1973年
1973年といえば、1954年から始まった高度経済成長の最後の年。日本経済に陰りが見えてきた感じですね。それを象徴するかのごとく暗く重い事件として日航機ハイジャック事件がありました。
ドバイ日航機ハイジャック事件
事件というものはいつだって嫌なものですが、それを吹き飛ばすように音楽業界は快調!この年も素晴らしい楽曲が多数発表されています!
では行ってみましょう。1973年、邦楽売上ランキング年間ベスト10はこの曲だ!
10位 赤い風船
第10位は、浅田美代子で「赤い風船」。売上枚数48.1万です。ミヨちゃんですね。デビューは同年2月14日放送の人気テレビ番組「時間ですよ」の第3シリーズでお手伝い役としてでした。
その番組内で歌われていあのが「赤い風船」です。
赤い風船
いや、可愛かった。まさしく絵に描いたようなアイドル。こんな可愛い女の子は誰のモノにもならんのだろうなと誰もが本気で思ったものです。(後年、吉田拓郎と結婚)
「赤い風船」は、作詞・安井かずみ、作曲・筒美京平という当時、飛ぶ鳥を落とす勢いの2人が担当しています。ヒットも納得のポップチューンです。
9位 若葉のささやき
ミヨちゃんに続いてマリちゃんの登場です。第9位、天地真理で「若葉のささやき」。48.1万枚の売り上げです。天地真理も「時間ですよ」で人気が出たんですよね。言ってみればミヨちゃんの姉貴分ってところですか。
若葉のささやき
同じ「時間ですよ」出とはいえ、ジャケットを比べるとマリちゃんの方が随分大人に見えますね。実際5歳年上で、デビューも2年早いんですけどね。天地真理からすると、ライバル出現といったところだったのでしょうね。
8位 恋する夏の日
ライバル出現とはいえ、当時の天地真理は人気絶頂。追い落とすのは至難の業です。第8位も天地真理。50.2万枚を売り上げた「恋する夏の日」がランクインしています。
恋する夏の日
年間売上のベスト10に2曲送り込めるアイドルはそうそういません。曲も良いです。作詞・山上路夫、作曲・森田公一。更には編曲・馬飼野俊一ですから。豪華です。
マリちゃんスマイル。可愛いですね。足も細くてキレイ。なんと言っても後に続くアイドル歌手の基本スタイルを確立したわけですから功績は大きいです。
7位 心の旅
アイドルが続いた後にやっと出ました、ロックというのか、ニューミュージックというのか、いや、その言葉はまだありませんでしたね。時代的にはフォークでしたが、とてもその枠には収まらないチューリップの「心の旅」が第7位で50.8万枚売上ています。
心の旅
とはいえ、チューリップも当時はアイドル的な捉えられ方をしていました。その方向でないと売れないという大人の事情があったのでしょうね。ミュージック・ビジネスはキビシイ!が、確かにメンバーはカワイイです。女の子のようというか、まぁ、やっぱりアイドル顔ですよね。
両A面という扱いだったのでしょうが、カップリングの「夢中さ君に」が、「心の旅」に負けず劣らず素晴らしい曲なんです。ライブでは最後に必ず演奏されていた代表曲のひとつです。
6位 神田川
フォークソング・ブームといえば、この曲を思い浮かべる人は少なくないのではないでしょうか?!第6位、かぐや姫の「神田川」です。売上枚数、58.0万 。
神田川
フォークソングといえば、四畳半一間という貧しい印象を植え付けることになった名曲といえます。まぁ、ビジュアル的にはアイドルとは言い難い風貌ではありますが、アイドル的な人気を獲得しました。
かぐや姫は、この後「赤ちょうちん」「妹」と昭和の匂いをどっぷり含んだ楽曲を連続して大ヒットさせています。
5位 危険なふたり
「神田川」に比べ第5位となった沢田研二の「危険なふたり」のなんと垢抜けたことでしょう!売上枚数は61.9万枚です。
作詞を担当した安井かずみがフォークソング・ブームを嫌悪したというエビソードも納得ですね。
危険なふたり
ザ・タイガース、PYGとバンドを経てソロ活動に入る沢田研二ですが、まぁ、この時期のカッコイイこと。女性でなくとも惚れ惚れしてしまうカッコよさ!まさに元祖ビジュアル系ですね。
沢田研二がソロとなってから6枚目のシングルで、初めてオリコン1位となった曲です。この曲によってソロ活動が軌道に乗り、その後紆余曲折あったとはいえ、今日に至るまで不動の人気を獲得するきっかけとなった曲ですね。
4位 喝采
近年も再評価されている ちあきなおみ。素晴らしい歌手ということは疑いようのないことではありますが、1992年以降活動を停止しているのにもかかわらず何度も何度も再評価されているんです。これはちょっとスゴイことです。その ちあきなおみ の「喝采」が売上枚数62.7万枚で、第4位です。
喝采
早々に芸能活動を止めてしまったことで、ちあきなおみ と言えば、コロッケのモノマネの方が印象深くなってしまっている今日この頃。
モノマネは面白おかしくデフォルメされてるわけで、改めて観てみるとキレイですね。ちあきなおみ。
因みに芸能活動停止した理由は、1992年9月11日に最愛の夫を亡くしたことによるものです。以後、正式な引退を宣言することもなく、現在まで公の場所には全く姿を現していません。
3位 学生街の喫茶店
76.2万枚もの大ヒットを記録し、一気にスターダムへと上り詰めたガロではありますが、もっともっと評価されても良いと思います。一般的には3位となった「学生街の喫茶店」ばかりがもてはやされていますが、素晴らしい自作曲を数多く持っているグループなんです。
学生街の喫茶店
確かに「学生街の喫茶店」は素晴らしい!本当によく出来ていて、フォークブームを決定付けたといってもいい曲ですね。
和製Crosby, Stills, Nash & Youngと称されていたことが納得できる卓越したコーラスワークとギターテクニック。今なお新鮮!というか、今聴くとすごくしっくりきます。
ところで、この「学生街の喫茶店」ですが、レコードでは「宇野もんど」名義で細野晴臣がベースを弾いています。
2位 女のねがい
前年デビューシングル「女のみち」を大ヒットさせた宮史郎とぴんからトリオが、続けて発表した2枚目のシングル「女のねがい」が年間売上84.0万枚で第2位です。
女のねがい
発売は1972年12月25で、売上総数は170.4万枚に達するという大ヒット曲です。
作詞、作曲ともにメンバーである並木ひろし が担当しています。もともと ぴんからトリオは、音曲漫才で活動していましたから音楽は得意だったとはいえ、ここまで本格的に、本職裸足の活躍には舌を巻きます。結果、ぴんからトリオは漫才から歌謡コーラスグループに移行することになります。これだけ出来れば当然ですね。
1位 女のみち
さて、第1位は、前年売り上げ枚数138.3万枚で第1位だった宮史郎とぴんからトリオの「女のみち」が、1973年にも181.2万枚を売り上げて、2年連続で栄冠に輝きました!
女のみち
2年連続で年間売上1位となる楽曲は日本の音楽史上類をみません。スゴイです。
只、ぴんからトリオは、「女のみち」「女のねがい」「女のゆめ」と順調にヒットを飛ばしていたのですが、メロディメーカーである並木ひろし がこの年に脱退してしまい、以後ぴんから兄弟として活動することになります。
振り返ると1973年は、フォークブーム真っただ中でありながら、ぴんからトリオの時代だったんですねぇ。