になっています。
ちなみに、お馴染みのセリフ「ヤなヤツ!ヤなヤツ!ヤなヤツ!!」は原作でも同じ。意地悪そうに笑う聖司くん。好きな子にわざと意地悪しちゃうのも、中3より中1の方がしっくりきますね。
②聖司の夢がヴァイオリン職人じゃない!
映画版での聖司は、将来ヴァイオリン職人になるのが夢でしたよね。夢を実現させるため、中学生だというのに単身イタリアへ修業に行く事を決意。その情熱に影響されて、雫は受験直前だというのに本格的に小説を書き始めました。
しかし、原作で聖司が目指しているのは画家!ヴァイオリンはまったく弾きません。幼い頃から絵を描いていて、かなりの腕前という設定です。
聖司はヴァイオリンを弾かないのでもちろん雫が歌うシーンも無く、「カントリーロード」が出てくる事も「コンクリートロード」が出てくる事もありません。なんだか寂しい気もしますね。ちなみに「コンクリートロード」は宮崎監督が作詞したそうです。
③聖司に兄がいる!
映画では聖司に兄弟がいる様子はありませんでしたが、原作では兄がいる設定になっています。しかも割と重要なポジションでしょっちゅう登場するんです。そんなキャラクターをあっさりカットしてしまうジブリ。恐るべし。
兄の名前は天沢航司(こうじ)。そして気になるお顔がこちら!
眼鏡をかけた優しそうな爽やかイケメン。弟とはタイプがまったく違うのが見て取れますね。兄の航司は高校1年生。カメラが趣味のほんわかしたお兄さんなんですが、母校の先生からは「変人」と称される変わり者キャラです。
④雫の姉がまるで別人!しかも…
雫の姉である汐(しほ)は、映画の中では家族一のしっかり者として描かれていました。大学生にもかかわらず忙しい母親に代わって家事全般をこなし、雫の尻を叩いてテキパキと動き回る、ちょっと怖いお姉ちゃんといった感じでした。
原作の汐はそんなイメージとは真逆でおっとりしています。かわいいお嬢さん~といった感じで、年齢も大学生ではなく高校生1年生になっています。
しかも、汐は聖司の兄・航司と恋人同士なんです!
まさに「えーーーーーっ」と言いたくなりますが、実は原作の「耳をすませば」は、雫と聖司・汐と航司の4人を中心とした青春恋愛漫画なんです。「聖司の好きな人がお姉ちゃんなのかもしれない」と雫が勘違いして悩む展開があったり、まさに少女漫画の王道のような作品。映画のように将来の夢について葛藤する姿も現実的には描かれていません。
このあたりが原作と映画版の一番違う所ではないでしょうか。
⑤黒猫がNGなのはなぜ?宮崎監督のこだわりとは
原作では黒猫のムーンとその姉猫のルナが度々登場しています。航司の肩や頭に乗っているあの猫です。映画版でも猫の名前はムーンでしたが、黒猫ではなくずんぐりとした太っちょ猫として描かれていましたよね。
あえて黒猫にしなかったのは、宮崎駿監督のこだわりだったそうです。ジブリで黒猫といえばやっぱり「魔女の宅急便」のジジですよね。宮崎監督は「同じ事は2度やらない」という主義だそうで、黒猫だとジジとかぶってしまうため変更になったのだとか。

姉猫のルナについても、当時ちょうど「美少女戦士セーラームーン」が放送されており、こちらも黒猫のルナとかぶってしまうという事で変更になったそうですよ。
他のキャラクターとかぶらせたくない、という宮崎監督のこだわりが感じられますね。
原作と映画版の違いは他にも!
いかがでしたか?少女漫画らしい作品が原作だった「耳をすませば」。ご紹介した他にも原作には映画と違う所がまだまだあります。特に少女漫画が好きな方にはぜひ一度読んでいただきたい作品です。興味がわいた方は原作の「耳をすませば」も手に取ってみてくださいね。